名古屋市天白区にあるPhysio Conditioning Lab.(フィジオコンディショニングラボ)|パーソナルトレーニング×ピラティス&ボディメンテナンス 理学療法士トレーナーの柴田です。
はじめに
「歩いていると股関節が痛くなる」
「最初は大丈夫だけど、長く歩くと股関節が痛い」
「階段や坂道で股関節が痛む」
「股関節の前側が詰まるような感じがする」
「病院で股関節に問題があると言われたけれど、どう運動すればいいかわからない」
このような悩みを抱えている方は少なくありません。
股関節は、立つ・歩く・階段を上る・しゃがむといった日常動作のほぼすべてに関係する重要な関節です。
そのため、股関節に痛みがあると「歩かないほうがいいのでは?」と考えてしまうことがあります。
しかし、股関節の痛みを改善するうえで重要なのは、単純に歩く量を減らすことだけではありません。
なぜ歩くと股関節に痛みが出るのかを考え、股関節だけでなく足首・膝・骨盤・体幹を含めて身体全体の動きを確認することが重要です。
今回は、理学療法士の視点から「歩くと股関節が痛い人」に見られやすい身体の特徴と、改善を考えるときのポイントを解説します。
歩くと股関節が痛い=股関節だけが原因とは限らない
まず知っておいてほしいのが、
「痛い場所」と「痛みが生じる原因」は必ずしも同じではない
ということです。
例えば、歩行時に股関節が痛くても、
・股関節そのものの問題
・股関節周囲の筋肉や腱の問題
・腰や骨盤からの関連痛
・膝や足部の動きの問題
・歩行パターンの問題
・活動量の急激な増加
など、さまざまな可能性があります。
また、変形性股関節症などの疾患が背景にある場合もあります。
そのため、「股関節が痛いから股関節をストレッチすればいい」と単純に考えることはできません。
特に、痛みが長期間続いている場合や、歩行距離が徐々に短くなっている場合には、一度専門家に評価してもらうことが大切です。
特徴①:歩くときに身体が左右に揺れる
歩行中に、
「身体が左右に大きく揺れる」
という方がいます。
特に片脚で体重を支えるタイミングで、身体を痛い側へ傾けるような歩き方が見られることがあります。
これは、股関節周囲の筋肉や痛みなどによって、片脚で身体を支えることが難しくなった場合に見られることがあります。
ただし、身体を傾けること自体が必ず悪いわけではありません。
身体は痛みや筋力、バランスなどに応じて、負担を減らすために動きを変えることがあります。
重要なのは、
「なぜ身体を傾けているのか?」
です。
筋力の問題なのか、痛みを避けているのか、可動域の問題なのか、別の原因があるのか。
ここを評価する必要があります。
特徴②:片脚で身体を支えるのが苦手
歩行では、左右の脚を交互に使いながら、一時的に片脚で身体を支える時間があります。
そのため、
・片脚立ちが苦手
・片脚になると身体がぐらつく
・骨盤が左右に大きく動く
・痛い側に体重をかけたくない
という方は、歩行時にも股関節周囲へ負担がかかりやすくなる可能性があります。
特に重要なのが、股関節外側にある筋群です。
これらの筋肉は、片脚で立ったときに骨盤を安定させる役割を担っています。
ただし、
「股関節が痛い=中殿筋が弱い」
と決めつけるのは適切ではありません。
筋力だけでなく、痛み、関節可動域、神経筋コントロール、歩行速度などを総合的に確認する必要があります。
特徴③:股関節を十分に後ろへ動かせない
歩行では、脚が身体より後ろへ移動する「股関節伸展」の動きが必要になります。
しかし、
・股関節の伸展が少ない
・前側が詰まる
・大腿部の前側が張る
・歩幅が小さい
