親との関係で、長年にわたる心の傷を抱えて育ってきた人たちにとって、
心の回復の道のりは、ただ“前に進むだけ”ではありません。
むしろ回復が深まってくると、ある種のやっかいな感情の嵐に出会うことがあります。
たとえば、
信頼していたはずの人が、急に信じられなくなる。
これまで大切に築いてきた関係なのに、
ふとしたきっかけで、そのすべてが疑いと不安で塗りつぶされるような感覚に襲われることがあるのです。
それは、相手が急に変わったわけでも、
自分が本当に間違っていたわけでもない。
それが、「エモーショナル・フラッシュバック」と呼ばれる心の反応であることを、私は最近ようやく理解しました。
十分な訓練を積むことで、
「信頼していたはずの人に対する不信感」さえも、
実はフラッシュバックのサインだと気づけるようになる。
この一文に、私はドキッとしました。
信頼してた人が、急に信じられなくなる。
安心していたはずの関係が、いきなり不安と疑いで満たされる。
それって、相手が変わったわけでも、私が間違っていたわけでもなくて、
“あの頃”の私が、今この瞬間に顔を出していただけだったんだ。
フラッシュバックって、本当にやっかいです。
ただ昔を思い出すだけじゃない。
今築いてきた信頼や、回復の実感さえも、まるで全部壊れたように感じさせてしまう。
「せっかくここまで進んだのに」
「またふりだしに戻った気がする」
そんな絶望に包まれたこと、私にも何度もあります。
でも、今ならわかります。
フラッシュバックは、回復を壊すものじゃなかった。
回復の途中に必ず通る、通過点のひとつだったのです。
そして、「これはフラッシュバックかもしれない」と気づけたとき、
私たちはようやく、自分を責めるのをやめて、
嵐の中でも立ち止まったり、少しだけ前に進んだりする選択肢を持てるようになる。
だから私はいま、
「信頼できない」と感じたときこそ、こう問いかけます。
これは本当に“今”の感情?
それとも、“あの頃”の私が叫んでいるのか?
そしてそっと、自分に言ってあげる。
「大丈夫。私は今、ここにいる。
もう、ひとりじゃない。」
ソフィア