予備校の卒業生に向けての言葉 | 中学入試と医学部入試の道の駅

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小さな子供が健気に全力で取り組む中学入試。将来を掴み取るために必死で闘う医学部入試。予備校で数学を教える私が全力で応援するブログです。

医学部へと旅立つことになった卒業生を呼んでの合格祝賀会。今年ももうすぐ行われる。

講師から卒業生に言葉を送るのだが、私は毎年同じことを話している。


合格おめでとう。皆さんの努力が結実し、今日の日が迎えられたことを嬉しく思います。
皆さんをお祝いできて嬉しい反面で、多くの学友が涙をのんだことを私は残念で悲しく感じます。

皆さんは涙をのんだ学友と何が違っていたのでしょうか。能力が上回りましたか?努力が上回りましたか?いや、ただ少しだけ運が良かっただけですよね。あなた方の得た学籍は、多くの涙の上に成り立っているものだということを忘れないでください。共に戦った学友に恥じない努力を、今後続けていくべきでしょう。

この一年の浪人生活はどうでしたか。あなた方はこの一年、社会的最底辺の存在でした。不可触民、アウトオブカーストでした。それが合格通知の紙切れ一枚で医学部生となりました。突然バラモンになったような気持ちなのかもしれません。
しかし、あなた方はこの一年という長い時間、高いお金という代償を払わないと合格できなかった。単なるバカモンです。この一年は、自らがバカモンであることを知るための時間だったともいえます。

自分がバカモンであることを知っていることは、人生にとって大きなプラスです。自らが足りない人間であること、出来の悪い人間であること、それを知っていれば、何事にも真摯な努力をせねばならないと思えるでしょう。世の中の失敗とは、堕落した自分が傲慢のほむらで火傷することで起こります。バカモンであることを知っていれば傲慢にはならないはずです。

それでもあなた方は失敗するでしょう。出来が悪いのですから。人間は失敗して、一敗地に塗れ、地を這いつくばり、また立ち上がって成長していくものです。しかしあなた方は医師への道を歩む。この道は時として失敗がシリアスな結果を招くものです。だからあらかじめ話しておきます。
失敗から立ち上がるためには、失敗を招いた自らの傲慢さを反省すべきです。そして、周囲への感謝と自らの謙虚さを大切にするのであれば、道は必ず見えてきます。
20歳前後のバラモンになった諸君に、感謝や謙虚などという言葉は通用しないのは分かっていますが、敢えて話しておきますよ。

これからあなた方は、医道を歩んでいきます。既にあなたは医学生です。世間ではただの大学生とはみなしてくれません。将来は医師の称号を得るでしょう。世間はただの人間とはみなしません。極端な話、あなたは人間ではなくなるのです。

この道は厳しい道です。自らを律して、謙虚さと感謝の念を忘れずに真摯に歩んでいってください。皆さまの成功をご祈念しております。


こんな話を毎年している。本当に心に留めて「謙虚さを忘れずにずっとやってきました」と報告に来てくれる卒業生もいるのだが。

一つの問題点がある。このスピーチをするとき、私はヘベレケなのだ。つまり、酔っ払いの戯言になってしまうんだね。

スピーチとスカートは短い方がいいというのは普遍的定理であるが、私は吼えまくる。

いくた