『正欲』 朝井リョウ | ふぁいのだらだらな日々

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児童ポルノ所持で3人の男たちが摘発された。

ボランティアと称して、公園で子どもたちと水遊びをしながら撮影をしていた仲間らしい。そのうち一人は児童買春の前科もあり、容疑を認めているが、他2人は黙秘を貫いているという。

 

表面的にはそうまとめられる事件。

容疑者たちが明かそうとしない「秘密」とは。

 

年号が変わる新しい時代。多様性の時代。

「正しい欲」とは。「正しくない欲」とは。

 

 

 

読み物としてはおもしろく、一気に読めた。

ただ、テーマとしては伝わりづらく、謎な部分が多かった。

 

おそらく、登場人物たちの抱える「秘密」が、ちょっとピンとこないものだからだろう。

「人間には全く性的興味が持てず、水の激しい動きにのみ興奮する」

それは確かにマイノリティだろうけど、特に他人が拒否反応を示すほどのものでもない、と思ってしまうから。

 

世の中には想像もつかない性癖がたくさん存在するんだぜ!と言われても、「へー、そうなんだ」としか思わないし。

だいたいの人は、他人の趣味とかフェチとか、性的嗜好なんてどうでもいいのではないだろうか?でも、その欲を満たすために人に迷惑をかけたり、危害を加えたりすることに対して嫌悪感を抱いているのでは?

 

なんか「マイノリティな自分」を特別視しすぎ。

感情を共有できない孤独感の中で生きてきて、ようやく他人と繋がる喜びを手に入れたのだから、もっと心を開けばいいのに、と思うけれど、それはマジョリティ側の考え方なんだろうか。

 

多様性、多様性というけれど、「多様性とはこうですよ」と定義づけられた時点で、もう多様ではないという矛盾。

 

「どうせマジョリティの人には何を言っても理解してもらえない!」とシャッターを下ろした時点ですべて終了なんだけど、それじゃあ、この小説は何を伝えたかったの?