前回のコラムでレーベンの日常生活上、アジリティ競技上での過度の吠えに対して垪和(はが)訓練士(http://profile.ameba.jp/happines--family/)のもとで新しいトレーニングを開始したことを報告しました。(無駄吠えのしつけ レーベンとの戦いその1 バウバウコラム https://ameblo.jp/ph-wauwau/entry-12306833128.html

 

 

↑↑生後二ヶ月の頃のレーベン。やんちゃそうな瞳が先の苦労を物語っていた?↑↑

 

もう一度トレーニングのプログラムをおさらいします。

 

<1>クリッカートレーニング

クリッカーとは、真ん中のボタンのようなところを押すと、短く「カチッ」と音が鳴る道具です。これをワンちゃんのトレーニングに用いるのがクリッカートレーニングです。例えば『よし!』と言う言葉を使用すれば、同じヒトでも、その時々で声のトーンや大きさを一定にすることはできません。しかし、クリッカーはいつも同じ調子の短い音が鳴ります。その音がワンちゃんにとっては「正解だったのだな。」と確認する手段となります。このクリッカートレーニングを用い、レーベンにはこちらが何を望んでいるかを考えさせるトレーニングを行いました。「こちらが望んでいること」というのを、言葉で指示するのではないところが、垪和先生のクリッカートレーニングの特徴です。

 

↑↑こちらがクリッカー。真ん中のボタンを押すと「カチっ」となります。↑↑

 

<2>吠えても何も良いことは起こらない。では、どうしたらいいのだろう

と考えてもらう環境を設定します。

この<1>と<2>の2つのトレーニングをバラバラの時期に行うのではなく、同時に行うことに意味があります。クリッカートレーニングを行うことで「自ら考えて行動を選ぶ」という基礎をつくり、そこに実生活上において「こちらが何を望んでいるのか」を考えてもらうというプログラムです。

<1>のクリッカートレーニングの具体的な内容を前回のコラムで記載しています。

(無駄吠えのしつけ レーベンとの戦いその1 バウバウコラム https://ameblo.jp/ph-wauwau/entry-12306833128.html

今回は、<2>吠えても何も良い事は起こらない。では、どうしたらいいのだろう

と考えてもらうトレーニングの具体的な経過を報告します。

 

<2>吠えても良いことは起こらない

 具体的な内容は至ってシンプルです。吠えている時は全く相手にしないのです。

前記のクリッカートレーニングでの考えてもらうトレーニングと同時に行うことで、なぜ、吠えて伝えているのに望みを叶えられないのだろう、じゃあどうしたらいいのだろう・・・とレーベン自身に考えて答えを出してもらうようにしたのです。

 

 

 

 

 レーベンが最も吠える状況というのは、幼稚園で私の迎えを待つときとアジリティ練習での待機中です。幼稚園では、ママが迎えに来たことが分かると、自分のところに来てくれるまで吠え続け、近づくと飛びついて、ワンワンと吠えながら置いていった事を抗議します。アジリティの練習では、自分がクレート待機しており、兄ちゃん達がママと一緒に練習しているとなると、嫉妬心からかクレートの中でずーっと吠え続けていました。「兄ちゃんだけずるい!僕もママと遊びたい!!」と。

 しかし、今日からはルールが変わりました。

「吠える」=「興奮している」=「落ち着いていない」

この図式から、クレートからは落ち着いている時しか出られないと教えることにしました。これは垪和先生の「ワンちゃんそれぞれに、興奮の入るスイッチがどこにあるかを検証する必要がある」という持論がヒントになっています。(https://ameblo.jp/happines--family/entry-12311613571.html

 車や幼稚園でクレートから出すときに、気がそわそわしているならばクレートのドアを開けないこととしました。この時に大事なのは、ヒトが「伏せ」とか「お座り」の声をかけるのではなく、レーベンに自ら考えさせることなのです。ドアを開けようと覗いた時に、鳴いていたり、そわそわと立っていたらそのまま立ち去ります。そして、レーベンが自ら伏せたり座ったりして平穏な雰囲気になった時に開けてあげるのです。「強制で言われたことをしたら楽しい事がある」ではなく、「自ら興奮せずに落ちついていたら願いが叶う」と理解してほしかったのです。

 

↑↑ソフトクレートの中のレーベン。↑↑

可愛い笑顔だからナデナデしてあげたいけど、そわそわして立っていたら出してあげられないんだなぁ。

 

 しかし、突然ルールが変わったことを知らないレーベンは、幼稚園に迎えに行くとクレートの中でいつも通りに吠え始めます。こちらは吠えやむまでひたすら何も言わずに待ち続けます。レーベンにとっては、「そこにママがいるのに見向きもしてくれない、近づいてもくれない、他のスタッフ達もここから自分を出してくれない、、、なんでだろう、声が届いていないのかも!」と更に大きな声で叫び始めました。今までにない悲鳴の様な叫び声が響きます。それはこの開始当日、2時間半も続きました。

