大学進学のため東京に出てきた世之介。
バブル真っ最中の東京に戸惑いつつも
持ち前の明るさと人懐っこさで飄々と生きて行く。
なんとなく流れでサンバサークルに入ってしまった世之介、
どこにでも運転手付きの黒塗りのセンチュリーで現れるお嬢様に想いを寄せられる世之介、
クルージングパーティーを海水浴と間違えて、海パンと浮き輪でやって来た世之介。
時折、登場人物たちの20年後が差し挟まれているが、
誰の記憶の中にもクスッと笑ってしまう世之介がいる。
周りから尊敬されるような能力があるとか、アクが強くて印象に残るとかではないのに
ふと思い出して、そう言えば昔こんな人がいてさーって誰かに話したくなる。
世之介はそんな人物だ。
とにかく徹底的に愛されキャラ。
そのへんに普通にいそうなのに
関わった人たちの人生に少なからず影響を与えているという不思議。
そう、不思議な本だった。