食べ終わってお腹いっぱいになると、もう体の手入れとかしないですぐにその場でゴロンと横になった。
「君たちはお手入れしないのかい?」
瑠璃さんが呆れた顔して言う。
❝いつも 綺麗 にしてるか ら、今は良 いのにゃ!❞
「ははっ、そうかいそうかい!」
瑠璃さんは笑いながらオレ等のトイレの後を片付けに行った。
❝なんかさぁ、直に見られるのって、やじゃね?❞
❝だってしょうがないじゃんか。他にどうしろと?❞
❝うーーん・・・・❞
しばらく考えてたアイツが、ハタと気づいたらしく、
❝木の枝 とか葉っ ぱなんか を積み 上げて隠 すっての はどうだ?❞
❝あっ、それ、良いかも。どうせ、やった後は、手でカキカキ 砂掛け するもんな。❞
❝じゃぁ、する前に葉っぱとか枝を集めないとだね。❞
なんて話をしてる所に、瑠璃さんが戻って来た。
「何の話?」
❝いや、べちゅに。❞
異口同音に同じ事を言ったもんだから、
「おやまあ。三人揃って何を企んでんだか!?」
❝あしゅたの、楽しみ、ね。❞
おチビがニタリ貌で言う。
「まぁ良いわ。じゃあまた夕方ね。」
と言って、瑠璃さんが楽しそうに帰って行く。オレ等はその背中を見送って、
❝瑠璃しゃん、何か、ちゃのしそう、だけど?❞
❝オレは、知らん。❞
❝夕方、またご飯持って来るって言ってたね。❞
❝明日って言ったんだから、明日で良いじゃん。それとも今日する?❞
❝今日はもう、出ないよ。明日は分かんないけど。❞
❝まぁ、良いじゃないの。なるようになるさ!❞
❝そだな。❞
❝そじゃね。❞
ー---------いったい何の話をしている事やら。
ゴロンと横なりながらも、三猫は寝る訳でもなく、ぽや~~としている。
だが、しばらくして一番のチビが寝息を立て始めたら、みんな寝てしまった。
❝わん!わわん!❞
いきなりの犬の鳴き声に三猫慌てて飛び起きた。
❝おいっ、逃げるぞ!❞
新入りはもう、一目散に東の草原に逃げ込んだ。俺とチビは、出来るだけ早く、早くと
北側の山に逃げ込んだ。オレ等の後を追って来た犬は、斜面の石の上に足をかけてハァハァと言ってる。
背は低いが沢山葉の茂ってる樹によじ登り、俺とチビは様子を見る事にした。
「弁慶、何やってるの?もう鎖離すと一目散なんだからぁ~~!」
飼い主と思われる人間が、手に鎖をぶらぶらさせながら追いかけて来た。弁慶と呼ばれた犬は振り返ると、とことこと飼い主の許に帰って行った。
「いきなり走り出さないでよね!追いかけるの大変なんだから!」
飼い主は犬の頭にこつんと拳を当てた後、首輪につないで帰って行った。
❝にゃん、だったにょ?あれ!❞
初めて見たらしいでっかい犬を見て、おチビの背中の毛は総毛立っている。怖かったらしい。
❝あれは、多分犬だ。あんなにデカいのは初めて見たよ。もちっとちっこいのなら何回か見てるけど、オレを襲っては来なかったな。❞
恐る恐る山から出ると、新入りも草原から出て来た。そしてオレ等の方へ駆けよって来て
❝大丈夫か?何かされなかったか?❞
と、声を掛けて来た。
❝あぁ、大丈夫だ。石のとこまで追いかけられたけどな。❞
❝まったく。寿命が縮んだぜ。❞
❝にゃ?おいちゃんも、びっくり、ちた?❞
❝そりゃそうさ。あんなデカい犬がいるとは思わなかったからな。❞
つづく
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