といった特徴がある場合、歩行時の股関節の動きが制限されている可能性があります。
ただし、ここでも注意が必要です。
「股関節が後ろに動かないから、無理やりストレッチすればいい」とは限りません。
関節そのものの問題なのか、筋肉の緊張なのか、骨盤や腰椎の動きによるものなのかなど、原因によって対応は変わります。
特徴④:歩幅が小さくなっている
股関節に痛みがある方では、無意識に歩幅が小さくなることがあります。
歩幅を小さくすることで、股関節の動きを減らし、痛みを避けようとする場合があるからです。
「以前より歩くスピードが遅くなった」
「歩幅が狭くなった」
「長距離を歩けなくなった」
という変化は、身体機能を考えるうえで重要な情報です。
特に、
痛みがある → 歩かなくなる → 筋力や体力が低下する → さらに歩くのがつらくなる
という悪循環には注意が必要です。
もちろん、痛みが強い時期に無理をする必要はありません。
しかし、症状に応じて適切な運動量を確保することは、長期的な身体機能を維持するうえで重要です。
特徴⑤:足首が硬い
意外に見落とされやすいのが足首です。
歩行では、足が地面に接してから身体が前へ進むまで、足関節も重要な役割を果たします。
足首の動きが制限されると、その不足を膝や股関節など別の部位が補うことがあります。
つまり、
股関節が痛いからといって、股関節だけを評価すればいいわけではありません。
足部・足関節
↓
膝
↓
股関節
↓
骨盤
↓
体幹
というように、身体全体の運動連鎖を見る必要があります。
特徴⑥:お尻の筋力だけでなく「使い方」に問題がある
股関節痛の方に対して、
「お尻を鍛えましょう」
と言われることがあります。
確かに臀部の筋力トレーニングが必要なケースはあります。
しかし、筋力があるかどうかだけではなく、
その筋力を歩行中に適切なタイミングで使えているか
も重要です。
例えば、筋力トレーニングでは問題なく力を出せても、片脚立ちや歩行になると身体がぐらつく人もいます。
この場合、
「筋力不足」
だけではなく、
「動作の中で筋力を使う能力」
を考える必要があります。
そのため、トレーニングだけでなく、片脚立位やステップ動作、歩行などの実際の動作を評価することが重要です。
特徴⑦:痛みを避けるために身体の使い方が変わっている
痛みがあると、人間の身体は自然に痛みを避けるような動きをします。
例えば、
・痛い脚に体重をかけない
・歩幅を小さくする
・身体を傾ける
・歩くスピードを落とす
・階段を避ける
などです。
これは身体が「悪い動きをしている」というより、
痛みから身体を守るための適応
として起こっている場合があります。
しかし、この状態が長期間続くと、特定の筋肉や関節への負担が変化し、身体活動そのものが減ってしまうことがあります。
そのため、痛みが落ち着いてきた段階では、徐々に本来必要な動作能力を取り戻していくことが重要です。
股関節の痛みは「どこが痛いか」も重要
股関節周辺の痛みでも、場所によって確認すべきポイントが変わります。
股関節の前側が痛い
歩行や脚を持ち上げる動作、股関節を深く曲げる動作などで痛みが出る場合があります。
股関節そのものだけでなく、周囲の筋肉や腱なども含めて評価する必要があります。
股関節の外側が痛い
歩行や片脚立ち、階段などで股関節の外側に痛みを感じるケースがあります。
股関節周囲の筋肉や腱、滑液包などが関係している場合があります。
お尻側が痛い
股関節だけでなく、腰椎や仙腸関節周囲などからの関連痛も考える必要があります。
したがって、「お尻が痛い=股関節の問題」とは限りません。
鼠径部の奥が痛い
