松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~ -32ページ目

松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~

創造芸術は人間の根源的な表現欲求と知的好奇心の発露の最も崇高な形。音楽家・作曲家を目指す貴方、自分の信じる道(未知)を進んでいきましょう。芸術・音楽・文化と共に人生と社会を豊かにしていきましょう。~頑張れ日本!〜がんばろうニッポン!

ドミートリイ・ドミートリエヴィチ・ショスタコーヴィチ
(Dmitrii Dmitrievich Shostakovich / 1906-1975)の
交響曲(全15曲)の探訪を先々週からアップしています。

ベートーヴェン以降のシンフォニストのジンクスであった
「交響曲第9番」を超えることが不可能ではないかという
大きく聳え立っていた壁を越えて、
あのマーラーも為し得なかった二ケタ番号交響曲の完成という
偉業を若くして成し遂げたショスタコーヴィチは、
さらに孤高の境地を歩んでいきます。

意表を突いた小振りな<第9番>が
"ジダーノフ批判"の対象になってしまうという苦境を乗り越えて、
1953年に<第10番>の発表によって
<第7番>以来の"戦争シリーズ"を完結すると、
20世紀序盤の事件に題材をシフトしていきました。
<第11番「1905年」>は、ロマノフ王朝末期の
「血の日曜日」事件を扱った表題交響曲、
そして、1961年に初演されたこの<第12番「1917年」>は、
レーニンによる「十月革命」を題材とした表題交響曲でした。

この<第11番>と<第12番>は多分にプロバガンダ的な作品で、
(実は<第11番>には隠されたメッセージがあるようですが)
特に<第12番>は今日では滅多に演奏されません。
しかし、この<第13番>は久しぶりに声楽(合唱)を導入した
交響曲であると同時に、そこに使用したテキストが、
極めて刺激的な内容になっています。

1975年に行われた早稲田大学交響楽団(指揮:山岡重信)による
日本初演を聴いている私としては、想い出深い作品です。
「バービィ・ヤールに記念碑はない・・・」という
意味深長な歌詞で始る、全5楽章約60分の大曲です。

この作品が発表された1962年当時のソ連は、
"雪解け"の時期で、非スターリン化が進行していました。
その状況の中で大胆にも、エヴゲニー・エプトゥシェンコの
体制批判的な詩をテキストに用いて、
初期の交響曲以来封印してきた声楽付交響曲のカタチを
復活させた作品になっている、問題作なのです。

作品の内容を問題視した当局の妨害工作にも挫けずに、
キリル・コンドラシン指揮&モスクワ・フィルハーモニーの
演奏によって1962年12月に初演された時には、
聴衆から熱狂的な拍手が沸いたと伝えられています。

"バービィ・ヤール"はキエフ近郊にある渓谷の名前で、
第二次世界大戦中にウクライナを占領したナチス・ドイツが、
ユダヤ人を(更にはロシア人やウクライナ人までも)
数万人規模で虐殺した地なのです。

折しも、現在のウクライナは、
ロシアと西欧の思惑の狭間に揺れ動き、
内乱状態に近い混乱した状況になっています。
2013年5月に私が
ファイナル・コンサートの指揮者としてドネツクを訪問した時は、
平和で美しい街の風景と、音楽を愛する多くの市民の皆さんが
とても好ましかったウクライナでしたが・・・
平和な解決を願ってやみません。

そして、1975年に行われた早稲田大学交響楽団
(指揮:山岡重信)による日本初演を聴いている私としては、
とても想い出深い作品です。
「バービィ・ヤールに記念碑はない・・・」という
意味深長な歌詞で始る、全5楽章約60分の大曲です。

##交響曲 第13番 変ロ長調『バービィ・ヤール』作品113##

着想当初は1楽章形式による交響詩として計画されたそうですが、
同じ詩人の他の作品も組み合わされて、
 第1楽章「バービィ・ヤール」 第2楽章「ユーモア」
 第3楽章「商店」 第4楽章「恐怖」 第5楽章「立身出世」
という5楽章構成を持つ大作になりました。

