水はありふれていますが、
非常に他の物質とは異なる特殊な性質を持っています。
それゆえにこそ重要な地位を占めています、
人間にとって、地球にとって。
ドリンクに浮く氷。
これ、当たり前に思って、疑問を感じないかもしれませんが、
すごく不思議なことなんです。
だって、どう考えても、
液体が固まって固体になるんだから、
固体のほうが重い(密度が大きい)はず。
実際、ほとんどの物質で固体のほうが重いです。
ところが、水は固体のほうが軽いんです。
だから、氷が水に浮くのです。
水が固体のほうが軽い理由は次のようです。
高校化学で習いますが、
水分子は極性を強く帯びていて、
水素結合をおこないます。
固体の水は、水素結合によって、
非常に規則正しい、そして、隙間の多い結晶構造を取っているのです。
水が固体から液体になると、その隙間に分子が入り、密な構造になります。
したがって、液体のほうが密度が大きいのです。
水とその他の物質の三相図を描くと違いがはっきりします。
大きな違いは、
固体状態と液体状態の間の曲線(融解曲線)の傾きが逆になる、
ということです。
水は約4℃が一番重いです。
冬の池や湖の水も4℃の水が底に沈んで、
水面が凍っても、底の水が凍ることはありません。
ですから、魚は冬でも泳げるのです。
氷上のワカサギ釣りが可能なのも水の特性があってのことです。
水の特性として、
比熱、融解熱、気化熱が非常に大きい、
というのもあります。
比熱が大きいというのは、
水にちょっと熱を与えたり、奪ったりしても、
温度が変わりにくいということです。
これは地球の温度環境が一定範囲に保たれるのに大きな役割を果たしています。
もし、温度が激変したら、生命にとって過酷な環境になってしまいます。
水が豊富にあると、生命は存在しやすいのです。
日本の観測史上の最高気温をマークした地点を見てみましょう。
イメージでは沖縄とかが高温をマークしてそうです。
しかし、沖縄はベスト20にも入っていません。
ランク上位の特徴は内陸だということです。
海辺など水があると温度は変わりにくいのです。
水辺から離れている内陸や砂漠は、
温度の変化が激しくなります。年間についても、1日についても。
京都は、夏が暑くて、冬は寒い、
などと言われるのもこれが理由です。
また、水は気化熱が大きいので、
やかんでお湯を沸かすとき、
やかんについた水滴は拭いておくと
省エネになります。
比熱、融解熱、気化熱が大きい理由は、
これも水素結合です。
このあたり、
高校物理の熱力学や、
高校化学の物質の状態、
で習います。
最後に、
水は反応の場として非常に重要です。
高校化学に出てくる反応のほとんどは
水溶液環境で行われます。
水溶液で行われない反応は
融解塩電解
アルカリ融解
などと特に区別して名前がついていたりします。
ちなみに、
前者は、アルミニウムなどイオン化傾向の大きな金属の単体を作る方法
後者は、フェノールの製法の1つです。
生命反応もほとんど水溶液環境で行われます。
そういう意味でも水は生命にとって欠くべからざるものです。
以上、水はありふれて、かつ、特殊で重要です。
もっと詳しく知りたい人はこちら↓