今日は。
3月に入りました。
今年は、毎月大瀧詠一の『ナイアガラカレンダー』からその月の歌をご紹介しています。
今月の歌は、『お花見メレンゲ』です。
〇お花見メレンゲ
https://www.youtube.com/watch?v=T4brZraW2No
Part1では「東映シアターオンライン」にてチャリティー無料配信の「マジンガーZ対暗黒大将軍」をご紹介しました。
今回は、『グレートマジンガー対ゲッターロボ』。
配信の広告収益の一部を日本赤十字社に寄付するそうなので、是非ご覧ください。
配信は2024/2/29(木) 21:00から2024/3/14(木)20:59までです。
〇『グレートマジンガー対ゲッターロボ』(30分作品)
https://www.youtube.com/watch?v=eimhUyeAsS0
この作品、1975年3月21日に東映まんがまつりで上映されたアニメーション映画作品です。
グレートマジンガーとゲッターロボが力を合わせ、宇宙怪獣ギルギルガンから地球を守る物語です。
童心に帰って、お楽しみください。
ウイキペディアにこの作品の説明がありました。
このアニメは桜多吾作による執筆で講談社『テレビマガジン』1975年4月号増刊「3大ヒーロー大百科号に掲載。、
当時は秋田書店刊サンデーコミックス『グレート・マジンガー』第3巻に「ゲッター対マジンガー」として収録されていたそうです。
さて今回は「マンガ原作とマンガ制作 その裏側 Part1」に続き、『ゴルゴ13』 の「マンガ原作とマンガ制作 その裏側」です。
<『ゴルゴ13』1:マンガ原作とマンガ制作 その裏側 Part2>
●小学館
今回は、秋田書店、集英社に続き小学館です。
「小学館」は、ご存じの通り、『姉系プチコミック』掲載の『セクシー田中さん』脚本問題への会社の対応が問題視されています。
「小学館 2:マンガ2022 2023つれづれに Part3」(リンク)でも書きましたが、小学館の「ビッグコミック オリジナル」編集長は「オリジナル」に掲載される作品はドラマ化されるものが多いと、話しをしています。
そうであれば、小学館には、マンガの原作を更に大事にしてもらいたいものです。
3月1日、小学館の相賀信宏社長は、第69回小学館漫画賞の贈呈式に出席し、「二度とこうした悲劇を繰り返さない。再発防止に努めたい」と話したといいます。
小学館の対応が遅いですが、やっと動き出したようです。
●「少年サンデー」
本当は、本稿は、原作と制作に絞って書きたいのですが、「少年サンデー」の厚さが「薄くなった」とネットで少し話題になっていることから始めます。
〇【え?】薄すぎて話題の「少年サンデー」を今週も買ってみた結果 → 衝撃の事実が発覚してしまう
https://rocketnews24.com/2024/02/15/2173645/
確かに薄くなっているなと僕も前々から感じてはいました。
ただ、誌面が薄いのは、新聞業界でも起きていて、「読売新聞」では頁数は把握していませんが、起きています。
読売新聞は、昨年だったでしょうか、値上げしませんと宣言していました。
そうなんだと感心していたら、値上げの代りに誌面数がかなり削減されていました。(笑)
(Writers4コメント)
このネット記事のように、雑誌が薄いことだけを問題にしては片手落ちだと考えます。
第一に重視すべきは、作品の質・充実度です。
ただ、これは人によっても異なりますので、数でみられるものに限ってみます。
数の点では、単に頁数だけではなく、価格を含めてみてみましょう。
〇価格と作品数
「少年サンデー」2024年13号 20作品 400PP 360円
(厚さ:12号約2.2㎝)
「少年ジャンプ」13号 20作品 484PP 290円
(グッズ用ページ 18PP) (厚さ: ?号 約3㎝)
「少年マガジン」 12号 24作品 436PP 360円
「少年サンデー」は「少年ジャンプ」より70円高いが、頁数が84ページ少ないという結果でした。
これは販売数の違いによるものでしょうか?