[第1楽章]「バービィ・ヤール」
反ユダヤ主義を糾弾する内容を持つ、
極めて刺激的な内容の楽章です。

[第2楽章]「ユーモア」
"どんな支配者もユーモアを手なずけることはできなかった"
という、反体制的な皮肉に満ちた、スケルツォ的な楽章です。

[第3楽章]「商店」
どんな季節でも行列に耐えて買い物をする女性達を讃え、
そんな庶民から暴利をむさぼろうとする商店を揶揄するといった
これまた皮肉に満ちた歌詞の内容を歌う楽章です。

[第4楽章]「恐怖」
スターリン時代の粛正や密告の横行は影を潜めてきたものの、
今度は、虚偽等の蔓延といった新たな恐怖が存在している
という意味深長な内容による、冷徹な楽章です。

[第5楽章]「立身出世」
その昔に地動説を主張し続けて弾圧された
あのガリレオ・ガリレイを例に引いて、世俗的出世を捨て、
危険を顧みず、人々に呪われてでも信念を貫き、
後の世に認められる生き様こそが真の「立身出世」であると、
ややパロディック歌い上げて全曲を閉じます。



何とも謎めいた雰囲気でかつ重苦しくもあり、
またパロディー精神にも溢れた、
交響曲らしくない交響曲です。
私の仕事場のライブラリーに在るCDはこの1枚です。

CD:ショスタコーヴィチ/交響曲第13番「バビ・ヤール」
   キリル・コンドラシン指揮
   バイエルン放送交響楽団 & バイエルン放送男声合唱団
   PHILIP / PROA-30
コンドラシン盤
このところ、夕方の記事シリーズとして、
映画「007シリーズ」の記事を続けています。



シリーズの世界的な大成功によって、
ジェームズ・ボンド=シューン・コネリーという印象が
すっかり定着しました。
そのような状況の中で、第6作「女王陛下の007」の
ジェームズ・ボンド役に、オーストラリア人の若手俳優=
ジョージ・レゼンビーが起用されました。

結局、レゼンビーはこの一作のみの起用に留まりましたから、
必ずしも幸運な出会いではなかったのかもしれませんが、
映画自体はなかなか素敵な作品になっています。

犯罪組織のボス=ドラコから、
一人娘=テレサとの結婚を頼まれたボンドは、
情報を得るためにそこに取り入っていくのですが、
最後には心からテレサを愛するようになって、
この映画の最後ではハネムーンに出発します。
しかしそこで・・・
このシリーズでは珍しい、悲しいラストシーンです。

今回も、ポルトガルやスイス等でロケが行われ、
高級リゾートや歴史的市街地等の風景が次々と登場します。
珍しいカーリングのシーンや、
同シリーズの他の作品にも度々登場するスキーシーン等、
ウィンター・スポーツの場面も見物です。

YouTube / 女王陛下の007 (字幕版) MGMvodJP


#####映画「女王陛下の007」#####

1969年作品 監督=ピーター・ハント
タイトル音楽=On Her Majesty's Secret Service
       (インストゥルメンタル)
ジェームズ・ボンド=ジョージ・レゼンビー
ボンドガール=ダイアナ・リグ
ボンド・カー=アストンマーチンDBS
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今日は2021年に初演されたの作品の紹介です。

 

 

この写真の五つのガラス製のボウルは、実が楽器です。

クリスタルボウルと呼ばれるものです。

一般的には瞑想やヒーリングに用いられる効果音発生音具

のように思われているかもしれませんが、ステキな音色と

確かな存在感を持つ楽器として認識して良いと思います。

 

