「無印良品BGM 1980-2000」はなぜ”陳腐化”しているのか? | 新津章夫 Official Blog 《迷宮の森》

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ネットを見ておりましたら、「無印良品BGM 1980-2000」についての記述を発見しました。

 

 
以前にもこのCDについては触れましたが、今や20集くらいまで到達したベストセラーCDシリーズですが、なぜか第一集である「無印良品BGM 1980-2000」だけは現在は販売されていません。
 
理由は、おそらく参加アーティストに販売許可を取らずに発売してしまったからだと思います。少なくとも新津章夫には連絡はなく、そのためクレジットも「新津彰夫」となっています。新津章夫本人が「継続販売をされる場合は訂正をして欲しい」と連絡をしたところ、「再発の予定はない」と素っ気ない返事があったそうです。
 
もともと、これは店内で流すことを目的に制作されたものなので、おそらく参加しているミュージシャンも全員、楽曲を売ることは前提にはしていないと思います。そこで、ひとつお答えしたいのです。
 
>新津章夫の曲は寓話のような感じというか、「銀河鉄道の夜」みたいな感じでずっと聴いているとハマるかもしれませんけど、万人受けはしないでしょうね。

ありがとうございます。「銀河鉄道の夜」。まさにそんな感じですよね。素敵な表現です。

>その他も悪くはないけどパッとしないとか、わざわざ聴くほどではないかなといった感じの曲が並び、また曲によってはかなり陳腐化してしまったようなものもありました。
 
おっしゃるとおりなのです。「陳腐化して」いるのです。なぜなら、これらの楽曲は無印側からは「店内で流して買い物が楽しくなるような音楽を作ってほしい」との依頼に応じたものだったため、思わず足を止めて聞き入ってしまう完成度の高い音楽ではダメなのです。
 
新津章夫自身も言い方はよくありませんが、「適当に手抜きをした感じ」を求めていました。多くのファンがそう感じていただいている通り、本来の新津章夫の音楽は隙のない完成度の高さを求めたものです。しかし、それに比べたら「無印良品BGM」が陳腐であることは、最初からそれを狙って制作されているわけです。音源はほとんどがYAMAHAのDX-7でRolandのTR909の打ち込みを多用しています。とても簡易なセッティングです。
 
それでも聞いていただいた方々はおわかりになると思いますが、録音するにはとても手のかかる倍速ギターも随所に盛り込まれていますので(「星群の船」「星たちのラグタイム」など)、聞けばすぐに「新津章夫だ!」とわかる金太郎飴状態であることに間違いはありません。
 
最後に一曲。私が好きな「無印良品BGM」の曲「冬の夜」。