股関節の関節内の問題が関係している可能性もあるため、症状が続く場合には医療機関での評価を検討することが重要です。
もちろん、痛みの場所だけで疾患を判断することはできません。
歩くと股関節が痛い人がやってはいけないこと
まず避けたいのが、
「痛いけど筋肉が弱いから、もっと頑張って鍛える」
という考え方です。
痛みの原因が明確になっていない状態で、負荷の高いスクワットやランジなどを繰り返すと、症状を悪化させる可能性があります。
また、
「股関節が硬いから強くストレッチする」
「痛い部分を強く揉む」
といった方法も、原因によっては適切ではありません。
大切なのは、
痛みがある場所を無理に刺激することではなく、「なぜ痛みが出るのか」を評価すること
です。
改善の第一歩は「歩き方を変える」ことではない
股関節が痛いと、
「歩き方が悪いから、歩き方を直そう」
と考えるかもしれません。
しかし、いきなり歩き方だけを変える必要はありません。
まず、
・痛みの状態
・股関節の可動域
・足関節の可動域
・膝の状態
・股関節周囲の筋力
・片脚立位
・骨盤の動き
・歩行パターン
などを確認します。
そのうえで必要な部分を改善し、結果として歩行が変化していくことが理想です。
「歩き方を作る」のではなく「歩ける身体を作る」
という考え方が重要です。
理学療法士が考える股関節痛改善の基本的な流れ
股関節の痛みを改善する場合、私は次のような流れを重視します。
①症状を確認する
いつ痛いのか?
歩き始めだけなのか?
長距離歩くと痛いのか?
階段で痛いのか?
安静時にも痛いのか?
などを確認します。
②身体機能を評価する
股関節だけでなく、
足首
↓
膝
↓
股関節
↓
骨盤
↓
体幹
まで確認します。
③必要な可動性を確保する
必要に応じて、股関節や足関節などの可動性を改善します。
④必要な筋力をつける
臀部、大腿部、体幹など、必要な部位を段階的に鍛えます。
⑤実際の動作につなげる
片脚立ち、ステップ、スクワット、歩行など、日常生活で必要な動作へつなげていきます。
⑥歩行や痛みを再評価する
「筋肉がついたか」だけではなく、
「歩く距離が増えたか」
「階段が楽になったか」
「痛みが減ったか」
など、実際の生活で変化が出ているかを確認します。
股関節が痛くても「動かさない」が正解とは限らない
股関節痛があると、「安静にしていれば治る」と考えてしまうことがあります。
急性期や強い痛みがある場合には、負荷を減らすことが必要なケースもあります。
一方で、症状が落ち着いているにもかかわらず、長期間身体を動かさない状態が続くと、筋力や体力が低下し、結果として日常生活の活動量が落ちてしまう可能性があります。
そのため、
休むべき時期と、動かしていく時期を見極める
ことが重要です。
運動は「痛みを我慢して行うもの」でも「痛みが完全になくなるまで何もしないもの」でもありません。
症状や身体機能に合わせて、適切な負荷から段階的に進めていくことが大切です。
こんな股関節痛には医療機関への相談を
以下のような場合は、自己判断でトレーニングを続けるのではなく、医療機関への相談をおすすめします。
・強い痛みが突然出た
・転倒や外傷後から痛みが続いている
・安静にしていても強く痛む
・夜間痛が強い
・体重をかけることが難しい
・歩行が明らかに困難になった
・痛みが徐々に悪化している
・股関節の動きが大きく制限されてきた
・発熱など全身症状を伴う
特に急激な症状や外傷後の強い痛みなどは、運動よりも先に医療機関で状態を確認することが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q. 歩くと股関節が痛いのは、歩き方が悪いからですか?
