ピエール・ルメートル | ありのす

ありのす

混沌とした毎日の日記
本・ドラマ・おいしい店・音楽・旅行・乗馬

最近まとめ読み。

人気筋になったのか、著作も図書館に全部入るようになりました。

その女アレックスから始まる3部作、天国でまた会おうの3部作(予定)のあとに翻訳が出た、作者原作では第2作目の「監禁面接」。

失業中で職がほしいあまりに家族の忠告も聞こえず暴走する、中年おじさんのびっくりな就職面接。から始まる大騒動。というところで、事件で終始して終わる話が多い中、事件の後もさらにその後も、という畳みかける展開がすごくルメートルらしかった。

 

アレックスを読んでた時は、ごろごろ変わる展開もさることながら、残酷描写もなかなか多くて(この殺人方法はやめてほしいね本当)、フランスのミステリ過激ー!(ある意味斬新)と思ったのですが。

残酷描写を封じた本作も、引き込む力は半端ないです。今日本にはこの力量の作家いるかなあ。

ルメートルの作品では、登場人物も皆キャラがたっていて、人数が多数出てくるからという混乱はあまりない。人物描写が深い上にくっきりしてます。

 

監禁面接に関しては、とにかく文章のテンポも半端なく良くて、これ原文ではどういうふうに描かれているのだろう?というところも興味があります。

まさに高速道路をぶっ飛ばす勢いのノワール小説でした。なんかその場しのぎだけど、人生もなにもなげうつ勢いの主人公(57歳無職!)になんとなく共感します。というか勢いにのみこまれます。頑張れおじさん。

だけどちょっと立ち止まってみると、職よりも金よりも大事な家族と貴重な友人もいたのかもね、という終わり方だった。フランスらしくウィットがあってほろ苦かった。