前回もキッシュマンに連れられてこの街にあるイスラム教徒の難民キャンプに来た。
そこで片足の少年アーマットに出会った。
「私の一番小さな親友」だとキッシュマンは笑顔でアーマットを紹介してくれた。https://ameblo.jp/photographer28/entry-12324009958.html?frm=theme
この時のアーマットを見守る彼の優しい眼を見て、まだそんなに一緒に時間を過ごしていなかったけどキッシュマンのことを心から信頼できると確信したのを覚えている。
今回もアーマットに会いたいと催促をしていたところ、偶然にも街の中でアーマットを見つけた。
嬉しい偶然だった。
聞くとどうやら数日前に俺らを偶然見かけたらしく、街のどこかにいるだろうと会いに来てくれてたのだ。
早速、アーマットを乗せてサラポロキャンプへと向かった。
例外なく子供たちに囲まれて大騒ぎになった。
キャンプのみんなに集まってもらって現状を聞いた。
前回と何も変わっていなかった。いや、幾つかの場合においては前回来た時よりも悪化していた。
国連やNGOからの援助もストップし、新しい支援の目処のないと俺たちに訴え続ける。
話を聞いた後、キャンプ内を写真に収めていった。
1年前に見させてもらったひどい生活環境は確かに何一つ変わっていなかった。
アーマットの写真も撮った。
「あれ?」
ファインダー越しのアーマットは大人になっていた。
気のせいじゃない。当たり前なんだけど彼らはどんなにしんどい暮らしの中でも懸命に生きているんだ。
みんなにさよならを伝えて車に乗る瞬間に、ふとアーマットの夢を聞きたくなった。
夢を聞かせて!
アーマットは「う〜ん…」なかなか答えられないでいた。
やっぱりこの国では夢を見ることはこんなにも難しいことなのかと諦めかけていた。
「いや、そうじゃないと思う」
マティアスが言うには、周りにたくさんの子供たちに囲まれていて答えにくんじゃないかと。
よし!少しドライブするか!
アーマットを抱き上げて車に乗せると街までゆっくり走った。
街に着く頃、もう一度アーマットに夢を聞いた。
今度は即答してくれた。
「みんなと同じように歩きたい!」
なんだかとっても嬉しくなった。
今まで手を伸ばして伸ばしてその内側に懸命に手を伸ばしても届かなかったものにすーっと柔らかい感触を感じたような気がした。
「ありがとう!」
そう言ってキャンプへと戻るアーマットの後ろ姿を見えなくなるまで見送った。
朝日新聞デジタルにて「5Cプロジェクト」を配信していただいてます!
少しでも多くの方に届きますように。
朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/photo/AS20190131005478.html