私たちは「良い姿勢」を考えるとき、身体の配置や筋肉のバランスといった、目に見える構造に注目しがちです。

骨格のアライメント、重心線の位置、関節にかかる負荷。
こうした運動学的な理解は、効率的で安全な指導を行う上で欠かせません。

では、その姿勢は一体、どのようにして保たれているのでしょうか。

私たちの姿勢は、
視覚・前庭覚・体性感覚から絶えず送られる感覚情報をもとに、
脳幹、小脳、大脳皮質が階層的に関わりながら、
瞬間ごとに微細な調整を繰り返すことで成り立っています。

この神経系の働きに目を向けると、
「なぜこの人はこのアライメントが取りにくいのか」
「なぜ同じ指導でも反応に個人差があるのか」
といった、指導現場で感じてきた疑問に、別の角度からの理解が生まれてきます。

今年は神経生理学の講座を数年振りに開催します。

運動学が、動きや姿勢の「構造的な条件」を整理する学問だとすれば、
神経生理学は、それが身体の中でどのように調整され続けているのかを扱います。

両方の視点を行き来できるようになることで、目の前のクライアントに対して、何を修正するのか、何を待つのか、その判断の精度が変わってきます。

本講座では、姿勢制御だけではなく、運動がどのように学習され、身体の中の「使い方のイメージ(身体表象)」がどのように更新されていくのか。そして、痛みとは何なのか?
これらを神経生理学の視点から整理し、よりよい動きを身につけていく過程を、指導者としてどのように支えられるのかを考えていきます。

すでに運動学を学んできた方にこそ、身体の見え方が一段深まる時間になるはずです。

 

神経生理学 ご興味のある方はリンクをご覧ください。

 

パピー期の愛犬。何かを学習する時には神経系の働きがかかせません。

 

スタジオアクセス  奈良県桜井市 桜井駅より 徒歩3分

 

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身体運動学 (2025/7/28~開催)


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初日の出を見ていたとき、深い青から少しずつ明るくなっていく空の色が印象に残りました。
グラデーションのように刻々と色が変わり、周囲の景色がゆっくりと明るくなっていく。その変化の途中に立ち会っている時間が、とても心地よく感じられました。

年のはじめに「今年こそは○○をしよう」と目標を立てても、気づけば日常に戻り、いつの間にかその目標を思い出さなくなっている。そんな経験は、決して少なくないのではないでしょうか。それは意志が弱いからではなく、変化を“結果”だけで捉えようとするから難しいのかもしれません。

プロセスという視点で見てみると、私たちの身体もまた、日々少しずつ変化しています。大きな達成感や劇的な変化は感じられなくても、その日の身体の感覚や動き方は、昨日とまったく同じではありません。その小さな違いを追っていくことで、長い目で見たとき、気づかないうちにゴールへ近づいていることもあるように感じています。

ピラティスもまた、そうしたプロセスを大切にする時間だと思っています。
特定のエクササイズができるようになることや、見た目の変化だけを目指すのではなく、動きの中で何を感じ、どのように調整していくのか。その積み重ねが、身体の使い方そのものを少しずつ変えていきます。

セッションやクラスで意識しているのは、ピラティスの時間が日常動作につながっていくことです。立つ、歩く、座る、物を持つ。そうした何気ない動作が少し楽になるだけで、身体との付き合い方は大きく変わります。そのための土台を整えていくことを、今年も丁寧に続けていきたいと考えています。

その土台づくりも、一度で完成するものではありません。
身体は日々変化し、その時々で必要なサポートも変わります。だからこそ、今の状態を感じ取り、選び直しながら進んでいく。そのプロセス自体が、ピラティスの大切な価値のひとつだと思っています。

今年は、結果を急ぐのではなく、変わっていく過程に目を向けながら。
ピラティスを通して、日常動作を楽にするための土台を、一人ひとりのペースで育てていく。その時間を、これからも大切にしていきたいと思います。

