あっという間にもう帰国の日。
帰国の日はいつも思う。
「さみしい」って。
さみしいってことは「楽しかった」ってことだよね。
今回もいろいろあって、うまくいかなくて、しんどくて、イライラして、恐怖して、悲しかったけれど、全部ひっくるめて「楽しかった」んだ、俺。
うまくいったこともいかなかったこともシルベスタのように「面白くなってきましたねぇ」って受け止めることが出来たらどんなにいいだろう。
うまくいったことは重要だし大切だけど、うまくいかなかったことはそのまんま失敗の味を徹底的に味わうと思う。
それでとことんどん底まで落ち込んだら、またシルベスタの家族と遊園地に行けばいい。
これだけは言える。
今回は進まなかったけれど、確実に前に進んでいるよ。
何か物事が進んでいなかったとしても、何か問題にぶちあたって、みんなでその壁を乗り越えていく毎に、俺らの絆は確実に強くなってる。
これは間違いない!
そして俺らには大好きなことをやる以外の時間はあんまり無い。
それは「死」という形で父から教わったような気がする。
だからいつだって帰国するときには「さみしい」って思えるように全てを捧げて全力でいきます。
アフリカを愛し、アフリカに愛された写真家として。
そしてこの国の平和を心から願う1人の日本人として。
「私がアフリカに生まれたからではなく、アフリカが私の中に生まれたから私はアフリカ人なのである」
クワメ・ンクルマ ガーナ初代大統領(アフリカ独立運動の父)
「ヒロさん!こっちに来る時、東京は雪が降ってたって言ってましたよね。ここでもほら、雪が降ってますよ!これがアフリカの雪ですわ!」
空を見上げてシルベスタが悪戯っぽく笑う。
夜空を見上げると確かにアフリカの空に雪が舞っていた。
終