松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~ -16ページ目

松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~

創造芸術は人間の根源的な表現欲求と知的好奇心の発露の最も崇高な形。音楽家・作曲家を目指す貴方、自分の信じる道(未知)を進んでいきましょう。芸術・音楽・文化と共に人生と社会を豊かにしていきましょう。~頑張れ日本!〜がんばろうニッポン!

アシェット・コレクションズ・ジャパン株式会社が発行してきた
「国産鉄道コレクション」(全240巻/発行完了)の付録の模型の写真を中心に、
全号を順番に振り返る記事シリーズを紹介を続けています。
今回は第226巻の紹介です。

 

 

毎号のお楽しみになっているNゲージサイズ車両模型ですが、本号では、

国鉄時代の四国の急行列車で採用されたヒゲ塗装が施されたキハ58形の

急行「よしの川」のヘッドマークを掲げた雄姿をお楽しみいただけます。

 

 

それではいつものようにパッケージを解いて、

奥底から第226巻の冊子を取り出しましょう。

 

 

巻頭記事はこのところの通例で、付録模型の車両形式の解説です。

国鉄時代の急行形気動車の代表的な存在だったキハ58系の中で、

昭和30年代後半に四国に導入された車両は、

踏切事故防止用に特別なタイフォンを搭載しました。

その装備車両を見分けるために、運転台下に赤いラインを施したところ、

鉄道ファンの間で「赤ひげ」と呼ばれるようになり、四国名物となったのでした。

 

 

次のページは、西武鉄道6000型の特集です。

西武鉄道で初めての地下鉄直通運転となった、池袋線から東京メトロ有楽町線への

直通運転用に開発されたのが、この6000系でした。

西武といえばイエロー系という外観のイメージも一新された青い帯を纏った外観と

左右非対称の先頭の風貌は、登場当時は意表を突かれた思いがした者でした。

以後、西武鉄道の目指す次世代車両の基本となっていきました。

 

 

更にページをめくると、富良野線を走る人気の観光列車の牽引機、

JR北海道DE15形ディーゼル機関車「富良野・ノロッコ号」の特集です。

オープンスタイルの客車を使用して観光シーズンに合わせて道内各地で運行されている

JR北海道の観光列車が「ノロッコ号」です。

その牽引機に起用されているDE15形は、元はラッセル式除雪用として開発されたのですが、

降雪期以外は一般のディーゼル機関車として運用できる、汎用性に優れた機関車です。

 

 

「鉄道建築」シリーズは、亀崎駅舎の特集です。

明治時代に東海道線建設の資材を港から運ぶために敷設された現在のJR武豊線の亀崎駅には、

1886(明治19)年の路線開業時から存在している駅舎と宿舎が残っています。

明治期の洋館から普及した三角トラス構造の建築は、歴史的にも貴重な存在です。

 

 

巻末記事はいつものように「観光列車」シリーズです。

本号では、現在ではJRグループ最大数を誇る特急形気動車、キハ261系の特集です。

JR移行後にさまざまな特急形気動車を開発してきましたが、

2000年に宗谷本線向けに投入されてデビューしたのがキハ261系でした。

新たな車体傾斜システム曲線通過時の高速化も果たせる上、

費用対効果が高い車両と判断されて、以後増備が進み、

現行最終グループの5000番台の導入を合わせて、総数は170両に達する大所帯となりました。

軽快で爽やかなイメージを喚起する内外装デザインは、姉妹鉄道としての提携関係にあった

デンマーク国鉄との共同で進められたものです。

 

 

「国産鉄道コレクション」シリーズは、まだまだ続きます。

 

 

昨日までの記事で、マーラーの交響曲各曲についての
私なりの考察・見解を披露してきました。
あらためてマーラーの交響曲群を俯瞰してみると
私の趣味的な視点が強いかもしれませんが、
生涯を通してソナタ形式を暗示しているように思えてきます。