2019年に、クリスタルボウルの若き使い手、鈴木充子さんに

知己を得ることができたことによって、私はこの楽器に注目しました。

先ず第一弾として《天空悠遊》〜笙とクリスタルボウルの為に〜を書き、

2020年1月に二つの演奏会で初演されました。

そして第二弾として《天空悠遊Ⅱ》〜箏とクリスタルボウルの為に〜を書き、

2020年12月に初演されました。

そして、第三弾として、私が所属する作曲家同人"チーム百万石"主催で

琵琶に焦点を当てた企画<琵琶百万石>を開催するにあたって、

《天空悠遊 III》〜琵琶とクリスタルボウルの為に〜を作曲したという訳です。

 

持続音が主要な魅力であるクリスタルボウルから生成されるミステリアスの

音空間の中に、撥弦楽器である琵琶の減衰音が漂うことによって、

神秘的な時空が生成されていく作品です。

曲は、拍節感とは無縁の漂うような序の後、

執拗な同音連打と不規則なリズムが交錯しつつ

次第にヴォルテージを上げていく楽想で一気に頂点に駆け上がった後、

音楽は静寂の彼方に消 えていく・・・と進みます。

 

初演は薩摩琵琶とクリスタルボウルの組み合わせですが、

勿論、筑前琵琶でも演奏可能な作品です。

 

###《天空悠遊 III》〜琵琶とクリスタルボウルの為に〜###

          (2021年作曲)

 

初演演奏会:2021年10月23日(土)15:00開演

      KMアートホール(幡ヶ谷)

        【琵琶百万石】

  演奏 川嶋信子(薩摩箏)

     鈴木充子(クリスタルボウル) 

 

 

 

国際木文化フェスティバルの日本初開催の各種イベントの回想を続けています。

《World Wood Day 2025 Japan》(《ワールト・ウッド・デー 2025 日本大会》)

(略称:WWD2025)は、2025年3月から11月にかけて断続的に開催されました。

SDGsにも繋がる、地球環境持続的保全の根幹にも関わる"木の良さ"(Wood is Good !)を

スローガンに掲げる、IWCS国際木文化学会(本部USA/CA)とJWCS(一社)日本木文化学会が、

ワールト・ウッド・デー 2025 日本大会実行委員会を組織して開催した国際フェスティバルでした。

皆様のご注目、ご来場、誠にありがとうございました。

 

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3月16日〜19日の仙台でのシンポジウム、3月20日開催の<オープニング・コンサート>、

そして3月21日から27日にかけて展開する<国際青少年木工交流キャンプ>に続いて、

会場を東京大学田無演習林に移して<植樹活動>の式典が行われた後、

4月に入ると、富山県の井波彫刻を会場としての<国際木彫キャンプ>と展開して、

5月下旬には国内3カ所を移動しながら<木工ろくろ実演>が開催されました。

 

木工ろくろ実演

開催日:5月24日~26日    会場:ナカジマウッドターニングスタジオ(大阪府)

開催日:5月28日〜30日    会場:駿府の工房 匠宿(静岡)

 

 

開催日:5月31日〜6月1日 会場:Mt. Fuji Wood Culture Society「まなびの杜」(山梨県河口湖)

 

世界にはさまざまな木工ろくろが息づいています。

日本国内はもとより世界からそういった木工ろくろのエキスパートが集結して、

それぞれの技術を披露したり相互に啓発し合って研修を行うイベントが、

三ヶ所の会場を渡り歩きながら展開されました。

 

 

 

 

毎年の3月21日は、IWCS国際木文化学会が提唱する World Wood Day であり、

国連が制定している 国際森林デー でもあります。

また、10月8日は日本の「木の日」です。

概ね、この3月21日から10月8日にかけての約半年間の会期の中で、

全国各地で各種イベントの断続的な開催を展開する分散開催方式で、

《World Wood Day 2025 Japan》/《ワールド・ウッド・デー2025日本大会》

を開催してまいります。皆様のご注目、ご来場、ご参加をお待ちしております。

 

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開設まもないWWD2025日本語サイトです。今後逐次、情報を更新していきます。

 

 

英語サイトはこちらです。

https://www.worldwoodday.org/2025/

 

明日以降も、各イベントを回想する記事を連続掲載していきます。どうぞお楽しみに!

