交響曲第00番(習作) | 松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~

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ヨーゼフ・アントン・ブルックナー(Joseph Anton Bruckner / 1824年 - 1896年)

没後130年に寄せて、ブルックナー交響曲探訪シリーズを開始します。

昨日の記事は交響曲一覧の提示を中心とした概説でしたが、

今日からいよいよ作曲年順に各交響曲を探訪していきます。

 

 

♫ ♫ ♫ ブルックナー交響曲探訪 vol.1/交響曲第00番(習作)♫ ♫ ♫

       交響曲 へ短調(通称 第00番 / 『習作』)

 

この交響曲は、ブルックナーがオットー・キッツラーの指導の下に

楽式や管弦楽法の実習として書いた習作に位置付けられる作品です。

この曲を作曲していた1863年に、師であるキッツラーの指揮により

ワーグナーの『タンホイザー』が初演されました。

そのタイミングに恵まれたことにより、師と一緒にその歌劇を研究する機会を得たことが、

ブルックナーが熱烈なワーグナー信奉者になるきっかけとなったそうです。

 

長らくこの第00番は一般には知られない存在でしたが、

ブルックナーの死後20年近く経って、

1913年に初版楽譜が出版され第二楽章のみが初演され、

1923年に第1(2)4楽章が初演、翌1924年に第3楽章も初演された上で、

1925年にベルリン・フィルによって初の全曲演奏が実現したということです。

そしてCDの時代になった頃から、全集に組み込まれるようになって、

ブルックナー・ファンを中心として広く知られるようになってきました。

 

第1楽章 Allegro molto vivace (演奏時間:約16分)

ブルックナーのソナタ形式の扱いの大きな特徴である三つの主題を擁している点については、

既にこの作曲家の個性の萌芽が認められる一方、所謂ブルックナー開始と言われる

原始雲のような冒頭の楽想はまだ認められません。

しかし、演奏時間約15分の堂々たる冒頭楽章を既に具現していたことは確かです。

尚、伝統的な提示部の繰り返し記号が付与されています。

 

第2楽章 Andante molto (演奏時間:約13分)

穏やかで柔らかな緩徐楽章です。

概観は AB-C- AB-A となるでしょうか。

やや厳しい感じの楽想になる C を中間部と捉えると、

三部形式(複合三分形式)によると考えて良いでしょう。

 

第3楽章 Scherzo: Schnell (演奏時間:約6分)

ブルックナーは各交響曲にそれぞれに素晴らしいスケルツォを遺して行きますが、

この第00番から既にその萌芽を認めることができます。但し、まだ規模は小さいですね。

 

第4楽章 Finale: Allegro (演奏時間:約10分)

ここでも三つの主題を要する提示部を持つソナタ形式を採用しています。

但し、再現部では第三主題は再現されずにそのまま終結部に進んでいきます。

後の代表作の数々のような壮大なフィナーレにはまだ至っていませんが、

それでも終盤の盛り上げに腐心している様子は伺われます。

 

全曲約45分ですから、習作期の作品とはいえなかなか堂々たる交響曲です。

まだ強烈にアピールする特徴を備えていないという指摘は成り立つかもしれませんが、

大作曲家・偉大なるシンフォニストの成長の過程を伝える貴重な作品と言えるでしょう。

 

 

サー・ゲオルグ・ショルティ指揮 シカゴ交響楽団 

Sir Georg Solti / Chicago Symphony Orchestra 5, 6 & 7 Oct.1995 Live Recording 

Bruckner : Symphony No.0 in D minor "DIE NULLTE" (1869 version, ed. Leopold Nowak)