本年も、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

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文章を書くことは、もともと得意ではありません。
それでも、月曜に書くと決めて習慣にしてみると、身体と向き合うときと同じように、がんばらなくても続く形が見えてきました。今年は実に5年ぶりに、毎週月曜の投稿を欠かさず続けることができました。

ここでは、日々のセッションでクライアントさんにお伝えしていることや、クラスの中で触れたことを、他の方にもシェアする気持ちで文章にしてきました。こうして文字にしていくことは、自分自身の思考を整理する時間でもありました。

書き続けるうちに、「自分が何を大切にしたいのか」も、少しずつクリアになってきます。何を書こうか迷ったときに自然と浮かんでくるのは、派手さや新しさよりも、地味だけれど本質的なことでした。すぐに結果が出る方法より、時間をかけて身体が変わっていく過程。正解を押し付けることより、本人が感じ、選び取れる余地を残すこと。そうした考え方が、自分の軸として言葉になっていったように思います。

日々のセッションの中でも、その軸は自然と表れています。
人の身体は本当に千差万別で、同じことをしても反応はまったく異なります。しかも、その状態は日々変化していくものです。だからこそ、「こうすれば必ずこうなる」という答えを用意するよりも、その時々の身体の反応に耳を傾けながら、変わっていくプロセスそのものを大切にしたいと考えています。

すぐに目に見える変化がなくても、昨日とは少し違う感覚に気づけたり、これまでとは違う選択ができるようになったりする。そうした小さな変化を味わいながら、自分の身体と付き合っていくことを、クライアントさんと一緒に楽しめたらと思っています。

だから来年も、派手ではないけれど本質的なことを、変わらず書き続けていきたいと思います。文章にすることで思考を整え、自分自身の軸を確かめながら、身体と向き合う時間の質を大切にしていけたらと思います。

今年も一年、読んでくださり、そして日々のセッションを通して関わってくださり、ありがとうございました。
どうぞよいお年をお迎えください。

 

 

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私たちは意識的に考えることもなく、倒れずに立ち、歩き続けることができます。その背景にあるのが、姿勢調整としての反射的な仕組みです。

「反射」と聞くと、膝のお皿の下を叩くと脚が跳ね上がる、あの反応を思い浮かべるかもしれません。それも反射の一つですが、姿勢に関わる反射は、もっと静かで、目立たないかたちで働いています。

※ここでいう「姿勢に関わる反射」とは、単純な脊髄反射に限らず、脳幹や小脳なども含む、自動的な姿勢調整を広く指しています。

姿勢調整に関わる反射は、「感覚からの情報を受け取り、ほとんど意識を介さずに起こる身体の調整」です。姿勢が崩れたことに「気づいてから」動く、あるいは揺れを「感じてから」修正する、というよりも、「感覚入力 → 神経系での処理 → 筋活動」が非常に短い経路で結ばれ、身体が先に応答しています。多くの場合、私たちはその調整が起こった「あとで」結果を自覚しています。

ここで、前回触れた感覚・知覚・認知という3つのレベルに立ち戻ってみます。

感覚:反射の出発点
 ・筋がわずかに伸びた
 ・重心が足の外側に移動した
 ・頭の位置が変化した
こうした変化が、筋紡錘、皮膚感覚、前庭感覚などによって検出され、感覚情報として神経系に入ります。この段階では、「傾いた」「不安定だ」といった意味づけはまだ行われていません。

知覚:身体の“状態”が把握される
入力された感覚情報は統合され、身体が今、どの方向に、どの程度、安定を失っているか?という状態を把握します。このような、意識的な判断に至る前の身体の状態把握を、ここでは「知覚」と呼んでいます。
姿勢調整に関わる反射の多くは、このレベルで成立します。