作品数も大切です。三誌を比べてみます。
「少年サンデー」と「少年ジャンプ」は作品数は同じで、20作品が収録されています。
「少年ジャンプ」得意の巻頭の「グッズ用ページ」の18PPを除いても、頁数が多いです。
「少年ジャンプ」一作の作品頁が長いのでしょうか。
●ビッグコミック
青少年向け雑誌「少年サンデー」に対して、シニア層向けの雑誌が「ビッグコミック」です。
「ビッグコミック」の紙が変わっているように感じています。
以前もう少し綺麗に印刷されていた誌面の質が落ちているように思えます。
コストダウンでしょうね。
そんな中「ビックコミック」掲載中の『ゴルゴ13』は2023年12月10日号で連載55周年に突入しました。
『ゴルゴ13』の最近の雑誌「ビッグコミック」の連載状況を見てみます。
●12月10日号「ビッグ コミック」で連載55周年突入
〇さいとうたかをの『ゴルゴ13』制作に関する意志を公開しています。
さいとう・たかをが言います、「この作品(ゴルゴ)の半数以上は読者のもの」、「作品が続いていってほしい」。
読者が欲する限り作品は続くのでしょう。
作品のクレジットですが、嘗ては「さいとう・たかを」になっていましたが、現在、連載には「原作 さいとう・たかを」になっています。
(コーヒー・ブレーク)ーーーーーーーー
長くなりました。2008年版アニメのオープニングを見てみましょう。
○2008年版 ゴルゴ13 オープニング テーマ Goldo 13-Opening 1(HD)
https://www.youtube.com/watch?v=xxn2lv1sBgk
さいとう・たかを失って2年、ここでも、異変が起きているように思えます。
『ゴルゴ13』の現状を見てみましょう。
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●『ゴルゴ13』
『ゴルゴ13』は連載55周年の第1回は634話「サンゲズール機械化回廊」です。
実は、その前の第633話「悪徳の彼方」では、投資サギがという小さい事件を扱う作品で、こんな『ゴルゴ13』を今まで読んだ記憶がなかったので、心配していました。
第633話から書き始めたいと思います。
●第633話「悪徳の彼方」(脚本:静夢 さいとうプロ)
この作品、前編・中編が3・後編の5週続く大作でした。
僕の記憶では、『ゴルゴ13』は長くて、前・中・後編の3週掲載でした。
その大作の内容を見てみましょう。
前編
地球の温暖化を救うという触れ込みの投資サギグループ「フラレスタ財団」(月1%配当)。
「フラレスタ財団」代表は元役者の落合。
落合は学生時代に先輩に紹介されたねずみ講で失敗している柴田に操やつられている。
とあるバーで、学生時代の柴田の先輩(赤井部長)が部下に柴田を強引にネズミ講に添いこんだ話をしている。
ゴルゴ13がそのバーで、その二人の話をバーテンダーと聞いている。
赤井達が店を出た後に、ゴルゴとバーテンがこの詐欺について話をしている。
中編 1~3
学生時代の柴田の話。
柴田はネズミ講での借金をサラ金に返せず、サラ金の業者に年寄りを騙す仕事へ加担を迫られた結果、サギ容疑で逮捕される。
柴田には前科がつき、まともな就職ができず、生活がすさんでいく。
その後柴田は、刑務所にいた時に仲が深まった亀井と「フラレスタ財団」を始める。
亀井の元締めにはヤクザ「銀英会」近藤会長がいた。
順調に「フラレスタ財団」のサギは進むが、その柴田は新潟の片田舎にある寺を引き継ぐといいだす。
フラレスタフ財団に投資をする、主婦の杉野友美は、見せかけの投資利益で得た金でホストクラブのホスト「武」にのめり込んでいく。
