マンガ原作の実写作品:2024年 2月つれづれに Part2 | 懐かしエッセイ 輝ける時代たち(シーズンズ)

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懐かしい’60s’70s’80s
ひときわ輝いていたあの時代の思い出のエッセイ集です。
毎週土曜日更新予定です。

今日は。
 中野ブロードウエイにある「墓場の画廊」に行ってきました。
2月12日まで「横山光輝 生誕90周年」をやっています。
小さな画廊ですが、鉄人28号影丸バビル2世、などの横山グッズはたくさんありました。
横山ファンでグッズ好きな方はどうぞ。
 (写真)

https://hakabanogarou.jp/

 

 


ところで、もうすぐ、バレンタイン デーです。
先週は、本家の大瀧詠一「Blue Valentine's Day」でした。
今回は、朋友山下達郎の曲です。
これ、サンデーソングブックで聴いたことがあります。
 〇Blue Valentine's Day
  https://www.youtube.com/watch?v=BN_SyLZScTM&t=16s


 さて、Partt1(リンク)では、マンガの現状について書いてみました。

今回2回目は、マンガの原作について日ごろの思いを書いてみました。

<マンガ原作の実写作品:  2024年 2月つれづれに Part2>

●「どうするNHK」
 2024年に入り、大河ドラマも『どうする家康』から『光る君へ』になりました。

●『どうする家康』
   『どうする家康』は原案・脚本は『リーガル・ハイ』シリーズや映画『レジェンド&バタフライ』で脚本を担当した古沢良太。
 今回初めて知りましたが、『ALWAYS 三丁目の夕日』も古沢良太は山崎貴と共同で書いていたのですね。

 〇大河ドラマ どうする家康 完全版 第壱集 PR動画

 


  https://www.youtube.com/watch?v=CtNtY0WcWNM

 主演の松潤の演技が《軽すぎる》とか、《史実とかけ離れている》とか数多の合戦のシーンを描いていないなど、この作品最後まで酷評されました。
 平均世帯視聴率も大河ドラマ史上ワースト2位と悪く、評判は芳しくありませんでした。
でも僕には、新しい家康像をみられて面白い作品でした。

1.松潤の演技が《軽すぎる》という批判
確かに番組開始早々は特にそうでした。
家臣におんぶにだっこの家康を描くために、演出もあったのだと思います。
そのため、時折、幼いながらも吐き出す真実の言葉が更にシリアスに聞こえました。

 その演出は、回を追うごとに段々変化してきたように見えました。
もっというと、最初の軽い演出は、家康が段々に変化していく様子、「軽薄」から「重厚」な武将へともっていくために必要だったのではないでしょうか。

これまで僕は、司馬遼太郎徳川家康三部作『覇王の家』『城塞』『関ケ原』の家康のイメージが強く、三方ヶ原の惨敗を機に人間家康が変わったように印象付けられていました。
(いけない、『関ケ原』は読んでなかった)

この作品、タイトル通り毎回「どうする?」の連続でした。
人は、ある機会を起点に急に変れるかもしれませんが、徐々に変化していく、今回の古沢良太脚本の家康の方が自然のようにも思えました。

2.《史実とかけ離れている》という批判
現代の家康像は山岡荘八『徳川家康』によるものだと言われています。
僕はかなりの巻数のあるこの大作を読んでいないので、コメントできる立場にありません。
ですが、歴史には、色々な説が存在します。
その中から、作家がどの説を取るかは自由な気もします。
また、この作品には時代考証の専門家もついているのですから、史実と違うことはないのではないでしょうか。

3.合戦シーンも余り描かなかったという批判
どのシーンを選ぶか、戦いをどこまで描くか、これこそ作家・脚本家に委ねられている事項です。
 
4.茶々の最後の独白
 この作品で特に印象に残るのは、最終話での、茶々が崩れかける大阪城の火の中でのセリフです。
「日ノ本か。つまらぬ国になるであろう。正々堂々と戦うこともせず、万事長きものに巻かれ、人目ばかりを気にし、陰でのみ妬み、あざける。優しくて、卑屈なか弱き者たちの国に。
己の夢と野心のために、形振(なりふり)構わず力のみを信じて戦い抜く!かつて、この国の荒れ野を駆け巡った者たちは、もう現れまい。茶々は、ようやりました」

これは現代社会への苦言ではないでしょうか。
このことを作者はこの作品で言いたかったのではないでしょうか。

●光る君へ
 ところで、今年2024年の大河ドラマ『光る君へ』も視聴率は高くなく、苦戦しているようです。
脚本を大石静、主演を吉高由里子が担当。

 〇大河ドラマ「光る君へ」
  【第1回】まひろ(紫式部)と三郎(藤原道長)の出会い

 

https://www.youtube.com/watch?v=F-0rxW7VU-8
 
大石は『功名が辻』以来2作目の大河ドラマ担当です。
平安時代は、資料が少なく、歴史があまりよくわからない時代です。
そして、主人公も勇ましい武士ではなく、作家の紫式部中心の物語。

史料が少ない時代だから、作家が想像できる範囲の多い時代なのかもしれません。
平安時代、それも宮中は、僕にはあまりなじみがないので、1月まで見ていて、期待以上に、この作品を楽しんでいます。


