2006年春、
 
 
とある高校前に黒い車が一台。
 
 
「あ、ちょ、待ちぃや!」
 
 
「うるさい」
 
 
刺さる視線から逃げるようにあたしは車から降りた。
 
 
「なんでなん?なんでそんな不機嫌なん?名波ちゃんのゆーとーりほれ!びしっと決めてきたで!」
 
 
濃いグレーのスーツのジャケットをびし、っと整えて見せる真島さん。
 
 
「いや、決めなくていい。もう顔面からしてその筋の人だから早く帰って」
 
 
周りからの視線が痛い。
 
 
「んなっ!娘の入学式に出席するのにその筋もどの筋ないやん!」
 
 
いや、ある、大いにある。
 
だって、
 
 
「真島さんうるさいんだって!」
 
 
「オトーチャンに向かって煩いってなんや!」
 
 
「事実じゃん!小学校の卒業式も中学の入学式もこの前の卒業式だって静かにしてって言ったのに!」
 
 
「だから組のもんは置いてきたやん!」
 
 
「いや、あんたが一番うっさいんだって!」
 
 
ぎゃーぎゃーと校舎前で騒ぐあたし達が先生に怒られるのはそれから10分ごのことだ。
 
 
桜色のNEWDAYS!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
時間軸バラバラに書きなぐっていこうかと。
 
 
 
 
 
 
ゆらゆらと視界が揺れる。
 
アスファルトの上に見えるあれは、いつだったか母が教えてくれた陽炎と言うものだろう。
 
 
 
「…おじさんだれ?」
 
 
「ん?ジブンこそこないな場所で何しとるん?」
 
 
ゆらゆら揺れる陽炎は赤い。
 
 
まだまだ暑い日のことだった。
 
 
 
 
「…真島」
 
 
散歩から帰ってきた犬が拾ってきたモノに嶋野は頭を抱えた。
 
 
「なんやそれは」
 
 
「なにって、親父、見ての通り可愛い女の子ですやろ」
 
 
黒い革のソファーの上に座る少女に菓子を押し付ける真島は嶋野の言葉に首をかしげた。
 
 
「…元の場所に戻せっ!阿呆!」
 
 
「えぇっ、なんでですかぁー!」
 
 
「なんでもなにもあるかボケェ!」
 
 
いやいや、と駄々をこねる真島に嶋野はまさか、と息をつまらせた。
 
「お前まさかそんなガキ相手に…」
 
 
「いやいやいや!そんなわけないって!なに言うてはりますの!」
 
 
ワシそんな飢えとらんし!
 
と力強く言う真島。
 
 
「ワシこいつのオトーチャンになったんですわ」
 
 
「は?」
 
 
オトーチャン?おとーちゃんて、
 
 
「お前がか?」
 
 
「そーです」
 
 
「は、なに言っとんじゃいワレ!」
 
 
嶋野の怒鳴り声にびくり、と真島の隣の少女の肩が揺れた。
 
 
次に響いたのは嶋野の豪快な笑い声だった。
 
 
「お前が、親父なんて柄やないやろ!」
 
 
ひぃひぃと息をしながら笑っていると少女が不思議そうにこちらを見つめていた。
 
 
「なしたんや」
 
 
「おじさん真島さんのおとーさんならななみのおじーちゃんになるの?」
 
 
くりくりと黒い眼をゆらす少女の言葉に今度は真島が笑い出した。
 
 
「親父おじいちゃんやって!おじいちゃん!」
 
 
「黙れ阿呆!」
 
 
ごっ、と嶋野の拳が真島に飛ぶなか、少女は少し嬉しそうにチョコレートを口に放り込んだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ゆれる陽炎の中、
あなたに出会ったの。
 
 
(幻なんかじゃない。)
 
(…あたしに手を差し出してくれたあなた。)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
龍が如く真島さん好きすぎてやばいまじエンジェル。





「やぁ、カイトくん、またあったね」


やつは眉を寄せてそう言うとくるり、とオレに背を向けて、さようなら、と歩き出した。


「待て」


「やだよ」


離れるやつの腕を慌てて掴む。


「私以外と忙しいの」


「はっ、忙しい?毎日家で寝転んでテレビを間抜けな顔で見ながらスナック菓子ばかり食べてて最近体重が増えて慌ててダイエットをし始めたが三日坊主どころか開始三分で諦めたやつが忙しいわけがないだろう」

オレが何も知らないとでも思ったのか?


「…カイトさぁ、」


じっ、とオレをみるやつの眼にどきり、とした。


…そういえば、こうしてじっくり顔をみるのは初めてかもしれない。


少し顔が熱い。


「な、なんだ?」


ゆっくりと動く赤い唇。


オレより小さなやつは見上げて口を開いた。


「カイトさぁ、…私のストーカーなの?」












無自覚。
(…!ちがっ)


「あ、…転んだ」















初ゼアル(-゜3゜)ノ