「前に倒れそうだ」と考える前に、「前方へ傾きつつある身体」という状態が把握され、それに応じた筋活動が選択されます。

認知:あとから生じる「気づき」
反射的な調整が起こったあとで、
「今、少し揺れた」
「バランスを立て直した」
と理解することがあります。これが認知です。

認知は、姿勢反射を起こすために必須ではなく、起こった出来事を振り返り、意味づける段階だと言えます。


立位での微細な揺れを思い浮かべてみてください。
私たちは常に、前後・左右・斜めへと、ごくわずかに揺れ続けています。そのたびに「今は前」「次は後ろ」と考えているわけではありません。

感覚情報が入り、身体の状態が把握され、反射的に筋活動が調整される。
この繰り返しによって、結果として「立っていられる」という状態が保たれています。
つまり、 揺れを「感じてから」考えて動く、姿勢が崩れたことに「気づいてから」直す、のではなく、身体が先に応答してくれています。多くの場合、私たちはその結果だけをあとから自覚しているのです。

無意識で行われている姿勢調整が自然に働くための“下地”—感覚が入りやすく、身体が反応しやすい状態へと整えてあげることで、より良い姿勢へと繋がっていきます。

 

 

先週末はクライアントさん達とクリスマス会をしました🎄

 

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「姿勢を保つには、ちゃんと感じられていないといけない」
そんなふうに思われることがあります。

けれど実際には、私たちが“感じている自覚”がなくても、感覚情報は絶えず生まれています。

筋がどれくらい伸びているか。
関節がどの位置にあるか。
足裏にどんな圧がかかっているか。
頭がどの方向に傾いているか。

これらはすべて、筋紡錘や皮膚受容器、関節受容器、前庭器官といった受容器によって検出され、神経信号として中枢へ送られています。

つまり「感覚」とは、刺激が検出され、信号として入力される段階を指します。
この段階では、まだ「意味づけ」や「理解」は行われていません。

そして重要なのは、こうした感覚情報の多くが、意識にのぼらないまま処理されているという点です。

末梢で生まれた感覚情報は、そのままバラバラに使われているわけではありません。


視覚、前庭感覚、体性感覚など、複数の情報が中枢で統合され、
 今、身体はどんな位置にあるのか
 動いているのか、止まっているのか
 安定しているのか、揺れているのか
といった身体の「状態」として構成されます。

このように、感覚情報が統合され、身体の状態として立ち上がったものを「知覚」と呼びます。

たとえば、
 「なんとなく前に傾いている感じ」
 「右に体重が寄っている感じ」
 「少し不安定だな」
こうした感覚は、知覚のレベルにあります。

ただし、ここでも必ずしも言葉になる必要はありません。
気づいていなくても、説明できなくても、知覚は成立しています。

これまで見てきた姿勢調節やバランス反応の多くは、
 感覚情報が入力され
 → 知覚のレベルで身体の状態が把握され
 → それに応じて筋活動が調整される
という流れの中で行われています。

つまり、感覚 → 知覚 → 運動というループは、
私たちが「考える前」に、すでに回っているのです。

立っているときの微細な揺れや、つまずきそうになったときの一歩は、「姿勢を直そう」と考えた結果ではありません。知覚された身体の状態に応じて、運動が自動的に選ばれた結果です。

一方で、知覚された状態を、言葉や意味として理解し、評価や意図と結びつける働きを「認知」と呼びます。

たとえば、
 「姿勢が崩れている」
 「バランスが悪い」
 「意識して立ち直そう」
と感じたとき、ここではじめて認知が関わっています。

そして、姿勢調節や運動に必ずしも「認知」は必要ありません。

感じていないから、使っていないのではなく、
感じていなくても、感覚情報は入り、知覚レベルで統合され、運動に反映されている。

この視点を持つと、「もっと意識しなければ」「ちゃんと感じなければ」という力みから、少し自由になれるかもしれません。

身体はすでに、多くのことをうまくやってくれています。
身体の中で自然に生まれる感覚情報が、必要な形で使われる。
その前提条件を整えてあげることが、姿勢や動きの精度を高めていくことにつながります。

 

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