●大河の構成の変化
 現在放送中の『光る君へ』は大河63作目です。
50作くらいから、大河全体に大きな変化が見られました。
それは、1作から50作目までは、何作かは原作無しの作品もありますが、ほとんどが原作がある作品ということです。
 (山田太一が原作なしで脚本を書いている1980年の第18作『獅子の時代』のような作品もあります。
  がそれは、50作中それは9作です。

 51作目からは、一転して、来年2025年予定の第64作『べらぼう』までを見ると、原作つきの作品は2018年の第57作の『西郷どん(原作林真理子)』だけです。

 マンガなどの原作を実写化する動きが高い中で、大河では逆にオリジナルでの制作に舵をきっています。
もちろん、原作ありと言っても、大河の原作は司馬遼太郎や海音寺潮五郎吉川英治といった作家の歴史作品を中心に使っていました。
これはどうしてでしょうか?
今までにない世界観を描くためには、既成の作品ではなく、原作の段階からオリジナルで制作することは有効なのではないでしょうか。

 大河ドラマは、通常のドラマ作品と違い、放送開始の1年以上前から脚本に取り掛かるといいます。
また、その間は、他の仕事は入れないと『鎌倉殿の13人』三谷幸喜は言っていました。
これは三谷幸喜だけ自らに課したのか、NHKが他の脚本家にも要求している条件かはわかりません。

NHKは視聴率にこだわらず、後世に残る作品を制作して欲しいものです。


●なぜマンガ原作の実写版をつくるのか?

NHKの大河ドラマは逆の流れですが、現在のテレビドラマ・映画の主流はマンガの実写版ではないでしょうか?


 〇アニメ実写化一覧
 


では、なぜマンガの実写版が多いのでしょうか?
その要因と課題を考えてみます。

1.ファンの要望
 最大の要因は、ファンが望むからではないでしょうか?
発表されているマンガは既に、ファンがいて、実写化を望んでいるファンは多いのではないでしょうか。

動いている、主人公を見てみたい、主人公の声を聴いてみたい。
でもそれなら、実写版ではなく、アニメの方がいいのでは?

 僕は、マンガの実写版もあまり見ませんが、『キングダム』の第一作はテレビ見ました。


マンガ原作者の原 泰久も脚本に参加しています。
このたくさんの武将が活躍する作品はアニメの『キングダム』より、実写版の方が重厚のようにも思えました。
アニメと実写版それぞれ、利点はありますが、迫力の点では、実写版に軍配があがりますね。
アニメと実写を見比べてみましょう。

 〇アニメ TVアニメ「キングダム」第5シリーズ ティザーPV 

 

https://www.youtube.com/watch?v=jYztdVfUZX8
  
 〇映画『キングダム』予告

 


  https://www.youtube.com/watch?v=iglFGhCN-p8

2.制作サイド
 制作サイドからみて、番組の供給の点もあるかと思います。
 これだけ、放送局が多角化している現代、必要とされるテレビ番組数は相当のものではないでしょうか。
全てをオリジナルの原作でドラマをつくることは困難かと思います。
マンガ原作ならば、物語から作品を創る必要はないので、作りやすいのではないでしょうか。

「アニメ実写化一覧」を見てみればわかりますが、1995年頃から、マンガ原作の実写版はものすごい数になっています。

 常に動くテレビ作品はやはりストーリーが大切なのではないでしょうか?
そうなると、小説よりマンガの方が適している場合が多いのではないでしょうか。


また、発想的にも、少し異次元のマンガを原作に使ったテレビや映画の番組を制作することは、作品の質を上げるうえでも効果があるのではないでしょうか。

3.マンガの設定を借りる
 これについては、検証はすんでませんので、思いつき程度で読んでください。

 西田敏行三國連太郎の映画『釣りバカ日誌』のシリーズがありましたね。
1988年から2009年にかけて松竹系にて、ほぼ毎年1本新作が公開されました。
全22作品の脚本を山田洋次が手がけ、『男はつらいよ』シリーズと並び松竹を代表する国民的映画シリーズでした。
原作のマンガ『釣りバカ日誌』は作:やまさき十三、画:北見けんいちによる釣り漫画です。
1979年から小学館『ビッグコミックオリジナル』で連載されていて、2023年8月現在、既刊129巻(本編112巻+番外編17巻)という大作です。
最新号では佐々木常務はなんと社長になっています。 

  〇『釣りバカ日誌』 予告篇

 


   https://www.youtube.com/watch?v=rwki-3OGF40

 僕は、実写の映画『釣りバカ日誌』をかなり見ましたが、原作がマンガということをすっかり忘れていました。
何故か、僕の中では、マンガと映画が一体化しないで、もう別物になっています。
映画は、マンガのストーリーを使っているのか、気にもなりませんでしたし、調べたこともありませんでした。
今度、調べてみたら面白いですね。

 この作品、アニメもありました。
  〇【公式】釣りバカ日誌 第1話 伝説の名コンビ誕生の巻

 


    https://www.youtube.com/watch?v=63XwO0guBrw

   初めてこのアニメを見ましたが、マンガの雰囲気はでています。

4.もろ刃の刃 
 「読者はその世界を理解しているので、実写化されても、作品は認識されやすい。」と先ほど書きました。
そのため、自分の想像が、出て来た映像と違うこともでてきます。
その乖離は、アニメ以上ではないでしょうか?
そのため、今回の『セクシー田中さん』のような問題も起きるのではないでしょうか。