名古屋市天白区にあるPhysio Conditioning Lab.(フィジオコンディショニングラボ)|パーソナルトレーニング×ピラティス&ボディメンテナンス 理学療法士トレーナーの柴田です。
はじめに
「最近、何もないところでつまずくことが増えた」
「段差で足先が引っかかる」
「足が上がっていない気がする」
そんな変化に気づくと、「年のせいかな」と思いつつも、どこか不安ですよね。
転んでしまう前に、原因を知っておきたいという方も多いと思います。
結論からお伝えします。
つまずきやすくなる背景には、足腰の衰えだけでなく、神経や脊椎の病気が隠れていることもあります。
まずは、「いつから、どちらの足で、どんな場面で」を整理し、受診が必要なサインを知ることが大切です。
この記事では、自分で確認できる5つのポイントと、受診の目安をお伝えします。
読み終えると、「自分は何を確認して、どう動けばいいか」がわかります。
なぜつまずくの?まず知っておきたいこと
歩いているとき、足先と床の距離は思っているよりずっと少ないものです。
医学書院の論文では、平地歩行中の「最小足尖・床間距離」は1〜3.2cmの範囲で報告されていると紹介されています。
たった数センチしかありません。
同じ研究群では、高齢者では若年者と比べて平均では差がないものの、ばらつきが大きく、足先が上がりにくい歩行周期があるという報告もあり、つまずく可能性が示唆されています。
また、高齢者の転倒は発生率が17.7〜19.8%で、その多くが歩行中に起こり、原因がつまずきであることも多いと述べられています。
つまずきには、突出した障害物などによる外的要因と、平地歩行中に起こる内的要因があると推測されています。
今回の記事では、主に内的要因(身体の側の変化)を中心に確認ポイントを整理します。
確認①:いつから、どちらの足で、どんなときにつまずくか
原因を考えるうえで、最初に整理したいのが次の点です。
- いつから?(急に始まったか、少しずつ増えたか)
- どちらの足?(片側のみか、両側か)
- どんな場面?(平地、階段、段差、疲れたときなど)
- 痛み、しびれ、力の入りにくさを伴うか
メモをとっておくと、医師や理学療法士に相談するときの大きなヒントになります。
特に「片側だけ」「急に」は、次の確認②③にも関わる重要な手がかりです。
確認②:つま先が上がりにくくないか(下垂足の可能性)
足首を上へ持ち上げる力が弱くなり、つま先が垂れ下がったようになる状態を「下垂足(かすいそく)」といいます。
スリッパが脱げやすくなる、足を引きずる、といった変化として気づくこともあります。
2026年1月発行の「臨床整形外科」(61巻1号)の総論では、下垂足の原因として脊椎疾患が非常に重要であり、腰椎のL5神経根障害と、頸胸椎の脊髄障害のいずれでも起こり得ると解説されています。
変性疾患、悪性疾患、外傷、医原性など、病態はさまざまです。
治療についても、手術だけでなくリハビリテーションや装具療法など多彩な方法を活用することが重要とされています。
下垂足は、自分で原因を判断できるものではありません。
目安として、椅子に座ってかかとを床につけたまま、つま先を上げてみてください。
左右で上がり方に差があると感じたら、整形外科で相談してください。
確認③:歩くと足が重だるくて、休み休みにならないか
つまずきやすくなった方の中には、「しばらく歩くと足が重だるくなって立ち止まる」という症状を伴う方がいます。
こうした症状で話題になるのが、腰部脊柱管狭窄症です。
岡山大学病院の資料では、骨の変形や椎間板・靭帯の突出などによって脊柱管(神経が通る管)が狭くなる病気とされ、放置すると歩行困難を招く大きな要因になり得ると説明されています(日本整形外科学会の解説を参考にしたとされる資料)。
なお、順天堂大学の高齢者医療センターの案内でも、「しばらく歩くと足が重だるくなって立ち止まってしまう」という症状が、脊柱管狭窄症を思い浮かべる例として挙げられています。
このような変化がある場合は、整形外科で相談してください。
確認④:足腰の衰え(ロコモ度テスト・サルコペニア)
病気が見つからない場合にも、足腰の力や歩幅が落ちていることがあります。
ここで目安になるのが、日本整形外科学会が2013年に定めた「ロコモ度テスト」です。
ロコモ度テストの3つの項目
- 立ち上がりテスト:片脚または両脚で、決まった高さの台から立ち上がれるかを確認します(下肢筋力の目安)
- 2ステップテスト:バランスを崩さない範囲でできるだけ大股で2歩歩き、その距離を身長で割ります(歩幅の目安)
- ロコモ25:身体の状態や生活状況についての25問の質問票
判定の基準として、ロコモ度1は「片脚40cmから立ち上がれない」「2ステップ値が1.3未満」「ロコモ25が7点以上」のいずれかに該当した場合、ロコモ度2は「両脚20cmから立ち上がれない」「2ステップ値が1.1未満」「ロコモ25が16点以上」のいずれかに該当した場合とされています(南江堂の資料に掲載された日本整形外科学会の判断値)。
この資料では、ロコモ度2で痛みが強い場合や、筋力・歩行能力が急に低下している場合は、何らかの運動器疾患がある可能性もあると注意を促しています。
テストの正確な手順は、日本整形外科学会のロコモ公式サイトで確認できます。
転倒に注意し、壁の近くやご家族がいる場所で、痛みがあるときは無理をしないでください。
サルコペニアとは
順天堂大学の高齢者医療センターの案内では、サルコペニアを「筋肉量が減少し、筋力が低下して身体運動機能が低下する状態」と説明しています。
原因は加齢によるもの(一次性)と、病気やけがによるもの(二次性)に分けられます。
歩くのが遅い、足に力が入らないといった変化が見られることがあります。
確認⑤:足首・足指の動き、靴、家の環境