先ず、全交響曲を作曲順に列挙しましょう。

第1番「巨人」・・・・・・・管弦楽のみ
第2番「復活」・・・・・・・+独唱・合唱
第3番「夏の交響曲」・・・・+独唱・合唱
第4番「天上の生活」・・・・+独唱
第5番・・・・・・・・・・・管弦楽のみ
第6番「悲劇的」・・・・・・管弦楽のみ
第7番「夜の歌」・・・・・・管弦楽のみ
第8番「千人の交響曲」・・・+独唱・合唱
「大地の歌」・・・・・・・・+独唱
第9番・・・・・・・・・・・管弦楽のみ
第10番(未完)・・・・・・・管弦楽のみ

これに考察を加えてみると・・・

[序奏] (マーラーの交響曲の特徴の確立に向けての萌芽期)
 第1番「巨人」・・・・・・・管弦楽のみ
[提示部](声楽と導入した大モニュメントを確立した時期)
 第2番「復活」・・・・・・・+独唱・合唱
 第3番「夏の交響曲」・・・・+独唱・合唱
[展開部への移行部](器楽交響曲への転換期)
 第4番「天上の生活」・・・・+独唱
[展開部](器楽交響曲としての充実期)
 第5番・・・・・・・・・・・管弦楽のみ
 第6番「悲劇的」・・・・・・管弦楽のみ
 第7番「夜の歌」・・・・・・管弦楽のみ
[再現部](再び声楽を大々的に導入した巨大モニュメント)
 第8番「千人の交響曲」・・・+独唱・合唱
[再現部の残映]
(第8番までの肯定的前進から厭世的な彼岸の境地への転換)
「大地の歌」・・・・・・・・+独唱
[終結部](彼岸の境地)
第9番・・・・・・・・・・・管弦楽のみ
第10番(未完)・・・・・・・管弦楽のみ

生涯を通じて、ソナタ形式を具現しながら、
精一杯生きて書いた作曲家=グスタフ・マーラーの
(無意識かもしれない)壮絶な意志を感じるのは、
私だけでしょうか。

これからも、マーラーの交響曲をじっくりと
聴き続けていきたいと思っている私です。


写真は、私の嘗ての愛聴盤=
マーラー「交響曲第8番」/バーンスタイン盤(LP)です。
ロイヤルアルバートホールのライヴのカットが
ジャケットを飾っています。

レナード・バーンスタイン指揮/ロンドン交響楽団
CBS/SONY / SOCL 121-2 (LP)
$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-マーラー8番バーンスタイン盤

そして最後に、マーラーの交響曲に献杯!
(泡盛古酒に琉球ガラスを併せて・・・)
$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-琉球ガラス泡盛で乾杯!
これから暫く、私が大好きな<サンダーバード>の
マイ・フェイバリット・ストーリーの紹介をアップすることにしました。



この「SOS原子力旅客機」は、このシリーズの放送第1回を飾ったものです。
マッハ6での飛行が可能とされる原子力旅客機="ファイヤーフラッシュ"が、
初回のゲスト・メカとして颯爽と登場しますが、絶命の危機に陥ります。
そこで遂に登場するのが、国際救助隊という設定です。

原子力が未来への希望の象徴的存在だった
1960年台中盤当時の時代の空気も伝わってきます。
2011年の東日本大震災とそれに伴う原発事故で揺れに揺れている
日本や世界の世論とは、正に隔世の感があります。

次男=ジョンが常駐する宇宙ステーション=サンダーバード5号が、
SOS通信を傍受して、救助活動・緊急体制に入ります。
まず、長男=スコットが操縦する偵察ロケット=
サンダーバード1号が現場に急行して、現場での司令塔になります。
続いて、車輪を出すと爆弾が爆発してしまうという絶望的な状況に対応して、
スーパーエレベーターカーという装備を搭載した
大型輸送機=サンダーバード2号で、3男=バージルが駆けつけます。
そして、見事に3台の高速エレベーターカーで、
ファイヤーフラッシュを受け止めて、
犯人の野望を打ち砕いて、危機を食い止めるのです。

