こんにちは!木蓮です。

さて、先日の『シュバルの理想宮』の続きを書きますね。

 

 

 

 

この素晴らしい理想宮を33年かけ、たった一人で創り上げたシュバル。

彼の人生は、決して順風満帆ではありませんでした。

 

最初に生まれた長男は、翌年に亡くなり……。

次男は無事に育ったものの、1879年に生まれた娘 アリスも彼女が15歳の時、脳膜炎にて命を落としています。このことは、彼の心を失意のどん底に突き落としました。

 

(写真はPalais Idéal du Facteur Chevalよりお借りしています。)

 

 

家族の墓にはアリスへの想いが刻まれています。

« Alice amèrement regrettée ».

この言葉、単純なのに日本語に訳すの難しい~!

amèrementは、つらく、痛ましく、痛切にという感じですが、親が子を想う気持ちを考えると、やっぱり、『今は亡き愛するアリスへ』かな……。

 

<南側のファサード>

 

 

 

こちらのファサードは、少し陽気な雰囲気。

面白い鳥や小さな動物、ヤシの木みたいな木も見えます。

 

 

シュバルは毎日、毎日石を拾いつづけ、最初はポケットに入れるくらいの量でしたが、後に籠、最後には台車を押しながら、郵便配達をするようになり、拾った石を夜に積み上げるようになります。

 

当たり前ですが、村人たちからは変人扱い。

フランスの田舎では、当然のごとく目立ちますよね。

 

こちらも、当時の建築の様子。

(写真はPalais Idéal du Facteur Chevalよりお借りしています。)

 

 

 

この理想宮を造りはじめた最初の20年は、どうやら外壁に時間をかけたようです。

石と石との間には、石灰やワイヤー、セメントなどで補強されているそうで、実際に登りましたが、素人が作ったとはとても思えませんでした。

 

<西側のファサード>

こちらのファサードには、あらゆる宗教を同居させたデザインになっています。

彼の頭の中にある理想の宮殿は非常に平和的です。

 

 

 

 

彼はこの宮殿の地下に、墓を作り家族と一緒にエジプトのファラオのように埋葬されたいと考えていました。

しかし……、当たり前のことでしょうが、村人たちや法律、教会がそれを阻み、別の場所にこの宮殿に似た墓を作り、そこに永眠しています。

 

今回、そこまで行く時間を作れなかったのが唯一の後悔。

こればかりは、バスで行ったため仕方ありません。

 

 

 

 

 

見れば見るほど、たった一人で創り上げたとは思えないこのモニュメント。

晩年には、マスコミにも取り上げられ、ピカソにも名が知られていたと言われているほど。

 

最後に、

<北のファサード>

『TRAVAIL D'UN SEUL HOMME』と入っています。

たった一人の男の仕事か……。

 

そう思って眺めてみると、きっと孤独だったのだろうな~と思いつつ、一緒に眠りたい家族がいたことが、彼にとって幸せだったのかもしれないと感じました。

 

 

 

 

さて、みなさんにはこの『シュバルの理想宮』

どのように映りましたか?

 

 

 

 

まだまだ、書いていないことがたくさんあります!

できれば、ご自身の目で是非ともご覧になってくださいね。

 

それでは次回、また別の場所へ!

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木蓮(フランス小さな村より)