ただ数学は見た目より遥かに奥深い学問領域だわ。最近はただ教えることだけではなく、その周辺にある無辺空間に様々な味を感じる。
単に正解を求めていくだけではない。どの道を辿って正解に巡り会うのか、生徒にはどの道が見出しやすいのか、どんな勘違いを生じやすいのか、間違えやすい部分は何なのか。
こういったことは実は教える側から悟るのは難しい。私達が想像できる範囲を超えたパルプンテを生徒は放ってくる。
私が大学生の頃、東海高校の生徒の通う塾でバイトしていた。その頃、毎年同じ質問をされた。剰余の定理に関すること。剰余の定理は名前は有名ではないが、因数定理の余りがあるヤツといえばみんな知っている。その質問は、
「商が分からないのに、なぜ値が分かるのですか?」
この質問、剰余の定理を知っている人は思うでしょう。質問者は相当なお馬鹿さんなのだろうと。しかし、毎年この質問を東海高校の成績優秀者からされていた。学校の先生も塾の指導員も、まさかこれが分かっていないなんて想像できない。
今年もまた一つパルプンテを発見した。"互いに素"に関すること。互いに素というのは最大公約数が1である2個の自然数という意味だけど、驚きの理論が発表された。
"2個の自然数のうち一つが1である場合、1は素数ではないので、互いに素にはならない"
は?
この理論を提唱したのは一人だけではなかった。センターで9割を取るような生徒もそう思っていた。ビックリ過ぎて、頭イタ。どこで互いに素と素数を結びつけたのか。
こういった勘違い、私が予備校内で開いている任意テストで発見された。クラブ活動的に、夏から秋にかけてやっている。
私達講師の想像を遥かに超えた、超え過ぎて唖然とする事態を発見できる。クラブ活動の準備は私には大変だが、生徒にも私にも有益な活動だ。
来年は任意テストも続けながら、国公立医学部受験者を対象に数学討論会を開催したいと思っている。難関大学の問題は、様々な切り口が考えられるし、生徒がどんな切り口を選びやすいのか、どんな論述ミスを発生しやすいか、5人くらいいれば、討論の中で有益なストラテジーが見出せる可能性も高い。少なくとも赤本よりはいい解答が出来るだろう。
そして、その様子を録画して、本にして、出版して、印税生活をする。というエロい夢を見ながら、今期もハードな一年が始まります。
いくた
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