青が、遠い。
 
 
吐き出した白い息がいつもより高く感じる青空に消えていく。
 
 
冷たい空気に鼻先が冷えて、痛い。
 
 
それが少し愛しくて哀しい記憶を思い出させた。
 
 
 
 
その日は終始、兄の麻人は幼いあたしの手をぎゅ、っと握って離さなかった。
 
 
「あーくん泣かないで」
 
 
握った兄の手をそう言って撫でれば真っ赤な瞳で此方を見つめ、また大粒の涙をぼろぼろと溢す。
 
 
困り果てて、眉を下げると、少し離れたところで叔母があたしを呼んだ。
 
 
「あーくん、おばさん呼んでるよ」
 
 
「…志知花は、」
 
 
握った手に力が入った。
 
 
「志知花は俺と居たい?」
 
 
小さな掠れた声で、そう言った兄が離れた叔母をちらりと見た。
 
 
叔母がそれに気が付き、此方に向かって歩いてくる。
 
 
「しーちゃんは、」
 
 
下唇を噛む兄を見ずに、まるで、叔母の存在を否定するようにあたしは言った。
 
 
「あーくんと一緒がいい」
 
 
「志知花っ、」
 
 
あたしの言葉を聞いた叔母が肩を掴む。
 
 
ゆっくりと見上げれば叔母は一瞬、目を見開いて、直ぐに困った顔をした。
 
 
「志知花、ゴメンね?お兄ちゃんはね、」
 
 
「志知花は渡さない」
 
 
叔母の言葉を遮り、兄はあたしを抱き上げ歩き出す。
 
 
少しずつ早くなっていく足取り。
 
 
我に帰った叔母が何かを叫んでるけど、それももう、聞こえなかった。
 
 
「志知花は俺がずっと守るから」
 
 
また泣き出した兄の肩越しに見えた青空がいつもより遠くに感じた。
 
 
 
 
 
 
「わたしさ、その時ホント馬鹿なのかなって思った」
 
 
こたつに潜り込んでいたことはねぇちゃんが頭だけ出して笑う。
 
 
「うるせぇな、仕方ないだろ」
 
 
顔を真っ赤にしてぼそぼそとそう言った兄さんにねぇちゃんがでもさ、と続けた。
 
 
「あの時の麻人、すっごくかっこよかったよ」
 
 
ねぇ?とあたしを見るねぇちゃんにうん、と返せば兄さんはあたしをちらりと見て更に顔を赤くした。
 
 
「妹相手になに赤くなってるの、気持ち悪い」
 
 
「それが兄に対する口の聞き方かっ!?」
 
 
「はいはい、そんなことよりそろそろ休憩終わりにしないとまた間に合わないよ」
 
 
あたしの言葉を聞いて兄さんは叫びながらドタドタと自室に戻っていく。
 
 
「…ホント、かっこいいのはあの時だけだったね」
 
 
「そんなこともないよ?」
 
 
換気のために開けた窓をゆっくりと閉める。
 
 
「あたしは兄さんの事、世界で一番かっこいいって思う」
 
 
あたしのために、学校を辞めて働き出した兄さん。
 
 
それでも、夢を諦めないで叶えた兄さんがあたしは世界で一番いい兄だと思ってる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
遠い空の思い出。
 
 
 
両親の葬式の日、兄があたしを引き取ると言ったことも全部、本当は知ってるなんて教えてあげないけどね。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
完二夢主の過去話。


結局、P4サイト作ってしまったらいすです。

此方になります。↓
http://nanos.jp/muimideshita/

暫くはブログ内で今まで更新していたものを整理し、

再度、掲載し直すだけだと思われまするが。

P4中心ですがちまちまと稲妻も書いていこうかと思っています。


from Y to Yで主完小説書きたい衝動が爆発しそうならいすです。

主完おいしすぎて、つらい…