あの有名なオープニング・タイトル
(バリー・グレイの音楽が冴に冴えています!)
に続く初回の冒頭シーンは、
国際救助隊の最先端技術の入手をもくろみ、
毎回のように登場して小さな騒動を起す敵役=フッドの
怪しげなアジトのシーンから始ります。
何やら妖術まで操る不気味なキャラクターです。
その他、この物語に登場する人物設定をさりげなく紹介すべく、
様々なシーンで、登場人物に関する話題が巧妙に語られます。

例えば、トレーシー一家の父=ジェフは、
人類として初めて月に降り立ったアメリカ軍人で、
退役後の事業の成功で巨万の富を得て、
その私財を投じて秘密裏に国際救助隊を創設した
というような設定です。

アポロ計画でアームストロング船長等が人類で初めて
月面に降り立ったのは1969年ですから、
このシリーズの制作者は、当時の米ソの宇宙開発競争の将来を
読んでいたということにもなります。

とにかく、大ネタ小ネタ満載で、息をつく暇もなく、
画面とストーリーに引き込まれていきます。
そして、ふと我に返るのですが、これは実写の人形劇なのだという事に、
あらためて驚愕するのです。物づくりの素晴らしさ、人間万歳です!


さて、下のロケットがサンダーバード1号です。
(フランク・ロイド・ライト設計の別荘のような)
南洋の小島に在るトレーシー邸のプールがスライドして、
毎回劇的な発進シーンが繰り広げられます。

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-サンダーバード1号

昨年のISCM国際現代音楽協会の世界音楽祭ポルトガル大会に出席した訪問記を再掲載しています。

暫くの連載となっています。どうぞご覧ください。

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《ISCM World New Music Days 2025 Portugal》訪問記5

 

《ISCM World New Music Days 2025 Portugal》訪問記の本編も5回目、

今日は6月4日から5日にかけての数公演が行われたリズボンの旧市街に在る劇場、

Sao Luiz Teatro Municipal(サン・ルイス私立劇場)の紹介を中心に、

訪問記を綴っていきましょう。

 

 

リスボンの南域の旧市街の西側の小高い丘に位置するSao Luiz Teatro Municipal

(サン・ルイス私立劇場)は、目の前を観光客に大人気のTram28番が走る、

歴史的な佇まいを見せる劇場でした。

中に入ると、小ホールに相当する Sao Luiz Teatro Municipal と、

大ホール(馬蹄形劇場)の Sala Luis Miguel Cintra が在ります。

 

 

6月4日夕方の公演は、Sala Bernardo Sassetti を会場として、

【WHISPERS AND ECHOS】(音楽祭コンサートno.17)が行われました。

Komorebi Duo(木漏れ日デュオ)というグループ名の

 Camella Mandill(ソプラノ)と Joao Casimori Almeida(ピアノ)による

演奏で、8曲の歌曲作品が上演されました。

残念ながら、この劇場に来る時に道に迷ってしまい、

この演奏会には大遅刻をしてしまい、ほとんど聴くことができませんでした。

 

【WHISPERS AND ECHOS】(音楽祭コンサートno.17) の

プログラムをこちらにリンクしておきます。↓

 

 

6月4日夜の公演は、Sala Luis Miguel Cintra を会場として、

【STRING THEORY】(音楽祭コンサートno.18)が行われました。

 弦楽アンサンブル:Cakerata Alma Mater / 指揮:Pedro Neves 

の演奏によるコンサートで、6曲の弦楽アンサンブル作品が演奏されました。

伝統的な劇場の中で聴く現代作品の弦楽の響きは、なかなかの味わいでした。 

 

【STRING THEORY】(音楽祭コンサートno.18) の

プログラムをこちらにリンクしておきます。↓

 

 

