2018年は、アメリカが生んだ天才的音楽家、
レナード・バーンスタインの生誕100年にあたりました。
この記事シリーズもvol.10を迎えました。
バーンスタインは、1918年8月25日、
マサチューセッツ州で、ウクライナ系ユダヤ移民の
二世として生まれました。
ハーバード大学・カーティス音楽院で研鑽を学び、
指揮の分野では、
ディミトリ・ミトロプーロスに刺激を受け、
フリッツ・ライナー、セルゲイ・クーセヴェッキーに
師事し、作曲の分野では、
ウォルター・ピストンに師事しました。
1940年代から、クラシック音楽界での作曲家としては、
交響曲第1番「エレミア」、同第2番「不安の時代」等、
名曲を書き始めていた一方で、
1943年11月には、急病のブルーノ・ワルターの
代役としてニューヨーク・フィルを振って
指揮者デビューを果たしました。
また、バレエ「ファンシーフリー」や
ミュージカル「オン・ザ・タウン」も1940年代の作曲で、
若くして多彩ぶりを発揮していました。
そして、1950年代には、アメリカ生まれの音楽家として
初のニューヨーク・フィルハーモニック音楽監督に
就任する一方、ミュージカルの不朽の名作
「ウエストサイド物語」を作曲し、
また「セレナード」等のクラシック音楽作品も発表する等、
驚異的な活躍が絶頂期を迎えていったのでした。
今日ご紹介する作品は、セレナードです。
1954年にクーセヴェッキー財団委嘱作品として作曲され、
アイザック・スターンの独奏とバーンスタイン自身の指揮
によって初演されました。
正式なタイトルは「ヴァイオリン独奏、弦楽、
ハープと打楽器の為のセレナード(プラトンの"饗宴"による)」という長いものです。
第1楽章=ファイドロス - パウサニアス
第2楽章=アリストファネス
第3楽章=エリュキシマコス
第4楽章=アガトン
第5楽章=ソクラテス - アルキビアデス
という五楽章構成になっています。
1986年のタングルウッド音楽祭で、
五嶋みどりのvn独奏とバーンスタイン自身の指揮によって
この「セレナード」が演奏されたステージが、
演奏中に独奏ヴァイオリンの弦が二度も切れるという
アクシデントに見舞われました。
当時まだ14歳で3/4分数ヴァイオリンを使用していた
五嶋みどりは、沈着冷静にコンサートマスターの楽器
(勿論フルサイズ楽器)と持ち替えて、
最後まで演奏を完遂したというエピソードは、
あまりにも有名で、既に伝説と化しています。
翌日のニューヨークタイムスにも取り上げられて、
"タングルウッドの奇跡"と賞賛されることになり、
後にアメリカの教科書にも取り上げられたのでした。
その"タングルウッドの奇跡"の模様、是非ご覧ください。
YouTube / 五嶋みどり タングルウッドの奇跡