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新津章夫 Official Blog 《迷宮の森》

謎に満ちた迷宮のギタリスト、新津章夫のオフィシャル・ブログ。迷宮の森 《Forest in maze》

「I・O」のCD復刻から3年。9月20日に新津章夫としては20年ぶりの新譜(!)が出ました。


タイトルは、「サイエンス・クラシックス」誰もがどこかで聞いたことがあるクラシックのスタンダードともいう名曲の数々を、新津章夫の音作りで仕上げました。「2005年は未曾有のクラシックブーム」と言われていますが、従来のオーケストラとは一味違った新津章夫のクラシックスをぜひ聞いてください。


《 曲目 》

・ 金平糖の踊り(チャイコフスキー)

・ アニトラの踊り(グリーク)

・ ジムノペディ(サティ)

・ 亡き王女のためのパヴァーヌ(ラベル)

・ アンダンテ・カンタービレ(チャイコフスキー)

・ G線上のアリア(J.S.バッハ)

  など全16曲

SC

「SCIENCE CLASSICS」 新津章夫 9月20日発売
発売元レコード会社 Bridge Ink のサイト



 新津章夫(にいつあきお) 1952年8月19日、東京・浅草生まれ。兄の影響で14歳でギターを始め、ジミ・ヘンドリックス、ジェフ・ベック、マイケル・ブルームフィールド、ジョー・パスなどに影響を受け、独学でロックからジャズまであらゆるスタイルのギターテクニックを習得。
 大学3年の時に友人と軽自動車ごと40㍍崖下に転落したものの九死に一生を得る。そして「せっかく生かされた命、好きなことをやろうと」、自分の音楽を突き詰めるため作曲から編曲、演奏、エンジニアリングまで一人で行うことを決意。当時ブームだった4チャンネルのオープンリールデッキを使って半年がかりでデモテープを作成した。これがレコード会社のスタッフの目に留まり、1978年、アルバム「I・O」を発表。このアルバムも自宅にプロ用スタジオ機材を搬入し、すべてを一人で行った。制作時間は約2年。気の遠くなるような時間を、たった一人で過ごした。
 1985年、音楽の道から退きコンピュータ・プログラマーに転身。2002年1月、呼吸不全のため死亡。まだ実年齢で49歳だった。


《ディスコグラフィー》

1978年 アルバム 「I・O( イ・オ)」 *1

      (日本フォノグラム / 現・ユニヴァーサル) 
1982 アルバム 「PETSTEP」

      (ジャパンレコード / 現・徳間ジャパン)

1985年 ミニアルバム 「Winter Wonder Land」

      (スウィッチ)

2000年 コンピレーションCD 「無印良品BGM1980-2000」

      (無印良品 / 8曲提供)

2003年 CD 「I・O( イ・オ)」 *1のCD化

      (ブリッジ)


 新津章夫(にいつあきお)は、1970年末から80年代初にかけて、ほんの一握りのマニアにだけ愛された音楽家です。しかし、そのファンは本当に彼に心酔していて、彼が音楽家としての活動を休止してから半世紀が過ぎた今も、その短かったミュージシャン生命についてネット上で語られています。数は少ないけれども、その声は賛美の限りを尽くしたもので、その声援に応えるために、私は実弟として知っている限りの新津章夫の秘密を語っていこうと思っています。
 ネット上で彼について語ってくれている人々はミュージシャンだったり、クリエーターだったり、いかにも新津章夫の音楽が玄人好みであるように映ります。卓越したギターテクニック、神秘に満ちた音作りとレコーディング技術。たしかに、製作サイドのことを知っていれば、より深く理解でき、驚かされることも多いことは確かです。しかし、けして気後れはしないでください。
 新津章夫の音楽は、愉快な音楽です。子供番組のBGMのような音楽です。
 エッシャーのだまし絵、クラインの坪やメビウスの輪、シンメトリーとパラドックス、そして、アンチクライマックス、回文、円周率…。視覚や論理、言葉など、あらゆるものの中に、平気な顔をして混じり込んでいる座敷童子(ざしきわらし)のような「不思議」が大好きでした。そんな、新津章夫の音楽は、可能性と挑戦、そして、実験に満ちた音の科学式のようなもの、なのかもしれません。もっとも本人は「まやかし音楽」と呼んでいました異常なまでの照れ屋であるがゆえの照れ隠し的表現に他ありません。
 歌とドラムはありません。現代の音楽と呼ばれる「商品」が、いかに歌とドラムに頼って成り立っているのか、彼のもっとも嫌うところでした。まぁ、それでも歌謡曲のアレンジやロックバンドのプロデュースもしていましたから、気難しい人ではありますが、けして悪い人ではありません。
 これまで聞いたこともない音楽を、という好奇心あふれる方は、ぜひ一度、新津章夫の音の迷宮へようこそ。