 

 

アシェット・コレクションズ・ジャパン株式会社が発行してきた
「国産鉄道コレクション」(全240巻/発行完了)の付録の模型の写真を中心に、
全号を順番に振り返る記事シリーズを紹介を続けています。
今回は第203巻の紹介です。

 

 

毎号のお楽しみになっているNゲージサイズ車両模型ですが、本号では、

昭和50年代に一般客車の近代化のために製造されてJRに受け継がれて活躍した

50系客車の緩急車オハフ50形のオリジナル色をまとった姿をお楽しみいただけます。

 

 

それではいつものようにパッケージを解いて、

奥底から第203巻の冊子を取り出しましょう。

 

 

巻頭記事はこのところの通例で、付録模型の車両形式の解説です。

50系客車は、国鉄が最後に開発した一般形客車でした。

赤い車体でデビューして主に地方都市の通勤・通学輸送に活躍しました。

「レッドトレイン」の愛称で親しまれました。

 

 

次のページは、JR九州オリジナル初の近郊形電車、811系交流電車の特集です。

国鉄分割民営化によりJR九州が発足した後、

輸送量の多い北九州地区のサービス改善を目指して投入された新型電車でした。

増備途中にマイナーチェンジを重ね、近年は更新工事が進行中で、

VVVFインバータ制御化と主電動機換装と回生ブレーキ採用で走行メカニズムを一新して、

更に混雑対応のために室内をロングシートにするという大胆なリニューアルが進行中です。

 

 

更にページをめくると、このところ続いている海外の機関車の話題で、

ドイツ鉄道の99-7形蒸気機関車の特集です。

ザクセン州には古くから多くの狭軌鉄道が存在しますが、

そこで活躍してきた蒸気機関車を知ることができます。

 

 

「鉄道建築」シリーズでもよさそうな記事ですが、

「日本の鉄道の歴史」シリーズは、姨捨駅舎の特集です。

"日本三大車窓"のひとつ、善光寺平ゐ見渡すパノラマを望むことができる

絶景駅ですが、エキゾチックな洋館スタイルの木造駅舎も健在です。

 

 

巻末記事はいつものように「観光列車」シリーズです。

本号では、日本初の300km/h営業運転を実施したJR西日本の新幹線車両、

500系の特集です。航空力学を応用した流れるようなフォルムが特徴的で、

国内外から注目され大いなる人気を博しました。

ビジネスと観光の両面で大いに魅力的だったエポックメイキングな車両でした。

 

 

「国産鉄道コレクション」シリーズは、まだまだ続きます。

 

 

 

 

 

<Music of Our Time 2025> 

       【ルイジ・ノーノ×イサオ・ナカムラ(指揮)】
                〜《Risonanze erranti》日本初演〜

    

今年も日本現代音楽協会主催音楽祭<Music of Our Time>が開催されています。

既にコンサート・イベント6公演中の5公演の開催を終了しています。

今日は今年の音楽祭の最後を飾る打楽器作品公演は、いよいよ明後日の開催です。

今年のMOF2025のトピックとなる公演です。どうぞご来場ください。

 

↓ <Music of Our Time 2025>二つ折りチラシ(外面)

 

【ルイジ・ノーノ×イサオ・ナカムラ(指揮)】
  〜《Risonanze erranti》日本初演〜

2025年1223日(火)18:30開場 19:00開演
会場:日暮里サニーホール(JR、京成「日暮里」駅 南改札より徒歩1分)

 

渡独間もないイサオ・ナカムラとノーノが探し当てた“一番大きな音”とは?
その発見から一気に書き上げられたのが《Risonanze erranti》である。
2024年に生誕100年を迎えたノーノ。そして今年、生誕90年の盟友ラッヘンマン。
師弟の響きがここに交わる。(国際部「世界に開く窓」企画制作:福井とも子)

 