 この、「一旦吠え声はひどくなるであろう」というのは、垪和先生にとっては想定範囲内の出来事でした。しかし、このひどくなり方が余りにも激しく、2時間以上も持続する悲鳴のような吠え声には、こちらの気持ちが折れそうになりました。でもここで自分の心に負けてはレーベンとの関係も崩れてしまいます。レーベンにとっては、さらに大きく叫ぶ事で願いが叶い、明日はもっとひどく叫ぶようになるでしょう。泣きたくなる気持ちをこらえて無視し続けました。そして約2時間半後、叫び疲れたレーベンが静かになりました。このタイミングでやっとクレートから出してあげる事ができました。このまま鳴き続けたらどうしよう・・・との不安から解放され、疲労困憊で私もレーベンも帰路につきました。

 

↑↑思いっきり走り回って心地よい疲労感のレーベン↑↑

こんな疲労感なら毎日でもいいのだけれど。。。

 

 この事態はすぐに改善するものではありませんでした。クリッカートレーニングと平行していても、来る日も来る日も同じ事が繰り返されました。うまく行かない事に私自身が苛立ちや焦りを感じ始めていた時、ふと、アジリティの師匠から言われたことを思い出しました。

「レーベンは他の誰かに遊んで欲しいのではなくて、ママに遊んで欲しいんだろうなぁ。園でクレートから出してもらえても、ママと遊びたいんやって言ってるんだろうな。」

 その時に気づきました。週末には旅行に連れて行きアウトドアを一緒に楽しんでいる。平日も週に何日かはアジリティの練習でレーベンと一対一で遊んでいる。それ以外の日も家でのお留守番はなく、幼稚園にいき、園のスタッフが常にかまってくれいてる。だから寂しくないはずだ。これで十分レーベンは日々遊んでいるのだと思い込んでいました。だけれども、いつも同居犬である兄ちゃん達と一緒に遊んでいるレーベンにとっては、私との関係が希薄なものであり、不安(不満?)がふくらんでいたのかもしれません。そこから、自宅内で一緒に遊ぶ時間を確保するようにしました。狭い室内ですが、大好きなボールで、朝食前、出かける前、帰宅後、寝る前など、少しの時間をみつけて私とマンツーマンで遊ぶ時間を作りました。すると、驚くほどに急速に吠えがやみました。少しの鳴きはあります。でも、すぐに治まるのです。

 

 

↑↑休日にはアウトドア晴れこれだけ遊んでるから充分だと思っていた。↑↑

でも、レーベンにとっては別腹だったよう。

 

 園に夕方迎えにいくと、以前とは明らかに違い、クレート内でスヤスヤ眠るレーベンがいます。たとえ吠えたとしても吠え方が明らかに違います。吠えのトーンや持続時間が明らかに違うのです。以前のレーベンだと、一体いつこの吠えは止まるのだろうと不安でした。しかし今のレーベンだと、「そのうち鳴き止むだろう」と気楽に放置することができます。そして、本当に気づいた時には鳴きやんでいます。

 

 

↑↑3歳のお誕生日に寄せてバウバウスタッフからのプレゼントとカード♡↑↑

この頃からレーベンは急速に変化していきました。

 

 アジリティーでの吠えもゼロではありません。ですが、以前のような意味の無い興奮が原因で延々つづく吠えではありません。「次はどっちや!」「分からんやん!」「ママ、じゃま!」の単発の吠えに変化しつつあります。もちろんこれもやめては欲しいです。だってこれは、ハンドラーの技術への不平不満なので、ハンドラーは凹まされますから・・・。

 

 

↑↑アジリティーはヒトと犬との共同作業。連帯責任です。↑↑

一方的なクレームをハンドラーは受け付けません!By レーベンママ

 

 ここへ至るまでの期間は、新たな訓練をはじめて約半年でした。この間に講じた対策は、どれを外しても成立しなかったと思っています。クリッカーという道具を使ってレーベンに何をこちらが望んでいるのかを考え、自らの行動を選択することを学んでもらいました。同時に、日常生活上での無駄な興奮を取り除き、実生活でこちらが何を望んでいるのかを考えてもらうトレーニングをしました。でも、このトレーニングだけでは解決しませんでした。レーベンの「問題行動=過度の吠え」の原因は飼い主である私との関係性への不安(不満?)だったのです。他者に任せるのではなく、私自身がレーベンと向き合い、一緒に何かをする時間を日々の中で確保することで、レーベンは急速に成長していきました。

 

 レーベンは3歳です。これから成長していく過程で、様々な局面に出会うことでしょう。その時に、トレーニングの方法だけを考えるのではなく、自分自身と愛犬との関係性は確立しているのか、愛犬が不安(不満?)になっていないかを検証することは最重要課題なのだと学びました。まだまだ未熟な姿をお見せすることでしょうが、日進日歩、2人5脚でレーベンとともに進んでいきたいと思います。