アルバム『ブックエンド』 Part2:SIDE B | 懐かしエッセイ 輝ける時代たち(シーズンズ)

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懐かしい’60s’70s’80s
ひときわ輝いていたあの時代の思い出のエッセイ集です。
毎週土曜日更新予定です。

今日は。
 この土曜日に銀座に行ってきました。
銀座の山野楽器本店は、ネット配信に押され、7月にCD販売終了するといいます。
このニュースを気にしていたのですが、、すっかり店に寄るのを忘れていました。
 
 
 アルバム『ブックエンド』のSIDE A(リンク)から間があきましたが、今回は、B面を見てみましょう。


<アルバム『ブックエンド』 Part2:SIDE B>
 このB面は、昔は単なるシングルを集めただけのものだと考えていました。
当時、ビートルズの米国編集版でアルバム『ヘイ ジュード』というのがありますが、それと同じコンセプトだろうな、と簡単に考えていました。
(よく調べたら、このアルバム1970年の発売でした)
今は、それでけではないと考えていますが、とりあえずは、「シングル曲集」との扱い方で各曲を見てみましょう。

気を付けないと行けないのは、A面の数年前に『Mrs Robinson』を除いて録音されていることです。

 1.Fak'n it 

 
(写真:シングルジャケット)

  〇フェイキン・イット

 


      https://www.youtube.com/watch?v=pgObHxddrLE
 
・発売 :1967年7月7日 全米 23位
・プロデュース:ジョン・サイモン
・B面 You Dontknow where your interests lies

 コロンビアレコードの社長クライブ・デービスは、悩んでいたポールに、新しいプロデューサーとして、ジョン・サイモンを起用しています。

 僕はわりと好きな曲なのですが、最高位23位と、あまり大ヒットにはなっていないのです。
「僕はフリをしているだけなんだ」と、ポールらしい詩になっています。

 そして「生まれる前はテーラーだった。」と。
その後に続く、ナレーションは英国のフォークシンガーのBeverley Martynだといいます。
ちなみに、ナレーションに出てくる「リーチさん」のリーチとは、Beverley Martynの友人で、英国シンガーソングライターの「ドノバン リーチ」(リンク)のことです。
  
 詩的には、シングルのA面とB面の主人公の性格が相反しているのが面白いと思います。
気弱なA面の僕に対して、自信たっぷりなB面の僕。

 〇You Don't Know Where Your Interest Lies (小)

 

   https://www.youtube.com/watch?v=raaQXN91PHs

 シングルB面の ”You Dontknow where your interests lies(邦題:君のかわいい嘘)はアルバム『ブックエンド』に収録されませんでした。
 これについては、「S&G 唯一アルバムに収録されなかったシングル曲」(リンク)をご覧ください。
  
 2.A hazy shade of winnter(邦題『冬の散歩道』:    
 

 (写真:singlePR写真)

 〇冬の散歩道 A Hazy Shade of Winter

 


      https://www.youtube.com/watch?v=e24arHT2lh0


・発売:1966年10月22リリース 全米13位
・プロデュース    ボブ ジョンストン
・B面  エミリー エミリー

  この曲は、アルバム『パセリ、セージ、ローズマリー アンド タイム』のセッション時期に録音されています。
 このアルバムには収録されず、シングルとして66年にリリースされています。
 
 ポールがまだ英国にいた65年当時の不遇の時代を歌っていると思います。
4連目で、「 manuscripts Of unpublished rhyme」と歌っています。
僕は、『早く家に帰りたい』『アイ・アム・ア・ロック』などの不遇の時代に書かれたのポールの詩が大好きです。

 サウンド的には、『パセリ~』のアルバムで特徴的だったバンド形式で演奏されています。
リフを多用したリードギターはポール本人なのかは不明です。
このアルバムのサウンドのメインはフォーク的なでしたが、この曲はロックに近い音を出しているので、『パセリ~』のアルバムに収録されなかったのかもしれません。

 1987年にバングルズが、映画『Less Than Zero 』のサウンドトラックとして録音しています。
このカバーバージョンが大ヒットし、全米2位・全英11位を記録しています。

〇Bangles - Hazy Shade Of Winter / Less Than Zero 
  https://www.youtube.com/watch?v=7TQFaDaykpc

 

 


 タイトルを直訳すると「冬のくすんだ影」ですが、日本版シングルタイトルは『冬の散歩道』と日本語らしいタイトルになっています。
1988年には深夜バラエティ番組『週刊テレビ広辞苑』のエンディング・テーマとして使われたとウイキペディアにありましたが、確認できませんでした。
1994年には野島伸司脚本のテレビドラマ『人間・失格?たとえばぼくが死んだら』の挿入歌として使われ、S&Gもリバイバルヒットし、急遽この時期にアートが再来日公演をしています。

 3. Mrs.Robinson 



  〇Mrs. Robinson (Audio)

 


   https://www.youtube.com/watch?v=9C1BCAgu2I8

・発売:1968年4月5日 全米1位
・プロデュース:サイモン、ガーファンクル、 ロイ・ハーリー
・B面 :"Old Friends""Bookends"

 この曲は、B面では突出していると思います。
セールス的にも、このシングルは批評的にも好調で、69年「グラミー賞」「レコード・オブ・ザ・イヤー」「ポップ・ロック・コンテンポラリー」の2部門を受賞しています。
ウイキペディアによると、ロックソングとして「レコード・オブ・ザ・イヤー」は初めての受賞だといいます。


  この年、ビートルズの『ヘイジュード』が大ヒットしていて、サイモン自身は賞は獲れないと考えていました。
グラミー賞の当時は欠席していて、代わりにアートがトロフィーをもらっています。

 もともとは『ミセス ルーズベルト』という曲で準備されていました。
映画『卒業』(リンク)で、曲を探していたマイク・ニコルズにアート・ガーファンクルがこの曲を紹介し、タイトルも『ミセス・ロビンソン』に変更されました。
映画は、主人公ベンジャミンが車でエレーンを探しに行く場面の数分しか録音されていません。

 その後、このフルバージョンとなりました。
この曲のリズムはラテンのような気がします。
今迄の感じとは少し違ったテーストの曲になっています。
このあたりから、S&Gのワールドミュージックへの展開が始まります。

 詩的には、7連で、突如話題がMBAのジョー・ディマジオに飛びます。


 グイ・グイ ジョーは何処にいったんだ?


詩的にこのような展開を見せるのは。これが最初ではないでしょうか?
この後、この手法はポールの特徴ななっていきます。
 
 全曲ご紹介できませんでした。残りは次回へ。