1.ヘルムート・ラッヘンマン/Interieur I (作曲1966年)
打楽器 高瀬真吾

 

対談 長木誠司×イサオ・ナカムラ

 

3.ルイジ・ノーノ/Risonanze erranti (作曲1986/87年)
指揮:イサオ・ナカムラ コントラルト:福原寿美枝
フルート:木ノ脇道元 チューバ:橋本晋哉
打楽器:大場章裕・大家一将・神田佳子・窪田健志・新野将之・藤井里佳
エレクトロニクス:有馬純寿

 

●座席一般券:3,500円 ⇒ ネットで購入
●座席学生券:2,000円 ⇒ ネットで購入(入場時要学生証)
●インターネット視聴券:3,000円 ⇒ ネットで購入

 

主催:特定非営利活動法人日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)
助成:一般社団法人 日本音楽著作権協会 公益財団法人 三菱UFJ信託芸術文化財団
公益財団法人 花王芸術・科学財団(12/23) 芸術文化振興基金(12/23)
後援:一般社団法人 日本音楽作家団体協議会

 

↓ <Music of Our Time 2025>二つ折りチラシ(内面)

ドミートリイ・ドミートリエヴィチ・ショスタコーヴィチ
(Dmitrii Dmitrievich Shostakovich / 1906-1975)の
交響曲(全15曲)の探訪を先々週からアップしています。

弱冠19歳で書いた<交響曲第1番>(1926)が大評判となって、
国際音楽界に衝撃的なデビューを果たしたショスタコーヴィチは、
その後はソヴィエト体制の中での葛藤の中で
したたかに創作活動を続けていきました。

国威発揚讃歌的な作品で単一楽章構成による
<第2番「十月革命」>と<第3番「メーデー」>は、
今では殆ど演奏されません。
巨大な3楽章形式による<第4番>は、
"プラウダ批判"の渦中にあって初演を回避して
長年お蔵入りとなった曰く付きの作品ですが、
今日では名曲の評価が定まってきています。

そして、名誉回復を遂げた<第5番>から、
器楽交響曲の量産が軌道に乗っていきました。
通常の冒頭楽章が欠如したような3楽章構成による<第6番>、
オーソドックスな4楽章構成ながら
巨大な<第7番「レニングラード」>、
冷徹の極みのような5楽章構成の<第8番>、
内外からの期待にパロディックに応えた
<第8番>のミニチュアのような<第9番>と、
40歳を目前にした段階で、既にベートーヴェンと同じ数の
交響曲を発表し終えたショスタコーヴィチは、
あのマーラーも為し得なかった二ケタ番号交響曲の完成という
孤高の境地を歩んでいきます。

<第9番>への"ジダーノフ批判"の苦境を乗り越えて、
1953年に<第10番>を発表し、
<第7番>以来の"戦争シリーズ"を完結すると、
20世紀序盤の事件に題材をシフトしていきました。
<第11番「1905年」>は、ロマノフ王朝末期の
「血の日曜日」事件を扱った表題交響曲、
そして、1961年に初演されたこの<第12番「1917年」>は、
レーニンによる「十月革命」を題材とした
表題交響曲となっています。

この作品は、<第2番><第3番>と並んで、
社会主義リアリズムへの迎合作品とされているもので、
残念ながら今日ではほとんど演奏されないようです。

###交響曲 第12番ニ短調『1917年』作品112###

前作の<第11番>と同様に、
全4楽章が切れ目無しに通奏されます。
演奏時間は、60~70分かかる<第11番>よりは小さいものの、
約40分を一気に聴き通すことになる大作です。

[第1楽章]「革命のペトログラード」
ショスタコーヴィチの冒頭楽章は、たとえソナタ形式であっても
沈痛な第1主題に始る独特の音楽であることが通例ですが、
この曲では珍しく(<第9番>と並んで)古典的なアレグロによる
ソナタ形式が採られ、荘重な序奏に続いて快速な主部が始ります。
減8度音程や減5度音程がアクセントとなって、
音楽の進行の中であちらこちらに顔を出すところが印象的です。
第2主題が延々を前進する場面は英雄的でもあります。
最後は静謐な音楽に収束して、後続の楽章に続きます。