一方、落合はフリーのライターに、フラレンスの内容に迫ろうと、追いかけられ始める。
その相談を受けた柴田は、落合をハワイに逃がすが、銀英会にハワイで消されてしまう。
それを知り柴田は、今まで人によったオペレーションを全自動化し、海外への逃亡を企てる。
後編
夕日を背に、歌舞伎町の中国人への対応を部下に話している銀英会の近藤会長は、ゴルゴに射殺される。
1か月前に柴田がゴルゴに依頼していたのだ。
友美と武の付き合いは深まっていったが、武には家族がいることが友美にばれる。
柴田のパートナーの亀井は柴田が会長をゴルゴに殺させたことに、銀英会が嗅ぎまわっていることに恐れ、先手を打って柴田を射殺する。
亀井が柴田を山に埋めるところで、亀井は中島敦の名作『山月記』の話をし始める。
「人生に絶望した主人公が発狂して虎になっちまう」
「俺は人喰い虎となり果て、その日も旅人を襲おうとするが・・・
旅人が親友であることに気づき、「危ないところだった」って食べるのを思いとどまるんだ。
そして悲しみと孤独の世界に戻っていく。
(虎は)人の心を失い、虎になっても親友を殺せなかったのに。
俺は、散々悪いことをしてきたが、友達だけは裏切らなかった。
それなのに、一番世話になった兄貴を殺していまうなんて。
フラレスタのサギが報道される。
武と妻は、友美の家に押しかけ、武がフラレスタに投資した金の返金を求める。
金の返済を武の妻に約束する、友美の夫。
夫「妻がホストに入れあげた挙句、馬鹿にされて黙っている男がいるか」と友美に言葉をかける。
友美は、自殺を図るが、夫に見つけられ、助かる。
フラレスタ破産一か月後の横浜港にゴルゴが再び現れ、亀井を射殺する。
柴田は会長の射殺とともに、亀井の殺しも依頼していた。
柴田は亀井のことを考え、亀井がマフィアを頼って現金をフィリピンに運ぼうとするのを予想し、殺しを頼んでいた。
マフィアにカモにされる前に、亀井を、苦しませずに日本で死なせてやる、と。
テレビでの報道では、フラレスタ財団への出資額は6割程度戻ってくるという。
友美夫妻の家で、これからの二人の生活を取り戻すことを誓う。
幸せな友美。
画像:ゴルゴ13 最後の頁
(Writers4)
ゴルゴが一般のバーで飲み、バーテンダーと話すような設定は今まで『ゴルゴ13』にあったでしょうか?
僕には、この第633話は『ゴルゴ13』の世界観と合わないように思います。
更に物語がきりっとしていません。
投資詐欺、詐欺にあう人の日常、詐欺を取り締まるヤクザ、ですが話にまとまりがありません。
詐欺にあう友美の家族の話、友美の愛人「武」のストーリー、そして亀井の「山月記」の虎の話は不要ではないでしょうか。
投信の様子は、もっとサリげなく、一連の話に組み込むことができます。
亀井の「山月記」の例えも、亀井の柴田殺害の中で、別の表現方法ができたと思います。
そもそも、『ゴルゴ13』のタイトルの前には「超A級狙撃者のスーパー・アクション!」がついています。
投資詐欺はゴルゴが狙撃を行うスケールの話でしょうか?
ヤクザの会長やその関係者柴田は、超A級の狙撃者が狙う相手でしょうか? それも大儀ではなく、単なる護身・復讐のための狙撃です。
はたして、さいとうの生前の頃の「ゴルゴ」はこの殺人依頼を受けたのでしょうか?
受けたとしても、いくら報酬をもらえるのでしょう?、 フラレスタの詐欺総額250億の1割?程度でしょうか?
この話はさいとう・たかをが生きていたら、没る脚本ではないでしょうか?
もしくは、もっと内容をブラシュ・アップするのではないでしょうか?
