『除外のトリック』
★あるカルト教団が
「女性にもてる壺」で
一儲けを目論んだ。
これを高収入・イケメンに絞って
売りつけたとする。
で、平均に比べて
『ほら、こんなに霊験あらたかですよ』
って謳うわけだ。
この場合低収入・ブサメンは
予め除外されているわけだから
平均よりもてるのは当たり前。
もてる原因は、壺の霊験ではなく
高収入・イケメンだからだ。
世の中はこの類いの壺で溢れている。
★声の大きい人のツゴーの良いような
切り取り、統計ですらそう。
一番分かりやすいのが
健康関連食品。
効果のないものをさもあるかのようなデータ。
大抵は都合の良い切り取りだ、
と説明すれば大方の人はピンとくると思う。
満足度97%なんてのもそう。
そういうのが大好きな人に限ってのお話。
実は殆どかも知れない無関心な人は除外。
これを強迫観念、同調圧力を利用して
錯覚させているんだな。
で、いつの間にか全員ドップリ。
人だけではない、期間も除外する事も多い。
「待つわ」が一番大事ってのも幾度か指摘した。
★藤子F不二雄先生の傑作短編に
『オヤジロック』というのがある。
現在スッカリ失われた父親の威厳
それを体現したというコンセプトの
ただドデカいだけの石。
これをセールスマンが売り歩くわけだが
どう考えたって売れるわけがなく
ベンチでため息をついていた。
隣に同じくため息をつくセールスマン。
前後1ヶ月まで移動できる
腕時計式タイムマシーンが
1つも売れないという。
全く信用してもらえないらしい。
オヤジロックのセールスマンは
「それが本当なら……
どんな品物でも売ってみせる」
と豪語した。
ある団地の一室に飛び込む。
「オヤジロック、
え!貴方は持ってないんですか」
とイキナリ挑発的に切り出す。
そして1ヶ月後の世界にタイムスリップ。
そこでは隣家に次々とオヤジロックが
運び込まれている。
これを見た団地の住人は
矢も楯もたまらず即刻購入を決める。
セールスマン曰く「なだれ現象」
日本においては普及率が50%を越えると
何でも爆発的に売り上げが伸びるという。
「除外」「仲間はずれ」を極度に嫌う
いや寧ろ大好きと言うべきか、悲しい国民性?
タイムパラドックス絡みで少々分かりづらく
ややこしいが、要するに
群集心理、同調圧力のお話。
1977年に発表されている。
★パラドックス
多数決って実は同調圧力で
自分の考えが
少数意見と錯覚させられているだけ、
いつの間にか「除外」されているだけ、
そんなトリックも沢山ありそうです。
最初は声が大きかっただけの少数派
ある偏狭な思想を持った少数派
(ノイジーマイノリティ)
が「ありゃりゃいつの間にか多数派に」
ってパターン。
これは大昔からずっと続いていること
じゃないのかなぁ。
知らず知らずのうちの「除外」と
その恐怖による同調、支配。
★さて、これからの時代……
twitter、SNSを使った操作
もう既に行われているのだろうけど
その傾向は強まる一方かも^^;
オヤジロック、最終コマより