「シリル、ベルと一緒に来て」
差し出された手のひら。
それは、ぼくがずっと探していた子。
夜風に辺りながら、今日あったこと、久々に会った彼女の事を思い出した。
「シリル、」
「うわっ」
名前を呼ばれて振り替えると頭の上から毛布が降ってきた。
「コンウェイ…、」
「後悔してるのかい?」
「え?」
ちらり、と彼の方を見ると、薄紫色の瞳がぼくを見つめていた。
「彼女と一緒に行かなかったこと、後悔してるかい?」
「…わからない、」
そう、わからない。
あんなに会いたくて、仕方なかったのに。
「…ぼくとベルは、本当は家族じゃないんだ」
「え?」
「ぼく、家が嫌いだったんだ。それで、家を飛び出して一人で居たときにあの子に会ったんだ」
冷たい雪が舞う中で、ぼく達は出会った。
「…今思えば、あの時互いに引かれあったのは、前世での事があったからなんだろうね」
(シリル、ベルね、思い出したの、)
彼女の声が頭に響く。
(ベルはシルヴィエの生まれ変わりなんだよ。だから、)
(シリル、ベルと一緒に来て。)
(シルヴィエはアルミィロに守られるだけだったけど、ベルもシリルに守ってもらってたけど、)
(次はベルがシリルを守るから。)
「…知らなかったなぁ。あの子は、ぼくの知らないところであんなに強く、一人で歩けるようになってたんだなぁ」
なんだかぼくだけ、ぼくだけが取り残されたようだ。
「…寂しいなら、」
コンウェイがぼくの肩を抱き寄せた。
「少しだけなら、泣いてもいいよ」
今はボクしかいないから。
そう言って、ぼくの頬を撫でる彼の胸に額を付けて、ぼくは声も出さずに泣いた。
ぼくらだけの秘密。