昭和30年小学館『幼稚園』の、デザイナーとイラストレーターの手の温もりを感じる裏表紙広告の巻 | B/RABBITS(ビーラビッツ)のおしゃべり・絵本

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絵本専門古本屋(児童書)を13年経営していました。手と腕を壊して休業中です。この機会にもう一度、絵本や好きな本を見つめ直します。お店で"おしゃべり"していたように、本以外についても"しゃべる"ように書いています。


昭和30年12月号(小学館)裏表紙
                                      /森永ドロップ】


以前お店で買い取った、小学館の幼児教育絵雑誌が3冊だけ2冊ずつあったので、資料として保存していました。

Twitterに投稿した、昭和30年の10月号と12月号の裏表紙の雑誌の表紙です。


昭和30年発行の裏表紙の広告が、森永製菓のだけ抜群にpop art でした。
ボロボロな状態でも、裏表紙のみで買い取った絵雑誌です。


「おいしいね」「おいしいよ」
"ドロップ食べた~~~~い!"と思わせる広告の絵です。

1950年~1960年代の世界のグラフィックアートの流れを汲み、自由な発想で創作され、先練されたポップで洒落た魅力にあふれています。

現代の広告やパッケージは、商品の訴求が直接的な写真が多く、やや面白味に欠けていて、ふつうで画一的なものもたくさんあります。

イメージ戦略はリスクがあるので、直接的に商品を訴えたほうが、即、売上に反映されるのでしょう。


1950年代~1960年代は写真技術の発展以前、アイデアとユーモアで勝負した、路上の芸術"ポスター"の黄金期でした。

デザイナーやイラストレーターが、競い合って技術や表現力を高め、満ち溢れたエネルギーを力いっぱい発揮できた時代です。

デザイナーやイラストレーターの手の温もりが感じられ、平成のこの時代に見ると、あたたかくも鮮烈な印象の広告です。


昭和30年10月号
とれたよ16ぴき キャラメルのかずだよ」のコピー。


11月号雪印乳業の広告、ふつうな広告。
比較すると、森永製菓のpop art でお洒落度が高いことがわかります。



明治乳業の粉ミルクの広告】



【森永製菓の粉ミルクの広告】


他の広告は銀行ばかり。子どもの学費のために貯蓄せぇ、お金を増やせぇの広告。



あとは三菱鉛筆と京都の日本新薬サントニン(虫下し薬)が定期広告。




11月号の巻頭見開きページは、新宿駅近くのレストラン。新宿駅周辺の現代の面影は……、少しあるかな?



12月号はサンタクロース🎅。ソリにのっている人形が、レトロ感たっぷりで可愛い。大写しで見たかったなぁ。



"おともだちのえ"のページ。
東京都のパトリシア・エリコ・コネリイちゃんの絵が好き。




童画と言われる甘ったらしい絵が多いなか、上質な初山滋画伯の絵は、キラリと光っています。



海外のポスターにも引けをとらない、子どもがう~んと楽しめる森永製菓の広告…の巻でした。