名古屋市天白区にあるPhysio Conditioning Lab.(フィジオコンディショニングラボ)|パーソナルトレーニング×ピラティス&ボディメンテナンス 理学療法士トレーナーの柴田です。
はじめに
「姿勢が悪いから身体が痛くなると言われた」
「正しい身体の使い方を身につけたい」
「歩き方や立ち方を改善したい」
「トレーニングをしているのに腰や膝が痛くなる」
このような悩みを持っている方は少なくありません。
最近では、「正しい姿勢」「正しい歩き方」「正しい身体の使い方」という言葉をよく耳にします。
しかし、理学療法士として身体を見ていると、ここで一つ注意してほしいことがあります。
それは、
「正しい身体の使い方=全員が同じ姿勢・同じ動作をすること」ではない
ということです。
人の身体には、骨格、関節可動域、筋力、柔軟性、運動経験、生活習慣、痛みの有無など、一人ひとり違いがあります。
そのため、「この姿勢が絶対に正しい」「膝は必ずこの角度にする」といった単純な答えだけでは、身体を本当に理解することはできません。
では、理学療法士は「正しい身体の使い方」をどのように考えるのでしょうか。
今回は、姿勢改善や痛み改善、トレーニング、ピラティスにもつながる重要な考え方を解説します。
「正しい身体の使い方」とは何なのか?
まず結論から言うと、正しい身体の使い方とは、
目的に対して、身体に過剰な負担をかけず、必要な関節や筋肉を適切に使いながら動作できること
だと考えています。
例えば「しゃがむ」という動作を考えてみましょう。
しゃがむためには、
・足関節
・膝関節
・股関節
・骨盤
・脊柱
など、複数の部位が協調して動きます。
ここで重要なのは、「膝を前に出さない」など一つのルールだけを見ることではありません。
足首が十分に動かなければ、身体は別の場所で動きを補う必要があります。
股関節がうまく使えなければ、腰や膝に負担が集中する可能性があります。
つまり、
一つの関節だけを見るのではなく、身体全体がどのように協調して動いているのかを見る
ことが重要です。
良い姿勢=動かない姿勢ではない
「姿勢を良くしよう」と考えると、
「胸を張る」
「背筋を伸ばす」
「お腹に力を入れる」
「肩を後ろに引く」
などを意識する方が多いと思います。
しかし、良い姿勢とは、身体を固めて動かないことではありません。
本来、私たちの身体は、
立つ
↓
歩く
↓
座る
↓
手を伸ばす
↓
物を持つ
↓
しゃがむ
というように、常に動きながら姿勢を調整しています。
そのため理学療法士が見る「姿勢」は、静止した一枚の写真だけではありません。
「その姿勢から、どのように動けるのか」
まで含めて考える必要があります。
例えば、背中が少し丸く見えていても、痛みなく歩いたり、身体をひねったり、腕を上げたりできる人もいます。
反対に、一見きれいな姿勢をしていても、身体を動かすと腰や肩に強い負担がかかる人もいます。
だからこそ、
姿勢の見た目だけで身体の良し悪しを判断することはできません。
身体は「部分」ではなく「全体」で動いている
身体の使い方を考えるときに非常に重要なのが「運動連鎖」という考え方です。
例えば、歩行を考えてみましょう。
足が地面に接する
↓
足関節が動く
↓
膝が動く
↓
股関節が動く
↓
骨盤が動く
↓
脊柱が動く
↓
上半身がバランスを取る
というように、身体は連動して動いています。
そのため、「膝が痛いから膝だけを鍛える」という方法が必ずしも最適とは限りません。
股関節の動きや足関節の可動性、体幹のコントロール、歩き方などが関係している可能性もあります。
もちろん、膝そのものに問題がある場合もあります。
重要なのは、
「痛い場所=原因」と決めつけないこと
です。
痛みが出ている場所を確認しながら、その周囲や全身の動きまで評価することが重要になります。
身体の使い方が悪くなる大きな原因の一つは「動ける範囲」の問題
身体を正しく使おうとしても、そもそも関節が必要な範囲まで動かなければ、理想的な動作を行うことはできません。
例えば、
・足首が硬い
・股関節が動きにくい
・胸椎が動きにくい
・肩関節が動きにくい
といった状態です。
スクワットを例にすると、足首の背屈が制限されている場合、しゃがむために身体の別の部分が動きを補うことがあります。
その結果、本人は「膝が悪い」「腰が悪い」と感じていても、実際には身体全体の動きの組み合わせに問題があるケースもあります。
ただし、ここでも注意が必要です。
「身体が硬い=必ず痛くなる」という単純な関係ではありません。
可動域は、筋力、運動習慣、年齢、競技特性、生活環境などさまざまな要因によって変化します。
大切なのは、
その人の目的に必要な可動域が確保されているか
です。
「筋肉が弱い」だけで身体の使い方は決まらない
身体の使い方について、
「この筋肉が弱いから動きが悪い」
と考えることがあります。
もちろん筋力は重要です。
しかし、身体の動作は筋力だけで決まるわけではありません。
例えば、
・関節可動域
・筋力
・筋持久力
