「はぁ、」


『…ジョジョ、君はなんでここに居るんだい?』


人の部屋にため息つきに来たの?


そう問えば、そういう訳じゃないけど、と彼は言葉を濁した。


『…ディオの事かい?』


「…!うん、まぁ、そう」


今度は私が溜息を零した。


読んでいた本をパタリと閉じて、伏せ目がちにこちらをチラチラ見る彼にお茶のおかわりを入れてやる。


「仲良くしたいんだけど、上手くいかなくて」


『…君は相変わらず馬鹿だね』


本当は一人でゆっくり食べたかったビスケットを皿に出して彼の前に置く。


すかさず手が伸びてがっついている。


「だって、」


『だってじゃない。それとそうがっつかない。昨日叔父様に叱られたばかりじゃないか』


あぁ、ぼろぼろと溢して…。


君、後でちゃんと掃除してよね、なんて言うと彼はにへらっと笑い元気良く返事をする。


『…ディオの事は放っておきなさい』


「えー、なんかいい方法とかないのかい?」


いい方法も何も、彼は君が嫌いなんだしある訳ない。


…と、言っても彼は馬鹿だから分からないのだろうな。


『もういい年なんだし、それくらい自分で考えなさい』


「姉さんのケチ」


『そもそも私は君の姉さんじゃないんだがね』


口のまわりに着いた食べカスを拭いてやれば、


ほら!姉さんだ!なんてにこにこ笑うジョジョ。


…多分、君みたいな馬鹿は彼とは一生仲良くできないよ。


なんて、可哀想なので黙っておく事にした。





悩める弟。



あのクソ女の部屋からジョジョの声が聞こえる。


うっすら開いた扉の隙間から覗き込むと、にやにやした奴がクソ女に口元を拭われている。


困った顔をしながらも、満更でも無さそうなあの女の顔にイライラした。










イラつくディオ様まじ天使。


まだまだ無駄に続くよ☆





「新しい家族だ」


そう言って彼に仲良くしてやってくれ、と私を紹介する叔父様からその隣の少年へと視線を移す。


綺麗な金色の髪だ。


整った顔立ちをしているが、目付きは悪い。


叔父様の言葉に、返事をするも彼は私とは仲良くしたく無いようだ。


『…ベル・ウェルトル。よろしく』


「…ウェルトル?」


手を差し出せば一応、形上は握手するらしい。


「あぁ、彼女は親戚のお嬢さんでね。訳あって預かっているんだよ」


君と境遇も似ているし、話が合うんじゃないか?


叔父様は笑ってそれでは私は戻るよと、背を向けたので私はお辞儀をして見送る。


しかしまぁ、さらに面倒な人間を招き入れるとはあの人も変わった人だな。


「…おい、」


叔父様が行ったので自分もさっさと自室に帰ろうとすると不意に腕を掴まれた。


『…何か?』


振り返れば彼は私を睨み付け腕を捻った。


『離して頂けませんかね、ブランドーさん』


「随分他人行儀ですね、ベルさん」


『他人ですから』


わざとらしく、肩を落として腕を離された。


『仲良しする気なんて君もないんだろう?』


「冷たいですね。…まぁ、話が早くて助かるが。いいか、」


『別にどうでもいいから、話さないで。興味ないから』


ギラギラ光る目が私を捉える。


でも、狙っているのは私ではない。


「なに?」


『好きにしなよ。私には関係ないから。だから私にも構わないで』


グリーンのドレスを嫌味ったらしくなびかせて、態とらしく靴音を立てて、扉の前で最高に冷えた微笑を彼に贈った。


『では、ブランドーさん。私は先に失礼します』


扉が閉まる瞬間に舌打ちが聞こえたが、聞こえないふりをした。


あぁ、私に面倒事が回って来なければいいのだが。






今日は、でもヨロシクしてくれなくていいよ。



「なんだあの嫌味ったらしい女はッ!」


ジョースター卿から紹介された親戚の赤毛の娘。


馴れ馴れしくされるのも腹が立つが、あの態度!虫唾が走る!


苛立ちで興奮する旨を押さえつけ、俺はその辺にあった椅子を蹴り上げた。








ディオ様マジあんな可愛い顔して子安だし意味わからん可愛い。


意味もなく続くよ☆
(=゚ω゚)ノ





数日前の憂鬱な雨空とはうって変わり、今日はとてもいい天気。


といっても、まだまだ肌寒い今日この頃。


こんな日は暖かな紅茶でも飲みながら、ゆっくり友人とお話しするのがいいわ。


「それでシーザーとはどこまで進んだの?」


『…少なくても貴女が考えているようなことは何も無かったわ』


目をキラキラと輝かせるスージーQの目の前にカップを置き、お茶菓子の用意をしていると彼女は大袈裟に肩を落とした。


「えぇー、つまんなーいっ!」


『ふふっ、ごめんなさいね』


自分の分のカップを用意して向かいに座れば、彼女は両手にカップを持ちながらちらり、とこちらを見た。


「…本当になにも?」


『本当になにも』


「ホントのホントに?」


『ホントのホントの本当に』


むぅ、と頬を膨らませ、シーザーはなにやってるのよー!なんて怒る彼女が可愛らしくて思わず口元が緩む。


『…そもそも、そんなに会ってい無いしね』


「え、そうなの?」


意外っ!と彼女は驚いたが、別に普通だと思う。


だって、彼は、


『シーザーは私には会いたくないもの』


「…なんで?」


なんでって、


カップを見つめていた視線を上げるとスージーQが真っ直ぐ私を見つめている。


「どうしてそう思うの?」


『どうしてって、…だって私、彼にひどいことを言ったわ』


そう、私があんなことを言わなければ彼はあんなに苦しまなくて済んだのだ。


私が彼を傷付けた。


彼だってそんな相手に会いたくはないだろう。


「そうかしら?私はそうは思わ無いけど?」


『え?』


スージーQと視線が交われば彼女はウインクして見せた。


「だって一番悪いのは連絡を忘れてた私だしね!…私と会いたくなくなっちゃう?」


いたずらっ子のようにこちらを見つめる彼女に、私はため息をこぼした。


『…いいえ、そんなこと無いわ』


「それは良かった!…シーザーだって同じよ、ただあんなことがあった後だし、タイミングがつかめ無いだけだと思うの」


タイミング、か。


『いっそのこと私から会いに行こうかしら?』


「いいわね!きっとシーザー嬉しすぎてびっくりするわよ!」


ならとびっきりオシャレしなきゃね!なんて笑う彼女に私は微笑み返した。






おかえり、と、ごめんなさい。




とはいえ、どうしようかしら?なんて考えているとノックの音が聞こえた。

『あら、シーザー?どうしたの?』


扉を開ければ、そこには真っ白な薔薇花束と、彼がいた。


「まだちゃんと言ってなかったから。…ただいま。あと、ちゃんとジョジョを連れて帰ってこれなくてすまなかった」


許してくれるか?と不安げにこちらを見る彼。


そんな彼を私は微笑んで、抱きしめた。


『おかえりなさいシーザー。いいのよ、お互い困った人に振り回されてしまったわね!』


そう言えば彼は気の抜けたように笑った。


『私こそごめんなさいね。…でも、約束を半分は叶えてくれてありがとう』


そう結果的には二人とも帰ってきてくれたのだから。


『本当に感謝しているわ』


そうして私はとびっきりの感謝の気持ちを込めて、引き寄せた彼の頬にキスをした。







前回の女子会バージョンです。