[第2楽章]「ラズリーフ」
レーニンが革命の計画を練ったといわれる湖の名前に因んだ
表題を関した、オーソドックスな複合三部形式による緩徐楽章です。
ショスタコーヴィチらしい厳粛な寂寥感に満ちた音楽です。

[第3楽章]「アヴローラ」
「巡洋艦アヴローラによる砲撃から革命の火蓋が切って落とされた」
と言われている、その巡洋艦の名前が表題として冠されています。
スケルツォ楽章の役割を担った楽章ですが、
スケルツォ風ではありません。
静謐な音楽の始まり、静かに航行した後に砲撃を開始して
勝利に向けて高揚するかのようにヴォルテージを上げて、
そのまま終楽章に雪崩れ込みます。

[第4楽章]「人類の夜明け」
ソナタ形式を応用した終楽章になっています。
ホルンによる勝利のファンファーレを第1主題として始まり、
様々な楽想が交錯しつつ祝祭的に高揚していきます。

ソナタ形式楽章が無く、
長大でやや難解な<第11番>に比べると
かなり分かり易い体制賛美作品になっている
作品と言えるでしょう。それだけに、
未だに西側の評価を得られない曲なのですが・・・。
しかし、絶対音楽作品としても構成が明確で分かり易く、
楽想の抑揚も豊かな交響曲ですから、
もっと演奏されれば人気も獲得できそうに思われます。

YouTube / Shostakovich: Symphony No.12 in D minor
      - Mravinsky / Leningrad Philharmonic Orchestra


流石のこの曲に関しては、
私も生演奏を聴いたことがありませんが、
最近何度かCDを聴きかえしています。
仕事場のライブラリーに在るCDは、インバル盤です。

CD:ショスタコーヴィチ/交響曲第12番「1917年」&第6番
   エリアフ・インバル指揮/ウィーン交響楽団
   DENON/COCO-70764
インバル盤

さて、このシリーズの次回は、私自身が日本初演を聴いている
<交響曲第13番「バビ・ヤール」>です。
映画「007シリーズ」の想い出をアップしています。
今日は、高度経済成長期の真っ只中の日本を舞台に
ロケが敢行された、世界的な名画です。
その名は「007は二度死ぬ」。

イアン・フレミングの原作では、
長編小説シリーズの第11作、
映画「007シリーズ」では第5作にあたります。



#####映画「007は二度死ぬ」#####

1967年作品 監督=ルイス・ギルバート
タイトル音楽歌手=ナンシー・シナトラ
ジェームズ・ボンド=ショーン・コネリー
ボンドガール=若林映子 浜美枝
タイガー田中=丹波哲郎
ボンド・カー=トヨタ2000GT
          (特別仕様オープンカー)
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YouTube / 007は二度死ぬ (字幕版)


東京オリンピック開催直後の時期の、
日本の風景や当時の東京という都市を代表する
景色や空間が、次々と登場します。
まだ真新しい営団地下鉄(現東京メトロ)丸の内線、
オープンして数年のホテルニューオータニ、
東京タワー、旧蔵前国技館、銀座4丁目交差点、等々、
さらには建設途中の高速道路とおぼしき工事中の道路等、
当時の日本が懐かしく思いだされます。

また、姫路城や霧島山や鹿児島県下の漁村等も
再三にわたって美しいシーンとして登場します。
その中で世界に美しさをアピールしたのが、
日本人初のボンドガールとなった、
若林映子と浜美枝の二人でした。
当時としては日本人離れしたプロポーションと美貌が、
戦後の新しい日本のイメージを喚起してくれました。