・バランス能力
・身体感覚
・視覚情報
・運動経験
・痛み
・心理的要因
などが関係します。
つまり、
「筋肉を鍛えれば、必ず動作が改善する」わけではありません。
必要な筋力をつけることと同時に、その筋力を実際の動作の中で使えるようにすることが重要です。
これが「トレーニング」と「動作練習」をつなげる考え方です。
「力を入れる」より「必要なときに力を使える」が重要
体幹トレーニングなどで、
「常にお腹に力を入れておきましょう」
と言われることがあります。
しかし、日常生活では常に最大限の力を入れているわけではありません。
歩くとき、座るとき、階段を上るとき、物を持つときなど、それぞれ必要な筋活動は異なります。
重要なのは、
必要なときに、必要な量の力を発揮できること
です。
身体を固めることだけが「体幹が使えている」状態ではありません。
むしろ、呼吸を続けながら、身体を動かし、必要に応じて体幹を安定させる能力が重要です。
この考え方は、ピラティスやファンクショナルトレーニングを考えるうえでも非常に重要になります。
「正しい身体の使い方」は呼吸とも関係する
身体の動きを考えるとき、呼吸も無視できません。
呼吸は単に酸素を取り込むためだけのものではなく、胸郭や脊柱、腹部などの動きとも関係しています。
例えば、
・呼吸が浅い
・胸郭が動きにくい
・息を止めて動く
・身体を過度に固める
といった状態では、動作の自由度が低下することがあります。
もちろん「呼吸が浅いから必ず姿勢が悪い」ということではありません。
しかし、姿勢や体幹機能、運動パターンを評価するときには、呼吸の状態も一つの情報として見る価値があります。
「正しい動き」を覚えるだけではなく「適応できる身体」を作る
身体の使い方で非常に重要なのが「適応能力」です。
例えば、日常生活では毎回同じ動きをするわけではありません。
床に落ちたものを拾う。
重い荷物を持つ。
急に方向転換する。
階段を上る。
電車で揺れる。
このように、身体にはさまざまな環境に対応する能力が求められます。
そのため、
一つの理想的な動作を完璧に再現することだけを目標にするのではなく、状況に応じて身体を調整できること
が大切です。
これは高齢者の転倒予防でも、日常生活でも共通する考え方です。
理学療法士は「動作の結果」も重要視する
では、実際に身体の使い方を評価するとき、何を見るのでしょうか。
例えばスクワットなら、
・足部の位置
・足関節の可動性
・膝の動き
・股関節の動き
・骨盤の動き
・脊柱の動き
・重心の移動
・左右差
・痛み
・動作速度
・安定性
などを確認します。
さらに重要なのは、
「その動作によって何が起きたのか」
です。
例えば、見た目には少しフォームが崩れていても、痛みなく安定して動ける場合があります。
逆に、教科書通りのフォームに見えても、本人が強い痛みを感じている場合があります。
したがって、フォームだけを正解・不正解に分類するのではなく、
目的・身体機能・症状・動作結果を合わせて判断する
ことが大切です。
「正しいフォーム」にこだわりすぎるのも問題
トレーニングでは「正しいフォーム」が重要だと言われます。
これは基本的には正しい考え方です。
ただし、「正しいフォーム」を一つの形として固定しすぎると問題が起こることがあります。
例えばスクワットでも、身長、脚の長さ、股関節や足関節の可動性などによって自然なフォームは変わります。
つまり、
正しいフォームには個人差があります。
重要なのは、
「その人にとって安全か」
「目的に合っているか」
「必要な筋肉・関節を使えているか」
「痛みが悪化していないか」
「繰り返し行えるか」
という視点です。
理学療法士が考える「身体の使い方」を改善する5つのステップ
身体の使い方を改善したい場合、私は次のような順番で考えることをおすすめします。
STEP1:まず現在の身体を知る
姿勢だけではなく、
・可動域
・筋力
・バランス
・痛み
・左右差
・動作能力
などを確認します。
STEP2:困っている動作を明確にする
「身体の使い方を良くしたい」だけではなく、
「階段を楽に上りたい」
「腰痛なくスクワットしたい」
「歩きやすくなりたい」
など、具体的な目標を設定します。
STEP3:動作のどこに問題があるのかを考える
単純に「姿勢が悪い」と判断するのではなく、
「なぜその姿勢になるのか?」
「どの関節が動いていないのか?」
「どの筋肉が使えていないのか?」
などを考えます。
STEP4:必要な機能をトレーニングする
必要に応じて、
・筋力トレーニング
・ストレッチ
・モビリティエクササイズ
・バランストレーニング
・ピラティス
・動作練習
などを組み合わせます。
STEP5:実際の動作で確認する
最後に、
「歩けるようになったか」
「階段が楽になったか」
「スクワットが改善したか」
「痛みが変化したか」
など、実際の生活や目的とする動作につながっているかを確認します。
ここまで行って初めて、「身体の使い方が改善した」と考えることができます。
よくある質問(FAQ)
