邦楽器作品の創作と邦楽器演奏界の更なる振興を
ライフワークの柱に据えている私です。
このところ、自作邦楽器作品の紹介を続けています。
<音・音 Ⅳ ~尺八、二十絃箏、打楽器群の為に~ >
(2005)
SOUND SOUND Ⅳ
for Shakuhachi, Twenty-stringed Koto
and Percussions (2005)
メキシコ/セルバンティーノ国際芸術祭委嘱作品
演奏時間:約12分
初演:2005年9月 メキシコ/グアナフアト/ミナス教会
<セルバンテフィーノ国際芸術祭~TAMBUCO演奏会>
演奏:三橋貴風(尺八) 吉村七重(二十絃箏)
Tambuco Percussion Ensemble
リカルド・カシャルド アルフレッド・フリンカス
ミゲル・ゴンザレス ラウル・トゥドン
日本初演:2011年10月 トッパンホール
<2011年度 国際交流基金賞受賞記念コンサート>
~TAMBUCO PERCUSSION ENSEMBLE~
タンブッコ・パーカッション・アンサンブル~
出演:Tambuco Percussion Ensemble
リカルド・カシャルド アルフレッド・フリンカス
ミゲル・ゴンザレス ラウル・トゥドン
共演:三橋貴風(尺八) 吉村七重(二十絃箏)
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日頃から懇意にさせていただいている吉村七重さんから、
「メキシコの打楽器アンサンブル=タンブッコとの協演の為の
作品を書きませんか」という相談を受けたのは、
2004年の暮れ辺りだっただろうか。
私は、1993年に、当時結成間も無かったタンブッコの演奏
を目の当たりにしていたことを想い出しました。
ラテン・アメリカ圏で初開催であった国際現代音楽協会音楽祭
=<ISCM世界音楽の日々'93メキシコ大会>に、
日本支部正代表として参加した際に、会期中の打楽器演奏会で
彼らの演奏に初めて遭遇したのです。
世界各国の作曲家による様々なスタイルの作品に
柔軟に対応しながら、次々と繰り出される颯爽とした演奏に、
私はすっかり魅了されました。
それから十数年の時を経て、私の作品を彼らに演奏していただく
機会に恵まれようとは・・・、実にありがたいお話でした。
尺八と二十絃箏という邦楽器と打楽器アンサンブルが協演する
という特異な楽器編成の委嘱条件でしたが、
私は心地よい興奮を感じながら作曲の筆を進めました。
打楽器の音が邦楽器の音をマスキングしてしまわないように
配慮したため、鍵盤打楽器を一切使用せずに、
正に「邦楽」と「打楽」の音と音が鬩ぎ合い響き合う、
両者の文化が交流する音楽になりました。
初演の行われた<セルバンテフィーノ国際芸術祭>は、
それは大規模なフェスティバルで、メキシコという国の
文化の底力を見せつけられるような思いがしました。
山間の町の教会を超満員にして行われた
メキシコの人気者=TAMBUCOの演奏会のプログラムの
1曲として、この作品は初演されました。
キリスト教会の中で和服の演奏家の邦楽器との協演、
正に異文化交流の触発が実現しました。
その2年後に、同じメンバーで更に2度程、
メキシコシティ等で演奏されました。
そして先日、今年度の国際交流基金賞受賞記念コンサートで、
待望の日本初演が実現したのでした。
この曲では、尺八の発する単音のニュアンスに反応して
打楽器が単音を発する場面や、
二人ずつの打楽器奏者組み合わせで交互に連打を続けて、
邦楽器の鼓の掛け合いのような音のやり取りを、
尺八と二十絃箏の背景に置いたり、
トムトム等の通常の打楽器を指定しつつも、
邦楽の持つ要素を作品全体に浸透させています。
上記の日本初演の演奏が、
2012年1月にNHK-FMで放送されました。
アーカイヴで聴くことができるようになるかもしれません。
またこのブログでもお知らせしたいと思います。
目下の所、この<SOUND SOUND>シリーズは、
この第4作までですが、将来も、
このタイトルに相応しい構想の作品を書く機会があれば、
第5作以降も誕生すると思います。
写真は、<SOUND SOUND Ⅳ>の日本初演となった
<2011年度 国際交流基金賞受賞記念コンサート>
~TAMBUCO PERCUSSION ENSEMBLE~
のプログラム・パンフレットの表紙です。
また、一昨年11月には、名古屋市郊外の長久手・芸術の家
を会場として、TAMBUCO来日公演とレコーディングが
行われました。そして、その録音を含むTAMBUCOの
最新アルバムがCDと配信音源でリリースされました。
### CD「大地のにおい 〜 Smell of the Earth」###
Tambuco Percussion Ensemble
MM-4032
演奏:Tambuco Percussion Ensemble
リカルド・カシャルド アルフレッド・フリンカス
ミゲル・ゴンザレス ラウル・トゥドン
共演:三橋貴風(尺八)※ 吉村七重(二十絃箏)※
曲目:エクトル・インファソン / El Deveir de la Noche
ステフィーヴ・ライヒ / Mallet Quartet
モーリス・ラヴェル / Quatour II mov.
(arr. for marimba Quuartet)
松尾祐孝 / Sound Sound Ⅳ ※
トリスタン・コエーリョ / Smell of the Earth
この中の拙作の録音と併せて開催された演奏会の情報は
下記の通りです。
TAMBUCOとの素晴らしい縁に感謝している私です。
### 長久手 文化の家 名演への招待シリーズ 17 ###
【タンブッコ パーカッションアンサンブルコンサート】
平成29年11月3日(金・祝)
14時30分開場 15時00分開演
森のホール
【出演出演】
タンブッコ (パーカッションアンサンブル)
スカルサクラ(ジェゴググループ)
三橋貴風(尺八)
吉村七重(箏)
【曲目】
Mallet Quartet(スティーヴ・ライヒ)
Sound sound 4(松尾祐孝)
「007/スペクター」より(リカルド・ガヤルド編)
世界初演作品
Bamboo Song(リカルド・ガヤルド)
“four or five?”for marimba Ensemble(小櫻秀樹)
日本初演作品
The 7 cycles of Vynth Thar(ラウル・トゥドン)
ほか
【主催】長久手市
【楽器協力】名古屋音楽大学
【助成】(公財)せとしん地域振興協力基金
平成29年度文化庁劇場・音楽堂等活性化事業
Tambuco acknowledges the support of
“Mexico en Escena” program by FONCA