人懐っこい、眩しい笑顔。
 
細められた瞳から、ちらりと煌めくアメジスト。
 
太陽の光を映す髪。
 
 
「シリル、こいつオレの友達の真月ってんだ!」
 
 
たまたま街で会った遊馬に紹介された彼はニッコリ笑って、左手を差し出してきた。
 
 
「はじめまして!真月零です!」
 
 
よかれと思って仲良くしてください!
 
 
チラチラと光るアメジストの瞳。
 
 
その瞳に引き寄せられるように、あたしは彼の手のひらを握った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
よかれとあたしのプロローグ。
 
 
 
 
ボクは今、酷く不愉快である。
 
 
 
 
「シリル、キュキュあそこ見に行きたい!」
 
 
「うんうん、わかったよ。走ったら危ないからね」
 
 
…そう、全ては彼女、“キュキュ”だ。
 
 
なぜだか分からないが、随分とシリルになついている。
 
 
「あれは?」
 
 
「あれはねー、」
 
 
キュキュがシリルの手を引き、あれこれ聞いて回っている。
 
不意にキュキュと目があった。
 
 
「…っ!」
 
 
目があった彼女はにやり、とボクを見て笑った。
 
 
「ん?どうしたの?キュキュ」
 
 
「んー?あ、あっち!あっち見たい!」
 
 
シリルにはにっこりと人懐っこい笑顔を見せ、離れていく。
 
 
「ふふふ、強敵出現ですね」
 
 
「…まぁ、負けるつもりはないですけどね」
 
 
「随分と余裕ですね」
 
 
アンジュさんが笑う。
 
 
ボクも彼女に笑い返した。
 
 
「コーンウェーイ!」
 
 
向こうでシリルが手を振る。
 
 
「シリルが呼んでますよ」
 
 
「そうみたいですね」
 
 
シリルの隣でボクを見て、不機嫌そうな顔をするキュキュに、にやり、と笑ってボクはアンジュさんと彼女達のもとへと歩いた。
 
 
 
 
 
 
 
 
強敵?そんな事ないですよ?
 
 
 
 
 
「シリルねぇちゃん意外と…」
 
 
「ちょ、エルくすぐったいっ!待って!ホントだめだって!」
 
 
壁の向こう側では水の跳ねる音と女性陣の笑い声が聞こえる。
 
 
「…なぁ、コンウェイ?」
 
 
スパーダくんが自棄に真剣な顔でボクの肩に手を置くが、きっと大したことではないだろう。
 
 
「…なに?」
 
 
大したことではないだろうが、無視するわけにもいかないので、にっこり、と笑って聞き返す。
 
 
「ぶっちゃけた話…、シリルの胸のサイズは…、」
 
 
「ちょ、スパーダ!なななに聞いてるのさ!」
 
 
スパーダくんの質問にルカくんが叫ぶ。
 
 
…そして、予想通りイリアさんの銃声がなりボク達は慌てて風呂場から出た。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
その後、スパーダくんはアンジュさんにお説教を食らった様で、少しは大人しく…、
 
 
「あ、それで、シリルのサイズは?」
 
 
笑顔でボクに聞いてくる彼。
 
 
…ある意味、尊敬するよ。
 
 
「…キミも懲りないね」
 
 
「あんな話聞いて、気にならない方がおかしいだろ!」
 
 
だん、とテーブルを叩き力説されてもね。
 
 
「…そもそも、キミは彼女の着替え中を覗いたんじゃないの?」
 
 
「ばっ、違うって!あれは事故だ!それにだな…、」
 
「それに?」
 
 
急に口ごもった彼。
 
 
「…もうコルセット閉めてて、全然見えなかったんだよ」
 
 
悔しそうに項垂れそう、絞り出すように言った。
 
 
「…そもそも、なぜそれをボクに聞くの?」
 
 
彼女のバストサイズをボクが知るわけないじゃないか。
 
 
そう言えば、彼は不思議そうに首をかしげた。
 
 
「…?コンウェイ、まさか“まだ”なのか…?」
 
 
「ごめん、キミの言っている意味が全くボクには理解できないんだけど」
 
 
「えっ?お前らってそーゆー仲じゃねぇの?」
 
 
頭を抱えて悩む彼。
 
 
「…たぶんキミが思ってるような関係ではないよ」
 
 
というか、何故そんな風に思ったのか。
 
 
「たぶんってなんだよ。あー、二人きりで夜会ってたりするからオレはてっきり…」
 
 
「別に意識して二人だった訳じゃないよ」
 
 
「偶々だって?」
 
 
「うん」
 
 
ボクの言葉を信用していないのか彼は、目を細めた。
 
 
「…とにかく、そんなに知りたいなら直接聞けばいいんじゃない?」
 
 
「あぁ!そうだよな…!って、聞けるか!」
 
 
「なにが?」
 
 
「うわっ!」
 
 
ひょっこりとスパーダくんの後ろから顔を出したのはシリルだった。
 
 
「噂をすれば、だね」
 
 
「ぼくの話なの?」
 
 
にこにこ、と笑う彼女にボクも微笑み返した。
 
 
「スパーダくんが聞きたいことがあるみたいだよ?」
 
 
「ばっ、お前…!」
 
 
「なになに?」
 
 
スパーダくんはボクを睨むと走って逃げていった。
 
 
「コンウェイ!覚えてろよ!」
 
 
「スパーダーなんの話なのー?」
 
 
「…やれやれ、」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
気になる話