翌日の6月5日夕方の公演も前日と同様に Sala Bernardo Sassetti が会場で、

【INTO THE LIGHT / Sond'Ar-te Trio】(音楽祭コンサートno.20)でした。

Miso Music のレジデント・アンサンブルの精鋭メンバーによる三重奏団

(vn.:Vitor Vieira、vc.:Filipe Quaresma、pf.:Elsa Silva)によって、

6作品が演奏されました。

その中には、ウクライナ出身の若手作曲家  Diana Andrashenko の作品が

含まれていて、本人も現在居住しているポーランドから駆けつけていました。

終演後、思わず私は彼女に駆け寄り声をかけて、

ウクライナの様子を伺ったのでした。

 

実は、私は、2013年に《Donbas Modern Music Art 2013》に招聘されて、

その音楽祭のファイナルコンサートでドネツク・フィルハーモニー管弦楽団を

指揮して、自作2曲を含む全6曲の現代作品プログラムを

指揮した経験を持っているのでした。

しかし、翌年に勃発したロシアのクリミア半島侵攻、そしてここ数年の

ウクライナへのロシアの更なる侵攻(戦争)で、

全く連絡がつかなくなってしまったドネツクの友人達のことが、

常に脳裏にあったのです。

残念ながら、祖国を離れて久しいDianaさんからは、

ドネツクに関しては何も情報を得ることはできませんでしたが、

このような状況でウクライナ支部としての参加が望めない中で、

主催者の配慮で同国の若手の作品がプログラムにくわられていた配慮に、

胸が熱くなりました。

 

【INTO THE LIGHT / Sond'Ar-te Trio】(音楽祭コンサートno.20)の

プログラムをこちらにリンクしておきます。↓

 

6月5日夜の公演も前日と同様に Sala Luis Miguel Cintra が会場で、

【STATE OF EMERGENCY】(音楽祭コンサートno.21)が行われました。

Ensemble MPMP / 指揮:Rita Castro Blanco によって、

5曲の室内アンサンブル作品が演奏されました。

尚、この演奏会も含めて、ほぼ毎日の夕方公演もしくは夜公演の開演前に、

その演奏会のプログラムの作曲家がステージに上がって、

主催者代表の Miguel Azguime 氏の司会によって、自作の解説を述べる

"MEET THE COMPOSERS"というプレトークが設けられていたことを、

ここでお伝えしておきます。現代音楽の作曲家と一般聴衆の距離を縮める

施作として有効な手段だと感じた次第です。

 

【STATE OF EMERGENCY】(音楽祭コンサートno.21)の

プログラムをこちらにリンクしておきます。↓

 

この訪問記はまだまだ続きます。明日以降の記事もどうぞお楽しみに!

 
 

 

 

2023年の1月31日に営業を終了した東急百貨店渋谷本店の1階に片隅に
嘗て展示してあった、昭和40年頃の渋谷駅のジオラマを撮影した写真を
このところ毎日1枚ずつアップしています。

このジオラマの中では地味な扱いになっていますが、
西口側もきちんと作り込んであります。
「国鉄渋谷駅」という看板やタクシーに時代の流れを感じます。

渋谷駅西口側

それにしても、細部まで素晴らしく再現されているジオラマですね!


月曜日の朝一番の記事では、Nゲージサイズ模型が付録についてくる雑誌、
「国産鉄道コレクション」の紹介を続けています。


アシェット・コレクションズ・ジャパン株式会社発行「国産鉄道コレクション」

の記事と付録模型の紹介、今回は第225巻です。

 

 

毎号のお楽しみになっているNゲージサイズ車両模型ですが、本号では、

寝台特急「カシオペア」牽引用の専用塗色を纏ったEF81の

カラフルで颯爽とした勇姿をお楽しみいただけます。

 

 

それではいつものようにパッケージを解いて、

奥底から第225巻の冊子を取り出しましょう。

 

 

巻頭記事はこのところの通例で、付録模型の車両形式の解説です。

青函トンネル開通とともに、本州と北海道結ぶ寝台特急が運行を開始しました。

その際に本州内の牽引機を務めたのがEF81でした。

1999年には新製専用編成によるさらにモダンでゴージャスな「カシオペア」がデビュー、

その専用機としてデザインされたカラフルなEF81も登場しました。

 

