「時間のデザイン 経験に埋め込まれた構造を読み解く(中西紹一 著)」を読みました。
この本は、私たちの暮らしや文化、社会、歴史などあらゆる側面に確実に埋め込まれている、されど無自覚になりがちな「時間のデザイン」に着目し、それを読み解くことで新たなまなざしを獲得する方法を学ぶための本です。
「時間」というものを改めて考える、よいきっかけになると思い、読んでみることにしました。
この本から学んだことは(以下、本文抜粋)
・時間のデザインとは、みずから意識するしないに関わらず、時間を不連続なものと位置づけ、特定の時間を切り取り、そこに特別な意味を与えることの総称。複線的、多元的な概念を含むものである。
・文化人類学者エドマンド・リーチ(1910〜89)が示した通過儀礼の構造は、文化を超えて共通している。
①日常の時間が切り取られる(分離)
②①が非日常の時間に置き換えられる(移行)
③再度日常の時間に組み込まれる(統合)
①→②は形式性
②は逆転、役割転倒
②→③は乱痴気騒ぎ(お祭り)
・歴史とは、連続的な時の流れを不連続な存在としてとらえ、それらに意味を与える行為。
現在を生きる人々が、重要だと考える出来事を抽出し、組み合わせてつくられた物語が「歴史」ということもできる。
・「伝統の創造論」
→伝統とは、いま生きている人々が、過去の出来事をいまの視点から取捨選択し、改めて組み換えてつくった物語である、という考え方。
・時間のデザインの本質は、二項対立的な世界観を乗り越えるためのものである、ということ。
(ここまで)
スペシャリストによる事例も複数載っており、わかりやすくまとめられていました。
時間を含め、身の回りにあるさまざまなデザインを読み解き、埋め込まれている価値にアプローチしていきたいと思います。