中高一貫の中学生で医学部を目指して取り組む諸君へ | 中学入試と医学部入試の道の駅

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小さな子供が健気に全力で取り組む中学入試。将来を掴み取るために必死で闘う医学部入試。予備校で数学を教える私が全力で応援するブログです。

今日の記事は、中高一貫の中学生で、既に医学部への志を持ち、日々精進していきたいと思っているような、意識高い系の人へ。数学の指導員の立場からお話していきたいと思う。

 

まず、中学入学当初に重要なこと。受験算数と中学数学との違いに戸惑うことがあるかもしれない。まずはそこを克服しよう。
中学数学で最も重要なことは、教科書を教科書通りに理解していること。諸君の学校には「教科書くらいは簡単だ」とか言っている不心得者はいないだろうか。教科書を理解しているということは教科書を人に教えられるレベル。


友達に教科書の内容を聞かれたら、ちゃんと理解させられる?兄弟に聞かれても大丈夫?お母さんにだって数学を教えられる?問題が解ける程度のことではダメ。中学受験をしてきた諸君ならば、何となく問題を解くなんて誰でもできるかもしれないが。教科書を使って自分で授業ができるレベルでないといけない。



実際に私は医学部に進学希望の受験生を教えていて、学力の伸び方に差が出てくる原因を突き詰めていくと、中学数学の理解度の違いであることが多い。それも教科書ね。医学部の入試問題は根本が深いから、基礎部分が弱いと成り立たない。

このように教科書の理解レベルを上げていこうとするときに、これまでにやってきた受験算数の勉強が活きてくる。算数は答えを追求する教科だった。数学は答えに通じる真理を追求する学問だから。算数と数学の繋がりが一段高いステージから分かってくるのは学問としてとても楽しいよ。

 

そして、もう一つ間違えていけないことがある。諸君はもう高校受験することはない。だから、中学数学を使った難問題集を学習する必要はない。御三家を受験するわけではないからね。私も中学生の指導をするときには、高校受験生なのか一貫生なのかによって、全く異なった指導をする。将来を見据えた学習が重要だ。


そして、しばらくは受験はないのだから、学校の成績なんかもこだわる必要はない。
中学受験で難関中学に合格した人は、学校の先生方も上位集団の中で成績を付けないといけないから試験も難問奇問が出題されることもある。でもそこに拘らなくていい。

逆に難関中学には不合格でワンランク下げた中学に進学した人もいるね。そういう人は逆にラッキーだ。学校も基本に即した勉強をすすめるだろうし、マイペースな計画も立てやすい。そういった根本の理解が最重要だからね。

 

ここまでをまとめると、中学数学は教科書が重要。基本が命。難問は不要。こうなると、ちょっと余裕ができるよね。そこで私が勧めしたいのは、先取り学習だ。


実は、中学課程の数学は分量も少なくて、基本を重視して取り組めば、正しい理解に到達するまでの時間はそれほど長くはかからない。受験算数より易しいと思う人も多いはずだ。ところが、高校課程の数学は分量が果てしなく多く、難度も中学課程とは比較にならない。

よく聞かれることは、公立中学から一生懸命に高校受験をして、高校に入ったら楽になるかと思ったら、勉強が速くて難しくて付いていけずに、どんどん負のスパイラルに嵌まって奈落の底。

諸君はその点、アドバンテージを取ることができる。中学課程を1年半くらいで終えて、そこから1年半くらいで高校課程の先取りをしてみるのはどうだろう。高校課程は難度が高いといっても、書店には基本から学習できる教材がたくさん売っている。マイペースならば自学自習でもしっかりと理解できるだろう。しかし、これはあくまで私の提案だ。そんなに速く学習する自信がなければ、現状を着実に進んだ方がよい。一貫校ならば学校の進み方でもある程度はアドバンテージがあるから。

ある程度先取りができていると、高校での数学がとても楽になる。受験態勢にも入りやすくなる。

医学部の数学は難度が高いと思われがちなんだけど、実はそうじゃない。医学部は医学の基礎を教科書通りに勉強するものだから、医学部数学も基本通りの問題がメイン。医学部数学の難しさは分厚い基礎力を要求されるというイメージだ。

 

ここまで数学についてお話してきたのだけれども、諸君に一番力を入れて勉強してほしい科目は数学ではない。今の大学受験で最も重要な科目は英語だ。英語に関しては圧倒的に出来るようになっておいてほしい。数学の先取り学習は、英語が十分に出来ているという仮定でお話をしただけ。中学生のうちの勉強の比重は、英語50%、数学25%、その他25%くらいでよいかな。

 

他にもいろいろと幅広い勉強をしていってほしいとも思うよ。留学するならばそれも素晴らしい選択肢だ。部活を頑張ったり、生徒会をやってみたりするのも医師になるための重要な経験になると思うよ。

 

私のアドバイスを参考にこれからの方向性を考えてみてください。例えば、塾に行くという選択もあるよ。ただ、その塾はどんな方針の塾なのかな。私立中学生の塾は、その学校の定期試験に合わせてくれて、よい成績を取らせてくれて、なんか気持ちよくなれるっていうやつもあるけど、それはナンセンスだよね。学校の成績が重要なわけではないもの。

例えば、英語の先取り学習を手伝ってくれて英検の指導をしてくれるのならば有効だね。数学も自分の学習のサポートになってくれる塾ならば良いと思う。将来を見据えた学習にプラスになればよいし、そうでなければ時間とお金の無駄。

留学してみたいのであれば、数学も少しは先取りしておいた方がいいから、塾のサポートをもらってもいいかもね。留学先でも数学を学習したいから、自学自習で進められるやり方を身に着けることが先決。塾でその方法を指南してもらってもいいかも。

 

勉強のことをいろいろと書いたけれども、勉強しかしていないような学力バカでは医師にはなれない。いろいろと経験しないとね。

本も読んでよ。入試問題攻略には文章読解力が重要。医師は人と接する仕事だから、心豊かで、教養深い人じゃないとできない。

タフネスも必要だから、強い身体じゃないといけない。自分が病気では他人の病気は治せないからね。

 

医師を目指すのは甘くはない。でも今から意識高く良医を目指していくのであれば、必ずたどり着けるはずだ。自分を信じて、自分を待っている医療のサポートを必要とするたくさんの人を想いながら、日々精進努力をしてほしい。

 

いくた