A. 必ずしもそうとは限りません。
股関節自体の問題、筋肉や腱の問題、腰や骨盤、足部・足関節など、さまざまな要因が関係する可能性があります。
歩行だけで原因を決めつけず、身体全体を評価することが重要です。
Q. 股関節が痛いときは歩かないほうがいいですか?
A. 痛みの原因や程度によります。
強い痛みや急性の症状がある場合は負荷を減らす必要がありますが、症状が落ち着いている場合には、適切な範囲で身体を動かすことが重要になる場合があります。
Q. 股関節痛にはお尻の筋トレが効果的ですか?
A. 股関節周囲の筋力が不足している場合には有効な選択肢になります。
ただし、すべての股関節痛に同じ筋トレが適しているわけではありません。
痛みの原因や身体機能を評価して運動を選ぶことが重要です。
Q. 股関節が硬い場合はストレッチすれば改善しますか?
A. 可動域制限の原因によります。
筋肉の柔軟性が関係している場合にはストレッチが有効なことがありますが、関節自体の問題などが原因の場合、無理なストレッチは適切ではない場合があります。
Q. 股関節が痛いときにスクワットをしても大丈夫ですか?
A. 痛みの原因やスクワットの深さ、負荷によって異なります。
痛みが強くなる場合には無理に続けるべきではありません。
必要に応じて動作の範囲や負荷を調整し、自分の身体に合った方法で行うことが重要です。
Q. 股関節の前側が痛い場合、何が原因ですか?
A. 股関節の関節内の問題だけでなく、周囲の筋肉や腱などさまざまな可能性があります。
痛みの場所だけで原因を判断することはできないため、痛みが続く場合は専門家による評価をおすすめします。
Q. 股関節痛はピラティスで改善できますか?
A. ピラティスは身体のコントロールや体幹・股関節周囲の運動を行う方法の一つとして活用できます。
ただし、股関節痛の原因はさまざまなので、すべての人に同じ方法が適しているわけではありません。
身体状態に合わせて運動を選択することが重要です。
まとめ|歩くと股関節が痛いなら「股関節だけ」を見ない
歩くと股関節が痛い人には、
・歩幅が小さくなっている
・片脚で身体を支えるのが苦手
・身体が左右に揺れる
・股関節を十分に動かせない
・足首の動きが悪い
・股関節周囲の筋力やコントロールに問題がある
・痛みを避けるために歩き方が変化している
などの特徴が見られることがあります。
しかし、これらがすべての人に当てはまるわけではありません。
そして最も重要なのは、
「股関節が痛いから股関節だけを鍛える」
という発想から一度離れることです。
歩行は全身運動です。
足部・足関節
↓
膝
↓
股関節
↓
骨盤
↓
体幹
が連動して身体を前へ運びます。
そのため、股関節の痛みを改善したいのであれば、痛い場所だけではなく、身体全体がどのように動いているのかを確認することが重要です。
そして、最終的な目標は「きれいな歩き方を作ること」ではありません。
痛みをできるだけ抑えながら、自分の行きたい場所へ、自分の足で歩いて行ける身体を作ること。
これが身体機能改善の大きな目的です。
「歩くと股関節が痛いけれど、どこを改善すればいいかわからない」
という方は、まず現在の身体の状態を確認することから始めてみてください。
フィジオコンディショニングラボが考える股関節痛改善
当ジム・治療院では、理学療法士の視点から股関節だけでなく、
・股関節の可動域
・足関節の可動域
・膝の動き
・股関節周囲の筋力
・片脚立位
・骨盤の動き
・体幹機能
・歩行
・痛みの出る動作
などを総合的に確認します。
そのうえで、必要に応じてパーソナルトレーニング、ピラティス、運動療法などを組み合わせ、一人ひとりの身体に合わせて運動内容を調整します。
「歩くと股関節が痛い」
「股関節痛で運動を諦めている」
「病院では異常がないと言われたけれど痛みが続いている」
「将来も自分の足で歩きたい」
このような方は、痛みを我慢して運動を続けるのではなく、まずはなぜ歩くと痛みが出るのかを身体全体から考えてみることをおすすめします。
当ジム・治療院では、理学療法士が医学的根拠に基づき、股関節痛の改善と歩行機能の向上を目的とした運動プログラムを提供しています。
名古屋市天白区・植田駅周辺で、股関節の痛みや歩行のお悩みがある方は、お気軽にご相談ください。
