『和風』という言葉があります。
日本固有デザインの総称ように使われています。
ファイテンは京都に本社があるために、この和風といわれる伝統的デザインを風景の中に日常的に目にする事ができます。
この日本的あるいは伝統的と言われる姿のデザインソースをディテールごとに吟味すると、意外にも日本発祥とだけでは言いがたい多様な文化を参考にした事がわかります。
百済、唐、宋などの大陸文化、いまで言う東南アジア、そして南蛮貿易経由にて伝わった西洋文化もこっそりアクセントに使ったりしています。
「平安」「室町」時代を作ったこの町は、国際色豊かであった事は皆さんもご存知の事と思います。
その当時の京都の人々は、伝統を守る意識より世界中の新しい情報に対し敏感に反応していた事を、デザインを通じても知ることができます。
ところがその中でも、日本固有といえるインテリアがあります。
玄関で靴を脱いで床にあがる事です。
「これはインテリアではなく、作法ではないか。」と、ご意見を持たれる方も多いと思います。
しかし古代、数千年前から変わらず続くこの習慣が、日本の建築インテリアを『和風』として存在させているという説を説く有識者は少なくありません。
どうして日本人が靴を脱いで床にあがる行為を定着させたかは諸説ありますが、いまだにその答えは学問の世界では出ていないようです。
日本人は心底、この作法が気に入っているらしく、
キリスト教が伝わってきても…
明治以降、西洋住宅がはいってきても…
戦後、椅子の生活様式を取り入れだしても…
世界的な建築家に自分の家を建てさせても…
ほぼ全員の日本人が靴を脱ぎます。
おそらくこれから数百年と、『和風』という日本固有デザインが受け継がれていくための
重要な要素として存在し続ける事と思います。