あの時、私は完全に一人でした。
元夫から突然送られてきた「このIRSフォームにサインしろ」というテキスト。
(IRSとはアメリカの税務署です)
それはまるで命令のようで、質問も説明もない。
ただ一方的に、私に“YES”と言わせるような圧でした。
税務のことなんて、誰にも相談できなかった。
何にサインするのかもわからない。
このままサインしてしまえば、自分にどんな不利益があるかもわからない。
でも、「NO」と言ったら、また彼の怒りがくるのが怖かった。
私は文字通り、行き場を失っていました。
お金もない。
人脈もない。
アメリカでの法制度にも詳しくない。
相談したくても、誰にどこまで話せばいいのかも分からない。
ただ、一つずつ精神が削れていくのを感じながら、
毎日、不安と恐怖で胸が潰れそうでした。
それでも私は、自分なりに調べました。
少しでも自分を守れる情報が欲しくて、
タックスのことを毎日調べて、調べて、調べて。
でも、情報を集めれば集めるほど、
自分の心がどんどん悪化していくのが分かりました。
何かが壊れていく――そんな感覚でした。
だから私は、カウンセリングを受け始めました。
今では、週に一度以上、3人以上のセラピストのセッションを受ける生活になっています。
本当は、こんなにたくさん受けようなんて思っていなかった。
でも、それだけ私の心は、ギリギリだったのです。
その中のひとりのセラピストが、
私の話を静かに、でも深く受け止めたあと、
奇跡のような一言をくれました。
「これは、あなた一人で抱える問題じゃない。DV支援団体に相談してください」
その言葉に、正直少し戸惑いました。
私のケース、離婚して6年もたっているのに、DVに当てはまるなんて、思ってもいませんでした。
確かに私は、離婚後も彼から送られてくる
“正義”や“責任”を装った数々の要求や圧力に、
心を削られていました。
でもそれが「虐待」だとは思っていなかったんです。
それには、ちゃんと名前がありました。
それは 「ポストセパレーション・アビューズ(Post-Separation Abuse)」 と呼ばれるもの。
これは、離婚や別居後にも関わらず、精神的・経済的・法的な手段で
相手に圧力をかけ続ける虐待の一形態です。
特に私のような 非ネイティブの女性が、ネイティブの男性と結婚・離婚した場合、
その言語的・制度的なギャップの中で、このような支配と操作が
「正当化」されてしまう構造があります。
これは感情論ではなく、**正式な法的概念であり、
家族裁判でも実際に取り上げられている「構造的な暴力」**です。
この気づきは、
私が「自分の中だけの問題」だと思い込んでいた世界を、
一気に広げてくれました。
私は次の日、DV支援団体に電話をしました。
震える声で、自分の状況を伝えました。
すると、その団体は私を信じてくれて、すぐにケースを開いてくれました。
今、私はその支援団体のサポートのもとで、
法的な準備を進めています。
心の支えも、金銭的支援も、法的サポートも、
すべてがここにあります。
ほんの2週間前までは、
真っ暗な闇の中でもがいて、どこに出口があるかもわからない状態でした。
でも今、
一歩一歩進むたびに、光が目の前に広がっていくのを感じています。
私は、もう誰かに脅されながらサインする人生には戻りたくありません。
「黙って従っていればいい」と思わせられていたあの時の自分を、
もう二度と繰り返したくない。
これは、私が声を取り戻していく過程の始まりです。
そしてもし、
あなたも誰かから脅されたり、プレッシャーをかけられたりして、
「何もできない」と感じているなら――
どうか伝えたいです。
あなたは一人じゃない。
あなたが声を上げることは、間違いじゃない。
私は今、もうサインしません。
この人生を、誰かの脅しや都合で進めることは、もう終わりにしました。
これは、私の“再起”の記録です。
ソフィア