 

次のページは、東美鉄道史上初のアルミ製電車、50000型の特集です。

”人と環境にやさしい次世代車両"というコンセプトの下に設計され2005年から投入開始、

東上線に登場して、それまでの東武鉄道の通勤車両のイメージを一新しました。

2006年からは、伊勢崎線から東京メトロ半蔵門線を介して

東急田園都市線に乗り入れる運用をこなす50050型や、

2008年からは、東上線から東京メトロ副都心線に乗り入れる50070型も登場。

更には東上線の有料列車"TJライナー"用としてロングシートとクロスシートを転換できる

50090系も2008年に加わり、50000系は大所帯に発展しています。

 

 

更にページをめくると、自然の景色の中を走る気動車の写真が目に飛び込みます。

国鉄晩年に北海道・四国向けに開発され、キハ54形のJR北海道継承車の特集です。

単行運転も可能な21m級車体をもつキハ54形は、北海道向け仕様は500番台とされ、

オールマイティーに活躍してきたキハ40系ではカバーできない路線から投入が始まりました。

JR移行後は気象条件の厳しい道東・道北に集中配置されるようになりました。

現在も根室本線、釧網線、宗谷本線などで元気に活躍しています。

 

 

「日本の鉄道の歴史」シリーズは、東京都交通局の荒川線の特集です。

元々は東京の都市部の路面電車網の一部であった"都電"の一部であった路線です。

専用軌道の区間が大部分であったために廃止を免れて、

城北の下町をのんびり走る東京都電唯一の生き残りとなっています。

沿線には桜の名所も多く、JR山手線や京浜当国線など他の路線との連絡駅も多く、

下町の庶民の足として、また下町散策に欠かせない軌道線となっています。

 

 

巻末記事はいつものように「観光列車」シリーズです。

本号では、常磐特急「ひたち」「ときわ」として活躍している

JR東日本E657系の特集です。

常磐線の特急用車両、651系およびE653系の置き換えようとして

2012年から投入が開始されています。

2015年からは上野東京ラインにも乗り入れています。

柔らかい曲線による先進的な先頭部が印象的な、

いかにも特急電車といった雰囲気を発散している車両です。

 

 

「国産鉄道コレクション」シリーズは、まだまだ続きます。

 

 

このブログのマーラー交響曲談義も、いよいよ最終回、
今日は、交響曲第10番です。

晩年のマーラーは、ベートーヴェン以降の作曲家が、
第9番を越えて交響曲を書いていないこと、
つまり第9番を書くか書かないうちに鬼籍に入るという事を、
非常に強く意識していたようです。

指揮者・作曲家として確固たる地位を獲得していった
壮年期のマーラーでしたが、一方では、
若く美しい妻=アルマの恋愛に悩んだり、
また自身に生来の心臓疾患があることが判り、
自分の人生に残された時間があまり長くはないのではないか
という予感を強く抱いてたり、心の葛藤があったようです。

それでも、交響曲第8番「千人の交響曲」までは、
ベートーヴェンが第1番から第9番まで
上り詰めていったような、
漸進的・前進的進化の様相を見せていましたが、
あの記念碑的大作=第8番の初演の大成功の後、
いよいよ次は第9番という段になって、マーラーは
その「9」という数字の呪縛に自ら陥っていきます。

まずオーケストラ歌曲の集積のような特異な作品=
交響曲「大地の歌」を作曲したのです。
その後で満を持して、自分は既に交響曲を9曲書いたという
自信を持って、第9番を作曲したのです。
交響曲を第9番までと「大地の歌」を書き上げて、
「これで交響曲を10曲書いたのだから、もう大丈夫!」
という自己暗示の下に、今度は交響曲第10番を書き始めます。

しかし、その半ばで命がついえてしまい、結局は
番号付交響曲としては「第9番」までしか完成できず、
ベートーヴェン以来のジンクスは
生き続けることになってしまったという訳です。

