ヨーゼフ・アントン・ブルックナー(Joseph Anton Bruckner / 1824年 - 1896年)
没後130年に寄せて、ブルックナー交響曲探訪シリーズを掲載しています。
総合概説の後、第00番から作曲年順に各交響曲の探訪を進めています。
今日は、難解ながら評価が高い第5番と人気が高い第7番に挟まれて
やや印象が薄いような扱いを受けているものの、
実はなかなか格好いい曲でもある、交響曲第6番を探訪します。
「第5番」で対位法的な手法も駆使して巨大なモニュメントを実現したブルックナーは、
今度は少し方向性を変えて、コンパクトで分かりやすい作品を目指したのではないでしょうか。
演奏時間は一時間弱にまとまり、所謂"ブルックナー休止"もほとんど無く、
ブルックナーにしては滑らかで聴きやすい作品になっているように感じる「第6番」です。
1883年に第2楽章と第3楽章のみの部分初演がウィーンで行われて
一般には好評を得たようですが、ブルックナーを目の敵のようにしていた
音楽評論家ハンスリックから冷遇された影響もあって、
改訂もされずに次第に埋もれてしまったという経緯を持つ作品です。
作曲者の没後3年の1899年に、生前のブルックナーと交流を継続していた
マーラーがウィーン・フィルを指揮して、全曲の初演が行いました。
但し、大幅なカットやオーケストレーションの変更が成された楽譜によるものでした。
更に二年後の1901年にようやく、完全な形での全曲初演が達成されました。
現在でも、評価や人気が高い「第5番」と「第7番」間に挟まれて、
演奏機会はあまり多くないようです。第1楽章の冒頭が格好いいだけに、
もっと人気が出てもおかしくない曲だと思えるのですが。
♫ ♫ ♫ ブルックナー交響曲探訪 vol.8/交響曲第6番 ♫ ♫ ♫
〜交響曲第6番 イ長調〜
注釈)交響曲第6番 イ長調 - - - - 1879-81年作曲
第1楽章 Maestoso (演奏時間:約17分)
特徴的なリズムによる刻みに乗せて、雄大で格好いい第一主題が奏されます。
第一主題は発展的に提示された後、柔らかな第二主題が奏され、
更に第三主題が総奏で盛り上がるという提示部の構成は、ブルックナーの定型通りです。
短めの展開部の終盤で第一主題を中心にクライマックスに到達して、
そのまま再現部の第一主題の再現に雪崩れ込みます。
第二主題と第三主題の再現が続いた後、
コーダ(終結部)の中で再び第一主題が回帰して力強く楽章が閉じられます。
第2楽章 Adagio. Sehr feierlich (演奏時間:約18分)
3つの主題を持つソナタ形式と捉えることができるで構成による、
雄大で且つ美しい緩徐楽章です。特に第二主題の部分の美しさは格別です。
第三主題は曹操行進曲風の音楽になっています。
主題提示を終えた後、発展的な中間部とも解釈し得る展開部を経て、再現部に至ります。
そして天国的な穏やかな美しさを湛えたコーダ(終結部)でこの楽章は閉じられます。
この作品に続く「第7番」「第8番」「第9番」の緩徐楽章の充実が予感されます。
第3楽章 Scherzo: Nicht schnell - Trio: Langsam (演奏時間:約9分)
スケルツォらしいスケルツォを書く達人であったブルックナーの面目躍如、
この「第6番」の第3楽章も素晴らしいスケルツォです。
特徴的な伴奏に乗ってホルンによる主要されるあたりは、
第1楽章に続いてなかなか格好いい音楽です。
中間部でもホルンが登場。。。かと思うと
「第5番」の第1楽章の第一主題のエコーが聴こえてきます。
柔らかな音楽に終始する中間部 Trio の後、
再び快活なスケルツォ主部に戻ってこの楽章は閉じられます。
第4楽章 Finale: Bewegt, doch nicht zu schnell (演奏時間:約15分)
ブルックナーの定型通り、3つの主題を持つソナタ形式による終楽章です。
弦による何かを探るような導入にホルンを中心とした金管による第一主題の咆哮が重なる
個性的な冒頭からこの終楽章は始まります。そして第二主題と第三主題が続きます。
途中でとワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』の「愛の死」の動機が引用されます。
展開部から再現部は、ブルックナーが時折見せる両部分の融合(オーバーラップ)と
理解するのが良さそうです。そして、第三主題の再現からコーダ(終結部)に向かって、
全曲の最後を一気呵成に盛り上げていって高らかに結んでいきます。
「第5番」で対位法的な手法も駆使して巨大なモニュメントを実現したブルックナーは、
今度は少し方向性を変えて、コンパクトで分かりやすい作品を目指したのではないでしょうか。
演奏時間は一時間弱にまとまり、所謂"ブルックナー休止"もほとんど無く、
ブルックナーにしては滑らかで聴きやすい作品になっているように感じる「第6番」です。
私が作曲家としても指揮者としても絶大に尊敬しているバーンスタインが、

