今回の全英オープンは、ゴルフとかに
ほとんど関心のなかった私のような人間にも、
けっこうなインパクトを与えている。
それは「精神力」と呼ばれているものが
どれほどすごいパワーをもっているかということを
改めて思い知らされたからだ。
私はユーチューブにあがっている動画を見ただけなので、
そこから推察できることしか書けないが、
最後のホールは、渋野選手は、簡単に言えば
完全にゾーンに入っていた。
「ゾーンに入る」とはどういうことかの見本のような
動画だった。
ああいう場面では、ほぼすべての人が緊張で体が動かなくなって、
失敗するわけだが、
彼女はあまりにも集中していたので、
失敗するという可能性が、意識から消えていたのはもちろんだが、
無意識の領域からも消えていたではないか。
「ゾーンに入る」というのは、そういう状態を指すのだと思う。
意識的にはもちろんのこと、無意識の中からさえも
失敗するというイメージが消えてしまうこと。
ナポレオンが「私の辞書には不可能という言葉はない」とかいった
というはなしがあるが、
同じようなことを言っている。
つまり世界に「不可能」というものがない状態に生きているから、
失敗とかは存在しないのだ。
世の中には、スピリチュアルとか引き寄せとか、その他諸々の
「思い通りにする」と称する技術があるが、
「私はできる」というアファメーションを唱えるというのが
一般的なやり方だが、
本当にできている人は、「私はできる」とは唱えないはずで、
そういうふうに唱えていること自体が
「私はできない」といっているようなものだ
と私は思っている。
「できる」とか「できない」とかいう世界に
住んでいてはだめで、
「できない」とか「失敗」とかが
存在しない世界に住んでいないとだめなのだ。
渋野選手は最後のホールで、
そういう世界に住んでいた、と私は思っている。
そうなるための方法としては
彼女がやっていたように、いつも笑顔でいるのが
一番簡単な方法ではないか。
幸福だから笑うのだが、
笑うと幸福になる、のも確かなのだ。
笑いたくないときも笑う。
それもできないときは、もう、物理的に、
口角をあげてしまうというのが、
幸福になる、一番簡単な方法かもしれない。
渋野選手の最大の特徴は
泣かないことだ。
優勝しても、泣かない。
ここには、すごく重要なことが隠されている、
と私は思うである。
泣くというのは感情だが、
笑うのは感情を超えた幸福感からくるのだ。