前置きが長くなりました。作品を見ていきましょう。

第9番で器楽のみによる交響曲に立ち返ったマーラーは、
この第10番も器楽交響曲として構想したようです。
残念ながら、第1楽章を完成させた後、
後続の楽章のスケッチを書きかけの段階で、
マーラーは亡くなってしまいました。

その第1楽章は、前作=第9番の終楽章の残映のような
厭世的でロマン的な情念が漂う楽想に包まれています。
再三登場するヴィオラによるモノディー主題をトピックとしつつも、
やはりマーラー流ソナタ形式楽章になっています。
但し、提示部、展開部、再現部、終結部の楽想の差異が更に微妙になっています。
ABABABABABAというような二つの要素による変奏曲と分析することも可能です。
しかし、第二番「復活」の第一楽章を起源とする
マーラー流ソナタ形式の大枠を俯瞰できる方ならば、
二段構えの提示部、二段構えの展開部、
マーラーならではの変容が一段と大胆になって
不協和音が鳴り響くクライマックスを内包した再現部、
そして消え行くように収束する終結部といった構成を
読み取ることも可能でしょう。

それにしても妖しいまでに美しい音楽です。
この第1楽章<アダージョ>だけでも
しばしば演奏されるだけの深い魅力を湛えているのです。

この写真は私の愛聴盤です。
バーンスタイン/マーラー全集
交響曲第8番&第10番からアダージョ
グラモフォン / POCG-1438/9
松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-マーラー8&10番/バーンスタイン盤


私個人の印象なのですが、この楽章には、ワーグナーの楽劇
<トリスタンとイゾルデ>に一脈通じる要素も感じます。
♪ ワーグナー/楽劇「トリスタンとイゾルデ」より、
          前奏曲と愛の死
♪ 現代音楽作品
♪ マーラー/交響曲第10番より第1楽章=アダージョ
というプログラムによる演奏会を指揮することが、
密かな私の夢でもあります。

さて、この交響曲第10番でのマーラーは、
第5番や第7番で見せたような、
5楽章構成の器楽交響曲を目指したようです。
デリック・クックの校訂・作曲(補作)による全曲版が
次第に認知されてきていて、時折演奏されています。

第1楽章 アダージョ
第2楽章 スケルツォ
第3楽章 プルガトリオ(煉獄)アレグレット・モデラート
第4楽章 スケルツォ(アレグロ・ペザンテ)
第5楽章 フィナーレ

第1楽章のクライマックスで不気味に鳴り響く
最後の審判を想起させるような不協和音が、
全曲の要所で回帰して、
この交響曲の印象を支配しています。
"煉獄交響曲"をおそらくは意図していたのであろう、
マーラーの未完の交響曲像が浮かび上がってきます。

下の写真は、このクック版の珍しいCDです。
マーラー/交響曲第10番~デリック・クック最終決定版)
クルト・ザンデルリング指揮/ベルリン交響楽団
Deutsche schallplatten / 32TC-72
松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-マーラー10番クック版

明けましておめでとうございます。

今年も、チーム百万石をよろしくお願いいたします。

 

昨年、チーム百万石2025年度公演《旅する和楽器》を、

10月26日(日)に予定通り開催することができました。

会場がほぼ満席となる盛況となり、

大河内淳矢さん(尺八)と川嶋信子さん(薩摩琵琶)の入魂の演奏によって

5人のメンバー作曲家の作品が見事の彫琢され、

更には現代音楽界の秘曲のような存在とも言える武満徹作品「Eclipse/蝕」

のステージも加わり、充実した公演となりました。

 

ご来場いただいた皆様、ご協力いただいた皆様、ありがとうございました。

 

さて、チーム百万石の次回の公演(2026年の公演)は、

2026年5月16日(土)@KMアートホール《コントラバス百万石》を予定しております。

気鋭の奏者:山本昌史さんを主人公としてお迎えしての企画となります。

どうぞご期待ください。

 

