「茶の本 The Book Of Tea(岡倉天心 著)」を読みました。
この本は、茶道という「生の芸術」をもつにいたった日本人の、培われた精神の構想のあらましを説いているものです。
岡倉天心が41歳から5年の間に、4冊の本を立て続けに書いています。
岡倉天心は執筆する前に、東京美術学校を設立したり、新たに日本美術院を新設したりして、「日本」や「日本美術」の優秀性を訴えようとしてきましたが、なかなか届かない憤りがあり、4冊の本を書くに至ったようです。
以前からお茶に興味があり、読んでみることにしました。
この本から学んだことは…(以下、本文抜粋)
・茶道は、日常の俗境のなかに美を見出し、それを賛美する心に基づいた一種の儀式である。純粋、調和、慈愛心の深さ、社会秩序の理想といったものを教えてくれる。
・茶道の根本は、「不完全なもの」を敬う心にあり、ままならない人生にあって、可能なことだけでもやってみよう、という心優しい挑戦である。
・茶道こそ、世界に受け入れられた唯一のアジアの儀式である。
・8世紀中頃の詩人、陸羽によって「茶経」が書かれた。茶のもてなしのうちに、すべてのものを支配する調和と秩序を見出した。
・日本人にとっての茶は、喫茶法を単に理想化するものではなく、生の術を教えてくれる宗教である。
・道教とは、中国三大宗教の1つ。中国古代に流行した神仙思想を母体とし、陰陽五行思想と融合し、これに仏教の影響も受けて組織化された中国独自の宗教。相対を崇拝している。
・茶道の中に、人生と芸術についての道教と禅の思想が具体化されている。
→茶道のいっさいの理想は、人生の些細な出来事の中に偉大なものを認識するという、禅の考えからきている。道教は審美的理想の基礎を築き、禅はそれを実際的なものとした。
・茶室の簡素さや、俗悪なものを遠ざける佇まいは、浮き世から離れた聖域であり、美の精神を自由に交感できる唯一の場。
・芸術を鑑賞するには心の交流がなにより大切。
互いに譲り合う精神があってこそ成り立つ。
・無用と思っていたものに多少の使い道があると気づいたとき、人は芸術の域に入る。
・茶人の芸術への貢献は多岐にわたる。
建築、日本庭園、日本の陶器、絵画、漆塗りなど。(ここまで)
実際にやってみると、さらに理解が深まるんだろうな…。
美術作品を鑑賞する機会が増えてきた今日この頃。心の交流を楽しみたいと思います。