前回、リトリーブの釣りにおいて、“フライだけが演出できる領域が存在する”と紹介させていただきました。
これは、以前から薄々と感じていたことなのですが、確証を得たのは数年前、とある川の河口で釣りをしていた時のことです。
その年は、常夜灯が点灯する時間帯に決まってセイゴやフッコの群れが入り、行く度に楽しい釣りが出来ました。
このような状況であったため、そのポイントは常に満員御礼の賑わいでした。
しかし、2月に入ると状況は一変。
それまでが嘘のように、ピタリと釣れなくなりました。
そんな2月のある日のことです。
その日は、ジグヘッドリグを使用するルアーマン9人と私(稀少なフライマン)の計10人が当該ポイントに入り、釣りをしていました。
この日も魚の回遊は少なく、釣り開始から1時間が経過しても誰一人として釣れないシビアな状況。
そこで、リトリーブスピードを落とし、ポーズ(静止状態)の時間も長めに取ったスローなアプローチにシフトすると、“ググッ”とアタリがあり、やっと1匹目を釣り上げることができました。
釣れたのは、フッコサイズのシーバスでした。
その後、同様のアプローチで3匹釣ったところで、隣にいたルアーマンがヒットレンジを訪ねてきたので、「中層のやや下の方」だと答えると、その方は、礼を言って自分の立ち位置に戻り、同レンジを狙って釣りを再開しました。
しかし、残念ながらその方は、魚を手にすることは出来ませんでした。
それどころか、この夜、10人が約7時間キャストを繰り返して釣れたシーバス(フッコ)15匹のうち、実に12匹がフライで釣れると言う結果になりました。
何故、これ程の大差がついたのか?
それは、フライ最大の武器である“軽さ”が起因しています。
この軽さによって、フライは、
① 波動(水押し)が弱く、強波動を嫌うシビアな状況にフィットした。
(これは、スレ難さにもつながります。)
② 沈下速度が遅いため、スローリトリーブであっても、リトリーブ中に長めのポーズ(静止
状態)を入れても、狙いのレンジを外す事無く正確にトレースできた。
これらの理由により、フライの独壇場になったのだろうと考えています。
近年、ルアーでも0.4gや0.2gなどの超軽量ジグヘッドが販売されていますが、そこにワームをセットしたシステムに比べても、ノンウエイトのフックにマテリアルを取り付けただけのフライは遥かに軽く(正確には、そこに質量による水の抵抗の要素が加わりますが)、そこに“フライでしか演出できない領域”が存在するのです。
只、勘違いしないでください。単純にルアーよりフライの方が釣れると言っている訳ではありません。
状況により、ルアーの方が圧倒的に釣れることもザラにあります。
どんな釣りでも“強み”と“弱み”があります。
重要なのは、その要素を十分に理解した上で、その日、その時、その場に相応しい釣り方を選択し、その道具やリグを使い熟し、魚の目の前にあたかも本物のベイトが現れたように演出することだと思います。
しかし、言うのは簡単ですが、これがなかなか、なかなかなのです(笑)
そうした理想的なアプローチが出来るよう、11月3日、4日も海で腕を磨いてきます!
では、また。


