ルカが、刺された。
「ルカ…、」
ベットの上の彼は青白い顔をしている。
彼の手に、触れようとして、やめた。
前世の記憶、あの日の“彼女”と彼が重なって触れられなかった。
「…ルカくんは、“彼女”じゃないよ」
「…わかってるよ、」
いつの間にか部屋に入ってきていたコンウェイに呆れたように言われた。
「…わかってる、けど、怖い、」
あの日の記憶が、頭に焼き付いて離れない。
触れた、指先から“彼女”に広がる黒い影が。
(…アルミィロ、貴方は悪くないよ。だから、泣かないで、)
「キミのせいじゃない」
「…え?」
「…キミが悪いわけじゃないよ。ほら、」
コンウェイがぼくの手のひらを掴み、ルカの手のひらに重ねた。
「あ…、」
「ね?大丈夫だ」
振り返ると、彼は微笑んでいた。
「きっと、もうすぐ目が覚める。だから、今のうちに少し休んだ方がいい」
「…うん、コンウェイ、」
ぎゅ、と握ったルカの手は、思ったより暖かい。
「なんだい?」
「…ありがとう、」
彼の言葉で胸が少し軽くなった気がした。
ぼくはコンウェイにお礼を言って、部屋を出た。
「…どういたしまして」
過去を一つ越える。