脚本は「静夢 さいとうプロ」のクレジットがあります。
「静夢」は新しい脚本家ではと考えて調べてみました。
ウイキペディアはありませんでしたが、「劇画Bombs away!」というサイトを見つけました。
〇劇画Bombs away!
https://onihei-fan.com/?p=11738
なんと、SPコミックス第106巻収録されている第328話「オフサイド・トラップ」も「静夢」の脚本になっているというのです。
(次の回でご紹介しますが、別の、かなり重要なテーマも書いていました。)
●55周年突入第1回634話「サンゲズール機械化回廊」
そんな心配の中、55周年を迎えました。
55周年突入第一回は634話「サンゲズール機械化回廊」です。
〇634話「サンゲズール機械化回廊」(脚本:夏 緑 さいとうプロ)
続く634話「サンゲズール機械化回廊」の舞台はイラン・イラクで、ゴルゴらしい世界観に戻ったように思えました。
2003年のイラク戦争で米英軍が用いた劣化ウラン弾でイラクは放射能汚染されていた。
その後生まれた子供は被爆して小児がんに。
ヒロイン 医療福祉工学が専門のスライヤ・ナジャマ もその一人。
イラン マジャラスタン大学工学部 ロボティクス科 ナジャマ教授から、爆発で傷いた近代イランの格闘技の一つ「トーア」の伝承者バカル・アル=ダバランのリハビリを任される。
ナジャマ教授の実質の上司のアイユーク少尉は、リハビリが終わったバカル・アル=ダバランを「筋電制御兵器」の「筋電機甲」のパイロットにするためにスライヤ・ナジャマを力づく犯す。
スライヤ・ナジャマは、姿を消す。
イラン国境に駐屯中の機械化部隊で、「筋電機甲(マイオバンツァ)」のパイロット(バカル・アル=ダバラン)が恋人を失い、「筋電機甲」を使って、恋人スライヤ・ナジャマの仇を討つべく、暴走を始めた。
写真P337 「筋電機甲」
困り果てたアイユーク少尉はゴルゴ13にバカル・アル=ダバランの「筋電機甲」の破壊を依頼する。
ゴルゴは「筋電機甲」を破壊する。
が、最後の力を振り絞りバカル・アル=ダバランは、死の確認に来たアイユーク少尉を仕留める
バカル・アル=ダバランは重傷を負うが、病院に入院する。
そこで、アイユーク少尉のために「生きることを忘れる」ようになっていたスライヤ・ナジャマと偶然に再会する。
今度は、バカル・アル=ダバランがスライヤ・ナジャマのリハビリをすることになる。
最後はハッピーエンド。それもご丁寧に、いつもの劇画調ではなく、メルヘンチックな絵で締めくくる。
(写真:370p)
(Writers4 コメント)
ゴルゴ13への依頼者のアイユーク少尉は、ゴルゴに嘘をつきました。
ゴルゴは依頼される場合はウソを許さなかったはずです。
●第635話「激突・トレーラージャック!」(脚本 ながいみちのり さいとうプロ)
第634話で、内容に問題はありますが、少し本来の『ゴルゴ13』に戻って来たと思っていたら、この回もゴルゴの世界から少し離れてしましっているように思えました。
映画でのスタントが怖くなった映画スター兼制作者の「サミー・スズキ」の話。
撮影中にスタントが怖くなり、又「高騰する莫大な制作費用、終わりのない企画提案」に主役・映画監督を降りると言い出す。
スタントに意味を問い始めた「サミー・スズキ」の迷い。
1年後、トレーラーでアリゾナに来ていた「サミー・スズキ」
そこに車数台に追われ、バイクで逃げるゴルゴ。
バイクからサミー・スズキのトレーラーを奪い、敵から逃げる「ゴルゴ」。
危機をサミー・スズキのドライブテクニックとゴルゴの射撃の腕で乗り切る。
(Wrirers4 コメント)
偶然、ゴルゴと敵の争いに巻き込まれたアクション・スターが、ゴルゴと力を合わせ無事危機を乗り越えることで、忘れていたスタントへの魅力を思い出すというストーリー。
これも僕には、ゴルゴの世界観に合わない作品に思えました。
僕の『ゴルゴ13』の世界観に合わない作品に、さいとう・たかを亡き後、『ゴルゴ13』はどのように制作されているのか疑問が湧きました。
次回は制作現場について、書きたいと思います。