地域文化と「共創」の現在――記憶と歴史のあいだで
> 近年、多くの自治体で「市民と共につくる文化政策」や「共創による未来づくり」といった旗印のもと、地域の語りや個人の経験を公的な文化資源として活用しようとする動きが広がっています。

このような取り組み自体は歓迎すべきものです。しかしその一方で、私たちは今、次のような問いを改めて立ててみる必要があるのではないでしょうか。

――「語り」と「歴史」は、いつ、どのように区別されているのか?
――市民と行政の“共創”は、対等な知の協働になっているのか?
――その文化発信は、誰の視点に基づいて、誰の声を代弁しているのか?

とくに、行政主導の展示や講座において、「記憶」や「語り」を用いる際、事実確認のプロセスや学術的検証が十分に行われないまま、“歴史”として制度化されてしまう危険があります。これが繰り返されれば、地域の歴史的理解そのものが、公的な物語の中に固定化・単一化されてしまう可能性があります。

歴史とは、本来、多様な記録と複数の視点から読み解く知的営みであり、その正確性と検証性が公共的価値の根幹です。
市民の語りは貴重な文化遺産ですが、語られなかった声、矛盾した記録、それらを検証する知の方法もまた、公共に属する資源であるべきです。

「共創」は、耳障りの良い言葉で終わってはならず、市民と行政、そして文化の専門性とが緊張感を持ちながら信頼を築く場であるべきです。その緊張があってこそ、未来に誇れる公共的文化が育まれると、私たちは考えます。

『小千谷文化』《蔵書施設一覧》
・国立国会図書館
・新潟県立図書館
・長岡市立中央図書館
・新潟大学附属図書館
・新潟産業大学附属図書館
・長岡大学図書館
・上越教育大学附属図書館
・魚沼市立図書館
・南魚沼市立図書館
・新潟県立歴史博物館
・新潟県立文書館

 新潟県立図書館および長岡市立中央図書館には、文化活動の支援としてご購入いただいております。その他の大学・公共図書館へは寄贈の形で送付しており、中でも新潟産業大学附属図書館からは毎号、丁寧な受領のご連絡をいただいています。

 一方、小千谷市および十日町市については、郷土文化活動への協働の模索において、地域資料としての文化的意義に対する理解が得られず、信頼関係を構築できないと判断したため、寄贈・購入を問わず送付を行っておりません(『小千谷文化』第238~239号参照ならびに小千谷市社会教育団体登録問題)。両市は本来、公費による購入も可能な公共機関でありながら、その責務に応えようとしない姿勢が課題と考えています。

 地域の郷土文化活動を支援する制度や意識は、依然として十分に整っているとは言えませんが、今後の協働の可能性に期待し、文化的意義を共有できると判断した機関に限定して送付を行っております。