"物づくり" の大切さについて、少々考えてみたいと思います。

CG、FSX、3D等々、そしてメタバース、ヴァーチャル全盛とも言える最近の
ヴィジュアル・コンテンツの世界的な動向ですが、
果たしてその方向性だけが、人類の文化を人類の心の幸福に
向かわせてくれるものなのでしょうか。

また、為替相場、株式相場、金融等の取引による
莫大な損益に一喜一憂する世の中が、
本当の豊かさをもたらしてくれるものなのか・・・

例えば、新幹線の最新型N700系の先頭部の複雑な流線型の
ボディーの製作は、機械化が不可能とされてきました。
最近では漸くコンピュータ制御による成型が可能になったようですが。
日本の町工場の職人による叩き出しの技術は、
世界に誇れる素晴らしい宝なのです。

さて、私がピカピカの小学1年生になったばかりの春、
1966年(昭和41年)4月10日(日)18時から、
NHK総合テレビで「サンダーバード」の放送が始りました。
登場人物のキャラクター、メカの先進性、
実写ならではの映像のリアリティ、特に火や煙や埃の多用、
ストーリー、耳と心に焼き付く音楽、
そして、大人も子供も夢中にさせる雰囲気・・・
その印象は鮮烈でした。

この「サンダーバード」は、実写は実写でも、何と人形劇なのです。
スーパーマリオネーションと呼ぶのでしょうか、
ほとんど見えない糸で吊るされた精巧な人形が、
主人公=国際救助隊(International Rescue)や
登場人物を演じ、数々のメカを操縦して、
遭難者や要救護者を、絶体絶命から救出するのです。

手作りの実写だからこその味わいは、
今見ても圧倒的な存在感と感動を、私たちにもたらします。
2004年には、俳優が演じる実写版が、CG映像も駆使して
制作・公開されましたが、どうにも中途半端で、
興行的にもさっぱりでした。
やはり「サンダーバード」は、
スーパーマリオネーションに限ります!

まだ「サンダーバード」を観たことが無い方、
是非、DVDでご覧ください。
私は、全作ボックス買いで持っております!

これから当分の間、「サンダーバード」の人気放送回を回想しながら、
私の想い出を語っていきましょう。
併せて、物作りの心と音楽を生み出す心の共通性についても
お話していきたいと思います。どうぞお楽しみに!

下は、主人公のトレイシー一家の写真です。
前列左から・・・ 
ブレインズ(研究者)
ジェフ・トレイシー(父・隊長)
ジョン(次男・5号=宇宙ステーション勤務担当)
ミンミン(執事の娘、アランと恋仲?)
ゴードン(4男・4号等の各種装備の操縦担当)
後列左から・・・
ペネロープ(ロンドン・エージェント/ジェフの姪?)
スコット(長男・1号=偵察機操縦担当・救助活動の司令塔) 
バージル(3男・2号=装備輸送機操縦及び各種装備操縦担当)
アラン(5男・3号=宇宙ロケット操縦担当)

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-トレイシー一家

国際救助隊の制服を着ると、このように恰好良いのです!

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-サンダーバード隊員

今回のリバイバル連続記事シリーズから、YouTubeにアップされている
動画をリンクすることにしました。どうぞ実際に鑑賞してお楽しみください。

昨年のISCM国際現代音楽協会の世界音楽祭ポルトガル大会に出席した訪問記を再掲載しています。

暫くの連載となっています。どうぞご覧ください。

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《ISCM World New Music Days 2025 Portugal》訪問記の本編も4回目、

今日は Miso Music が2014年にオープンした実験的イベントスペース、

0'culto da Ajuda の紹介を軸として綴っていきましょう。

 

6月2日夜の公演【新オペラプロジェクト「A LAUPH TO CRY」】

(音楽祭コンサートno.11)で既に 0'culto da Ajuda を訪ねていましたが、

翌日から4回にわたって行われたISCM国際現代音楽協会の年次総会

(General Assembly)やその他のいくつかの公演もこの会場で実施され、

WNMD2025 の拠点会場の一つになっていました。

 

