潮待ちの港町「鞆の浦」の路地を歩く。 〜広島県福山市鞆町〜 | 旅するカメラ

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豊後水道から流れ込む海流と紀伊水道から流れ込む海流がちょうど瀬戸内海の真ん中でぶつかり、
満潮時と干潮時でそれぞれ流れが逆に変わる。
動力が付いていなかった昔の帆船はその潮の流れに乗って進んでいた為、潮の流れが変わるのを近くの鞆の港で待った。
その為に鞆の浦は「潮待ちの港」と呼ばれ栄えた。

そして今。
幸か不幸か開発の流れに取り残された様に江戸時代のまま風情ある街並が残る事で人気の観光スポットになっている。
最近では宮崎駿の『崖の上のポニョ』の舞台となった事でも有名かもしれない。

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江戸時代の港湾施設が「雁木」「常夜灯」「波止場」「船番所跡」「焚場跡」の5点セットで現存しているののは
ここ鞆の浦だけらしいのだ。

「雁木」とは江戸時代に築かれた船着場の石段。
これによって満潮、干潮に関わらず船荷の積みおろしができるのだ。
現在では浮き桟橋が設置される事が多く、雁木が設置される事は少なくなってしまったとか。
ここ鞆の浦ではそんな珍しい雁木が200メートルも残っている。
この石段も立派な「遺構」なのだ。

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「常夜灯」とは江戸時代の灯台。
基礎の上から11メートルもあり港の常夜灯としては日本一の大きさで、
北前船が往来していた時代から現在に至るまで鞆の浦のシンボルとなっている。

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「波止場」
今も尚、現役で活躍中の波止場も立派な江戸時代の遺構。
この波止場の先から眺める鞆の浦の風景は格別だ。

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「船番所跡」
港の一番先端にある崖の上に建つ。
これが崖の上のポニョの「崖」だとか。


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「焚場跡」
木造の船にはフジツボやフナムシなどが付着する事が多く、船底を焚いて乾燥させなければならなかった。
それを行うのが「焚場」。
干潮時には焚場の石畳が見えるらしい。
潮待ちの港として栄えた鞆の浦は潮目が変わるのを待つ間に焚場で船の修理等も行う様になり船釘などの生産が盛んに行われる様になり、合わせて鉄工産業も発達したと言う。

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そんな港湾施設が有名な鞆の浦だが、路地がまた格別にいい。

少し曲がった細い路地。
この先にはどんな風景が待っているのか・・・冒険心に火がついてしまう。

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観光名所である「いろは丸展示館」や「坂本竜馬宿所跡」や「対朝楼」や「太田家住宅」などもあるのに
思わず路地を歩く事に夢中になってしまった。



この日の昼食は「海彦」にて「ちりめんじゃこ飯定食」。
鞆の浦で結婚式等のお祝い事があった時に昔から出されて来たお膳を元にしているとの事。
質素ながらも優しさが伝わる御膳。





食事後、更に路地探検。
もう既に普通の生活居住空間に突入しているようだったが、ここもまた味があっていい。
海辺の路地の錆びた自転車、これ最高の組み合わせかも。

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猫ものんびり。
そんな潮待ちの港は今ものんびりとした時間が流れている港町だった。

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