なんだか話が全く通じない相手がいます。
その方は、会社の経営者ですが、ご自分の事を『成功した経営者』だと自認されておられるので、どんな話も正義はご自分にあります。
つまり、『オレの言っている事は常に正しい』という心境に立っておられます。
そのため、お話の内容が全て相手へのアドバイス、諭しに満ちあふれています。
世間の常識やビジネス上のプロトコルがその方の言動に反していれば、それは世間が間違っているという事になるようです。
そのような方と、最近頻繁にコミュニケーションを取っていたのですが、疲れました。もうこちらから連絡をしたくは無いのですが、そうも行かない事情もあります。
子どもを見ていたら解りますが、どんな人間も1歳児、3歳児のあの素直で可憐なときがある訳です。
やくざで怖いものなしに見える方も、女優ですごく美人で、私が世界一きれいと思っている方も、鼻垂らして、親が鼻水をふいてくれた事は一度や二度では無いと思います。
ですが、ちょっと成功したり、ちょっとおだてられるといい気になるのです。本来の自分を忘れたり、忘れたふりをして、粋がって生きていかないといけなかったりします。
人間というのは、本当に弱くて傲慢な生き物です。
一旦その境地(あちらの世界)に入ると、相手の心情などどうでもよくなるのだと思います。
かといって、その境地に入る相手の状況を相手に理解させるのは本当に難しいです。
あなたはあちらの世界に行っているのですよ!と、こちらの世界でいくら叫んでも全く相手の心には届かないと思います。
ご自分で、痛みを覚えて気がつくしか無いのでしょう。
ということで、私から積極的にその方にアプローチして考えを変える事は諦めました。
自分がもし成功しても、決してそのようにはならない様にしたいと思う今日この頃です。
ちなみに、尊敬する経営者の方は、多少成功してもそのような境地に立ち入ったりしないようです。それとも、入ったのだけど何かのおかげで出てきたのかもしれませんね。
例えば、本田宗一郎さん、ソニーの井深、盛田コンビ、松下幸之助さんもそうですし、卑近な例では、渡邉健太郎さんあたりも充分に成功しているのですが、そんな感じはみじんもありません。
世の中上には上がいます。オレが偉いとなったら見えなくなるものが沢山あるんだなと、その方を見ながらつくづく感じているのです。