リスボンのベレン地区の緩やかな坂道の途中の路地を入って一角曲がったところに、

ひっそりと佇む 0'culto da Ajuda は、古い家屋を改造・改装した施設でした。

内部は小演劇公演でよく見かける芝居小屋のような雰囲気で、

そこに階段状の客席と最後方の調整卓が常設され、

また壁際や天井などに数多くのスピーカーや照明ライト、

そしてプロジェクターなど、所狭しと仮設されていました。

これらのスピーカーや照明装置を駆使して、ラウドスピーカーオーケストラ公演や、

音響と映像を加味した総合舞台作品の上演などに、

自在に活用できるスペースであるとお見受けしました。

いかにも Miso Music らしい本拠地であると感心しました。

 

↓ アフリカ原産のジャカランダが咲く坂道を登って右に曲がると

  0'culto da Ajuda にたどり着きました。

 

↓ 0'culto da Ajuda 前の風景

 

↓ O'culto da Ajuda 内部の様子

↑ 壁や天井などに数多くのスピーカーや照明器具が配された

↓ 実験的イベント空間でした。

 

6月3日午前中の ISCM総会 1st session の後の公演

【EXTRAORIDINARY CELLO】(音楽祭コンサートno.12)は、

Felipe Quaresma の独奏により5作品が演奏されました。

この日の次のコンサートだったサクソフォンのコンサート

【EXTRAORIDINARY  SAXOPHONE】(音楽祭コンサートno.13)と共に、

ポルトガルの素晴らしい演奏者による充実した演奏会でした。

 

【EXTRAORIDINARY  CELLO】(音楽祭コンサートno.12) の

プログラムをこちらにリンクしておきます。↓

 

6月4日の総会の後の午後の公演2回は、O'culto da Ajuda 常設に機材を活用した

電子音楽分野の演奏会【Cinema for the Ear #1】(音楽祭コンサート15 & 16)でした。

前後左右上下に約20台も配されたスピーカーのフェーダーコントロールを、

作曲家自身がリアルタイムで操作しながら作品を再生するコンサートでした。

プログラムには MMP LPOUDSPEAKER ORCHESTRA と記載されていましたが、

日本ではCCMC等で行われているアクースマティックにほぼ近い形の

音響コンサートと考えていただければお分かりいただけるでしょうか。

 

6月6日の総会の後の午後公演2回も、ほぼ同様のスタイルの音響コンサートでした。

中には映像を伴う作品もあり、さまざまな作品を作曲者自身のスピーカーバランスの

制御の下に楽しむことができました。

ライドスピーカー・オーケストラ・コンサートは、

この施設の特性を活用した Miso Music らしい設えのイベントとなっていました。

 

【Cinema for the Ear #1】(音楽祭コンサートno.15 &16) の

プログラムをこちらにリンクしておきます。↓

 

 

【Cinema for the Ear #1】(音楽祭コンサートno.22 &23) の

プログラムをこちらにリンクしておきます。↓

 

 

ISCM総会の様子はまた後日にまとめてレポートすることとして、

明日は6月4日の夕方公園から新たな拠点会場となっていた

Sao Luiz Teatro Municipal の紹介を中心に訪問記を続けていきます。

 

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追記:私は現場に居合わせることができなかったのですが、

O'culto da Ajuda では、上述の公演の他、6月5日の昼公演として

【THIRST FOR CHANGE / INTERNATIONAL COLLOQUIUM】

(音楽祭コンサートno.19)も行われました。

Keynote speaker, speakers, Portuguese guitar, violin などを組み合わせた

作品やパフォーマンスが並ぶ、コラボレーションの新展開だったようです。

 

【THIRST FOR CHANGE / INTERNATIONAL COLLOQUIUM】

(音楽祭コンサートno.19) のプログラムをこちらにリンクしておきます。↓