父親を殺された息子・亮司と、その容疑者の娘・雪穂。
当時小学生だった二人は、その後、決して交わることのないような道を歩んでいく。
どんどんステップアップして表社会で成り上がっていく雪穂。
怪しげな商売をしながら裏社会で生きる亮司。
その二人をつなぐものは・・・。
ずいぶん前に放映されたテレビドラマを、最近になってたまたま見た。
そして、ほんとどうしようもないストーリーだなと思った。
つまらないという意味ではなく、その設定がやりきれないというか
そもそも諸悪の根源はなんなんだよ、というやり場のない怒りというか。
原作ではどう描かれているんだろう、と気になって読んでみた。
ドラマを先に見ただけに、ストーリー展開が分かっていたのですんなり入っていけたが、
原作では、次々と現れる人物の目線で断片的に語られていくので
何が事実か、そもそも何が起こっているのかさえなかなかつかめない。
また、亮司と雪穂の心情的なものがいっさい描かれておらず、
よりいっそう捉えどころのない不気味さを感じさせる。
そしてやっぱり思ってしまう、諸悪の根源は何なのかと。
ふたりは完全に孤独というわけではなかった。
本気で心配してくれる人もいたではないか。
何か他に道はなかったのだろうか?
これ以外の方法は選択できなかったのか?
雪穂も亮司も頭が良すぎた。
そして雪穂が美しく魅力的すぎた。
男女問わず関わる人みんな、形は違っても雪穂の虜になってしまったゆえの悲劇だ。
真相を探る刑事さえも。
そして読者までも。
その後の雪穂が気になってしまって続編と言われる『幻夜』を読まずにいられなくなるのだ・・・