雨がうたえば…佐野洋子『おじさんのかさ』とピーター・スピアー『雨、あめ』の絵本。 | B/RABBITS(ビーラビッツ)のおしゃべり・絵本

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絵本専門古本屋(児童書)を13年経営していました。手と腕を壊して休業中です。この機会にもう一度、絵本や好きな本を見つめ直します。お店で"おしゃべり"していたように、本以外についても"しゃべる"ように書いています。


『おじさんのかさ』佐野洋子/作・絵
      ( 銀河社 1974年初版/ 講談社 1992年)

"ポタポタ、ポポポポ""ポンポロロン"と、隣家のよろい戸から雨が滴る音が聞こえると、雨が強く降っているという合図。

シトシト降っているときは聞こえません。"ポンポロロン"といえば、佐野洋子さんの『おじさんのかさ』の絵本。

りっぱな🌂傘を持っているおじさんは、傘をぬらしたくありません。
いつも出掛けるときは持っていくのに、どんな状況でも傘を開きません。

子どもが頼んでも聞こえないふり。

でも、おじさんは子どもがうたう、
「あめが ふったら ポンポロロン
 あめが ふったら ピッチャンチャン
の声にひかれ、とうとう傘を開きます。

「ぐっしょり ねれたかさも いいもんだなぁ。だいいち かさらしいじゃないか。」
と、りっぱな傘を見てうっとり。

…🌂傘をさして、雨のポンポロロンの音を聞くと、『おじさんのかさ』の絵本を、ついつい思いだしてしまいます。

あと、トトロかなァ。
🚏バス停のあのシーン。トトロが傘を開いて、雨音を聞いて"よろこびィ~"のあのシーン。


大好きな雨の絵本は、ピーター・スピアーの『雨、あめ』(1984年/評論社)。

以前にもピーター・スピアーの『ホラ すてきなお庭でしょう』や『せかいのひとびと』の絵本についてblogで書きました。

オランダ出身のスピアーの絵は、細密な線描で水彩のソフトな色づかい。

それでいて明るくエネルギッシュに、自然もいきいきと、
それでいて一画面一画面の絵が情緒的なのです。

字のない絵本なので絵が語り、
雨の日の子どもたちの情景を、
きらめく感受性にあふれる様子を、
(…いつも書きますが、)
幼い心を大切にあつかい、小さなものに心を寄せて描いています。

スピアーの描く見返しの庭が理想の庭。



わたしも排水口に流れる葉っぱを見るのが、いまだに好きです。

子どもの頃の雨の日は、同じようなことをしていました。
誰もが経験のあることでしょう。

この絵本に文字はいりません。
想像しながらページを繰ります。
一場面ごとに自分と向き合い、
思い出をたどりながら見ると、
こんなに楽しい絵本はありません。

大人になっても、この子たちと同じことをしたい衝動に駆られ、誰も見ていなければ…めちゃめちゃ遊びたい…と思わせる絵ばかり。

近くに玉川緑道がありますから、遊びたいッす。

歳をとるごとに幼児性が増し、木の枝や石を拾ったり、虫を探したり、川の流れをいつまでも見ていたり。

でも、この絵本のように姉弟が遊んでいるから絵になるわけで…と、思ったりして。



姉弟の雨の1日の夜の場面。
ともに雨の日を過ごしたような気持ちになります。

後ろの見返しには、翌日の快晴シーンの絵。梅雨真っ盛りの今、ぱきーんと晴れた絵は、あまりにも憧れの恋しいシーン。

季節はめぐります。
晴の日☀が待ち遠しい。


*14年度の日本サッカー協会の女子の登録選手は4万8300人。米国は150万人…という記事が、先日の朝日新聞に載っていました。

環境が不十分のなか、
ちっさな国のちっさな娘たちは、
最後まで走りきりました。
なでしこたちに👏。