足首・足指の動き
広島大学の研究報告では、高齢者では若い人より関節可動域(関節の動く範囲)が小さいことが指摘されています。
一方で、可動域を高める介入が筋力、運動能力、転倒に及ぼす影響は、多くの研究があるものの必ずしも明確とはいえないとされています。
「硬いから必ずつまずく」と決めつけられないところです。
足の指については、富山県立大学の講師の講義(大学教員の見解)として、足の指を「グー・パー」と動かす運動によって足指の握る力が高まること、転倒予防の一環として推奨されていることが紹介されています。
靴や家の環境
靴のつま先側だけが極端にすり減っている、左右で減り方が違うといった点は、歩き方を振り返る手がかりになることがあります(これは臨床での見立てです)。
また、家の中の段差、マット、コードなどの障害物も、先ほどの「外的要因」にあたります。
足の変化と同時に、足元の環境も見直してください。
受診を考えたほうがよい目安
次のような場合は、運動やセルフケアの前に、医療機関を受診することをおすすめします。
- 片側の足だけ、つま先が上がりにくい
- 足のしびれや力の入りにくさがある、または強くなっている
- 歩ける距離が短くなっている、休み休みでないと歩けない
- 痛みが強い、または歩行能力が急に低下した
- 転倒して強く打った、あるいは転倒を繰り返す
なお、突然、片側の手足に力が入らなくなった、ろれつが回らない、顔がゆがむといった症状がある場合は、様子見をせず、救急要請を含めてすぐに医療機関へ連絡してください。
フィジオコンディショニングラボでできること
当ジムは、名古屋市天白区植田にあり、痛み改善・姿勢改善など身体機能の改善に特化したパーソナルジムです。
瑞穂区、昭和区、日進市からもアクセスしやすく、無料駐車場(2台)もご用意しています。
施術でもトレーニングでも、最初に医学的な身体評価を行います。
つまずきやすさに関する歩き方、姿勢、関節の動き、筋力、バランスを確認し、原因を丁寧に探したうえで、ストレッチやトレーニングなどのアプローチ方法を組み立てます。
姿勢改善などを目的にトレーニングを行う場合も同じです。
いきなり運動を始めるのではなく、まず身体評価を行い、原因に対して必要なトレーニングやエクササイズを選んで進めていきます。
なお、病気の診断は医師が行うものです。
受診が必要と思われる場合は、医療機関への受診をおすすめすることがあります。
効果の出方には個人差があり、すべての方に同じ結果をお約束できるものではありません。
まとめ
- つまずきには、外的要因(障害物など)と内的要因(身体の変化)があります
- 確認①:いつから・どちらの足・どんな場面かを整理する
- 確認②:つま先の上がり方に左右差がないか(下垂足の可能性)
- 確認③:歩くと足が重だるくて休み休みにならないか(脊柱管狭窄症など)
- 確認④:ロコモ度テストで足腰の状態を確認する
- 確認⑤:足首・足指の動き、靴、家の環境を見直す
- 片側の変化、しびれ、急な変化があれば、まず医療機関へ
「病院に行くほどなのかわからないけれど不安」「病院で問題ないと言われたが、歩きにくさが気になる」という方は、お気軽にご相談ください。
名古屋市天白区植田で、あなたの身体の状態に合わせてお話を伺います。
参考・出典
- 「高齢者の平地歩行中の足尖・床間距離」に関する論文 医学書院(39巻11号) https://imis.igaku-shoin.co.jp/contents/journal/09150552/39/11/1551100209
- 高齢者の転倒とつまずきに関する論文 医学書院(39巻3号) https://imis.igaku-shoin.co.jp/contents/journal/09150552/39/3/1551100060
- 竹島 憲一郎「下垂足の診断と治療」臨床整形外科 61巻1号(2026年1月) https://imis.igaku-shoin.co.jp/contents/journal/05570433/61/1/055704330610010007
- 岡山大学病院 薬剤部 患者向け情報資料「脊柱管狭窄症」 https://www.pharm.hospital.okayama-u.ac.jp/kanja/pdf/mado331.pdf
- 順天堂大学 高齢者医療センター 整形外科サルコペニア外来のご案内 https://hosp-gmc.juntendo.ac.jp/media/sarcopenia_poster.pdf
- 公益財団法人 長寿科学振興財団「健康長寿ネット」ロコモ予防の啓発(ロコモ度テスト) https://www.tyojyu.or.jp/net/topics/tokushu/koreisha-undoki-kenko/rokomo-yobo-keihatsu.html
- 南江堂 資料(ロコモ度テストの臨床判断値、日本整形外科学会基準) https://www.nankodo.co.jp/download/S9784524265824.pdf
- 日本整形外科学会 ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト(2ステップテスト) https://locomo-joa.jp/assets/files/two-step.pdf
- 広島大学 学術情報リポジトリ(高齢者の関節可動域と転倒) https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/47110/files/40029
- 富山県立大学 鷲塚寛子講師 夢ナビ講義(足趾力と転倒予防) https://telemail.jp/shingaku/academics-research/lecture/g010836