そして、それらの景観の中を疾走する世界的名車=
トヨタ200GTの特別仕様オープンカーは、
正に世界中からの羨望の的となりました。

また、ホテルニューオータニ(ロケに使用したビル)が
日本の情報部らしい設定で、そこのボスが
丹波哲郎扮するタイガー田中です。
シューン・コネリーとどうどうと渡り合う丹波哲郎は、
晩年の“オカルトおじさん”ぶりしかご記憶にない方からは
想像もつかないほど、カッコいいですよ。

映画の終盤には、火山の火口の中にある秘密基地に潜入して、
ハラハラドキドキの活劇になっていきます。
この場面の描き方は、サンダーバードにも
共通するところが在るように、私は思うのですが。

またこの時代は、米ソのミサイル配備競争や、
NASAのアポロ計画等が推進されていましたから、
社会全体の宇宙への関心が極めて高く、
このシリーズのストーリーの展開にも、
宇宙船やミサイルが頻繁に登場したのでした。

とにかく見どころ満載の「007は二度死ぬ」、
1967年の世界映画興行収入第2位にランクインしました。
日本国内の興業収入では外国映画第2位、
トータルでは邦画「黒部の太陽」に次いで
第2位だったということです。

ナンシー・シナトラが歌うテーマ音楽のYouTube


自作邦楽器作品の紹介を続けてきましたが、

今日は十七絃誕生100周年に寄せて作曲した作品の話題となります。

 

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2021年は十七絃箏の誕生から百周年にあたりました。

偉大なる先人=宮城道雄が考案・ 開発して誕生した十七絃箏は

この百年の間にすっかり邦楽界・邦楽器界に定着して、

現代の邦楽合奏の低音域に充実をもたらしてくれています。

この成果は正に絶大と言うべきでしょう。

その上、合奏の中の低音楽器としてのみならず他の邦楽器との重奏にも

重宝な存在でもあり、また独奏楽器としても魅力的な存在となっています。

 

私自身も以前から十七絃箏の魅力には以前から瞠目され続けていて、

合奏曲や二重奏曲を幾つか書いてきましたが、

いつかは独奏曲を書きたいと心に秘めていたのでした。

そして、この楽器誕生百周年の今年こそ 書くべきタイミングと考えて、

作曲家グループ[邦楽2010]の第10回演奏会に出品するした次第です。

 

曲は、拍節 感を伴わない静謐なエネルギーに満ちた序の部分に始まり、

二面の楽器で演奏しているかのような螺旋が紡がれる音楽の律動に入り、

やがて執拗な連打とアクセントが交錯す る丁々発止の楽想が驀進して

クライマックスに到達した後、静謐な時空に回帰していきます。

かなりの難曲でしたが、気鋭の箏奏者=稲垣美沙さんに

素晴らしい演奏で初演を飾っていただきました。

 

 

♪♪♪ 松尾祐孝《螺旋幻想》〜十七絃箏独奏の為〜 初演公演 ♪♪♪

 

         2021年10月10日(土)  15時開演 

         @ としま区民センター多区的ホール

          《音のカタログ》vol.10

   〜作曲家グループ<邦楽2010>第10回記念コンサート〜

 

         初演奏者:十七絃箏=稲垣美沙

 

 

 

 

 

 

 

チーム百万石2025年度公演《旅する和楽器》は、

10月26日(日)の予定通り開催することができました。

 

会場がほぼ満席となる盛況となり、

大河内淳矢さん(尺八)と川嶋信子さん(薩摩琵琶)の入魂の演奏によって

5人のメンバー作曲家の作品が見事の彫琢され、

更には現代音楽界の秘曲のような存在とも言える武満徹作品「Eclipse/蝕」

のステージも加わり、充実した公演となりました。

 

ご来場いただいた皆様、ご協力いただいた皆様、ありがとうございました。

 

さて、チーム百万石の次回の公演は、

2026年5月16日(土)@KMアートホール《コントラバス百万石》を予定しております。

気鋭の奏者:山本昌史さんを主人公としてお迎えしての企画となります。

どうぞご期待ください。