次に、成長戦略について、その基本的考え方を述べることにします。
一般に、企業の成長戦略というと、「多市場化(国際化)」、「ハイテク化」、および「多角化」の三つのベクトルが考えられます。
ただし、日本の企業の成長・発展を歴史的事実と照応させてみると、諸外国のそれとは少々異なる部分が含まれます。
確かに通常、企業の多くは(既存)製品の国内販売(セルー)から始めます。
しかしながら、日本企業の場合、内需を下支えとする輸出、つまり当初から海外市場をターゲットとするケースが少なくありません。
その場合のフォーカス・マーケットは明らかに輸出市場であって、国内販売はあくまでもそれを補充し、規模の経済を享受するためのものとなります。
それゆえ、多市場のベクトルを一方向とはせず、可逆的に二方向にしています。
これによって、次のようなインプリケーション
が「市場」選択の面で与えられるでしょう。
貿易摩擦や円高によって輸出や現地での生産・販売が困難になると、国内へUターンして内需を充足する戦略で成長を維持する途が拓かれるということです。
成熟経済社会を迎えた日本は、その市場の大きさと奥行きの深さの面で、まだまだ相当のポテンシャリティがあることに注目すべきでしょう。