Q. 正しい姿勢を意識すれば身体の使い方は改善しますか?
A. 姿勢を意識することは一つの方法ですが、それだけで身体の使い方がすべて改善するわけではありません。
関節可動域、筋力、バランス、動作パターンなども関係します。
Q. 正しい姿勢なら腰痛になりませんか?
A. 「正しい姿勢なら腰痛にならない」とは言い切れません。
腰痛にはさまざまな要因が関係するため、姿勢だけで原因を判断することはできません。
Q. 膝が内側に入るのは必ず悪いフォームですか?
A. 膝の動きだけで良い・悪いを判断することはできません。
股関節、足部、体幹、可動域、筋力、痛みなどを含めて評価することが重要です。
Q. 身体が硬い人はストレッチをすればいいですか?
A. 必要な可動域が不足している場合にはストレッチなどが有効な選択肢になります。
ただし、すべての「硬さ」がストレッチ不足によるものではありません。
目的となる動作に必要な可動域を確認することが重要です。
Q. ピラティスで身体の使い方は改善できますか?
A. ピラティスは身体のコントロールや動作を意識する運動として活用できます。
ただし、目的や身体状態によって必要な運動は異なるため、ピラティスだけを行えばすべて解決するというものではありません。
Q. 筋トレをすると身体の使い方も良くなりますか?
A. 筋力が不足している場合には筋力トレーニングが重要です。
ただし、筋力がつけば自動的にすべての動作が改善するわけではありません。
実際の動作の中で、その筋力を適切に使う練習も必要です。
Q. 理学療法士は何を見て身体の使い方を判断するのですか?
A. 姿勢だけではなく、関節可動域、筋力、バランス、身体の左右差、痛み、動作パターン、重心移動などを総合的に確認します。
また、本人が何に困っているのか、どのような動作を改善したいのかも重要な評価材料になります。
まとめ|「正しい身体の使い方」は一つではない
「正しい身体の使い方」と聞くと、
「背筋を伸ばす」
「膝を正しい位置にする」
「お腹に力を入れる」
など、一つの正解を思い浮かべる方が多いと思います。
しかし、理学療法士の視点では、身体の使い方をもっと広く考えます。
重要なのは、
姿勢だけを見るのではなく、身体全体がどのように動いているのかを見ること。
そして、
その人の目的に対して、必要な身体機能を適切に使えているかを見ること
です。
身体の使い方を改善するためには、
評価
↓
原因・課題の整理
↓
必要な機能へのアプローチ
↓
実際の動作練習
↓
再評価
という流れが重要になります。
「姿勢が悪いから直す」
「筋肉が弱いから鍛える」
だけではなく、
「なぜその動きになっているのか?」
まで考えることが、本当の意味での身体改善につながります。
そして、身体を良くすることは「きれいなフォームを作ること」だけではありません。
痛みなく歩ける。
階段を楽に上れる。
趣味を楽しめる。
旅行に行ける。
運動を続けられる。
年齢を重ねても自分の身体で生活できる。
こうした「やりたいことを身体で実現できる能力」こそ、本当の意味で身体の使い方を改善する価値だと私は考えています。
フィジオコンディショニングラボが大切にしていること
当ジム・治療院では、単純に「正しいフォームを教える」ことだけを目的にはしていません。
理学療法士として、
・姿勢
・関節可動域
・筋力
・身体の左右差
・バランス能力
・動作パターン
・痛み
・身体の使い方
などを確認したうえで、一人ひとりに必要な運動を考えます。
パーソナルトレーニングでは筋力や身体機能を高め、ピラティスでは身体のコントロールや動きを意識しながら、必要に応じて運動療法やコンディショニングを組み合わせます。
「姿勢を改善したい」
「身体の使い方を見直したい」
「トレーニングをしているけれど、なぜか痛みが出る」
「自分に合った運動方法を知りたい」
「年齢を重ねても動ける身体を作りたい」
このような方は、まず現在の身体がどのように動いているのかを知ることから始めてみてください。
正しい身体の使い方とは、誰かのフォームをそのまま真似することではありません。
自分の身体を理解し、自分に必要な動きを身につけること。
それが、理学療法士が考える「正しい身体の使い方」です。
名古屋市天白区・植田駅周辺で、姿勢改善、痛み改善、身体機能改善、パーソナルトレーニング、ピラティスなど、自分の身体に合った運動を始めたい方は、お気軽にご相談ください。
