「サルバトール・ムンディ」について 続・レオナルド・ダ・ヴィンチの幻の絵画発見のニュース | Espressoのブログ

「サルバトール・ムンディ」について 続・レオナルド・ダ・ヴィンチの幻の絵画発見のニュース

先日ロンドンのナショナルギャラリーから発表されたレオナルド・ダ・ヴィンチの幻の作品「サルバトール・ムンディ」の画像が公開されました。

サルバトール・ムンディ

キリストの頭部に光輪がないことや顔部のタッチなど確かにレオナルドを思わせるものがありますが、私がぱっと見た感想としてはレオナルドというよりレオナルド工房として制作されたものではないか感じました。

過去にもまったく同じ構図の作品が発見されており、レオナルドとの関係性をうかがわせるものがありました。

サルバトール・ムンディ(パリ版)ヴェンツェル・ホラーの版画
左:パリの Marquis de Ganay財団が所有している「サルバトール・ムンディ」
右:版画家ヴェンツェル・ホラーがレオナルドの下絵にもとづいて制作したといわれる「サルバトール・ムンディ」

これらの作品が決定的にレオナルドと関連づけられている理由は「サルバトール・ムンディ」の衣装の一部がレオナルドがウィンザー手稿RL12524rに書き残した衣装のデッサンに酷似しているためだと思われます。

ウィンザー手稿RL12524rウィンザー手稿RL12525r
ウィンザー手稿RL12524r、RL12525rに描かれた衣装のデッサン

「サルバトール・ムンディ」との比較画像「サルバトール・ムンディ」との比較画像
今回発見された「サルバトール・ムンディ」との比較画像

余談ですが2007年にサザビーズの競売にかけられたレオナルドの弟子、ジャンジャコモ・カプロッティ(サライーノ)作「キリストの頭部」。今回発見された絵画と構図がよく似ているような感じがします。

サライーノ作「キリストの頭部」

ジャンジャコモ・カプロッティ(サライーノ)は今年の2月に「モナ・リザ」のモデルは彼ではないかという説も出て、大変話題になった人物です。サライについてはこちらも合わせてご覧下さい。

モナ・リザとジャン・ジャコモ・カプロッティについて

いずれにしてもレオナルドに強く関係するであろうこの作品。イギリスのレオナルド研究の大家マーティン・ケンプ教授がこの作品にレオナルドの筆が何十パーセント入っているか解き明かしてくれると思います。