『遺伝子の不都合な真実 すべての能力は遺伝である』(安藤寿康著)を読みました。
この本は、現代人がもつ「不都合な真実」のひとつ、「人間の能力や性格など、心のはたらきと行動のあらゆる側面が遺伝子の影響を受けている」という事実を科学的に明らかにしたものです(はじめに より)。
タイトルとこの「はじめに」を読み、インパクトを受けつつ読み進めました。
<この本から学んだことは…(以下、本文抜粋)>
・ありきたりな知見が「不都合な真実」であるが、その真実から目を背けてしまうことに、人間の知がもつ重大な問題が潜んでいるのではないか。
・この本にあるさらなるメッセージ
①真実を不都合なものと思わせているのが、先入観であることが往々にしてある。
②生命科学で用いられている言葉や概念が、私たちの心と文化の生み出したもの。
歴史的・社会的な文脈に依存し物語化されている。
心理学や教育学、人文社会科学全般と遺伝子学や広く生命科学を対等につきあわせることで、生命科学が見落としがちなことに気づく。
③自由で平等な社会とは、遺伝子たちのふるまいをきちんとわきまえ、遺伝子たちと調和しようとする営みのなかで実現しうる。
・遺伝の影響をきちんと見据えた上で、環境とのかかわりを理解し設計していくことが必要。
・行動遺伝学が導き出したメッセージ(3原則)
①行動にはあまねく遺伝の影響がある
②共有環境の影響がほとんどみられない
③個人差の多くの部分が、非共有環境から成り立っている
・多様なバリエーションが生まれる仕組み、古今東西一度も生まれたことのない新しい個体を生み出す仕組みが遺伝子にある。
・「遺伝の影響があると、親と同じ性質を持った子どもが生まれる」という先入観は捨てなければならない。
・学習して習得しなければならないことに対し、その学習の仕方に関わるさまざまな条件が、遺伝的な条件の違いによって異なっている。
・遺伝子の人格化の時代、すなわち特定個人の遺伝情報をもとにその人の価値や質が問われ、人生を考えなければならない場面に直面する時代は、そう遠くない。
・人は生まれてから成人に向かうにつれて、さまざまな環境にさらされ、さまざまな経験を積む中で、だんだんと遺伝的な「自分自身」になろうとしているように見えてくる。
・環境が私たちを制約しており、私たちが自由を求め、自由を目指そうとするその根底のところに遺伝が大きく関わっている。
・環境は次の4つの形で行動に関わる
①行動の意味が環境によって異なる
②行動自体が環境によって異なる
③環境の意味がひとりひとり異なる
④遺伝の意味が環境によって異なる
・学習機能は、「環境の影響を遺伝の影響の上にかぶせる」と同時に、「環境が遺伝の影響をあぶりださせている」といえる。
・遺伝と環境の影響は、遺伝と環境の条件の違いによって異なる。
・ヒトは自然の産物であり、遺伝子の産物であり、社会も文化も、国家も制度も、遺伝子が生き残るための道具にすぎない(すべてを遺伝子に還元して説明しようというものではないことに注意)。
・いかなる心理的、行動的形質に集団間の遺伝的差異があったとしても、それが特定の集団の人たちの尊厳を脅かしたり社会的差別の正当化に結びつかないような考え方と社会制度の構築が必要。
・知識を使えるような形で持つこと、それを実際に使うことが大事。
・遺伝子にとって不都合な社会や文化や制度の真実に、きちんと向き合っていかなければならない。
(ここまで)
自分のこと、周りのことをもっと研究し、本の内容を正面から向き合い、時には反発や反論しながらも考え続けていきたいと思います。